磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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きけわだつみのこえ-日本戦歿学生の手記-

2008年08月23日 | 読書日記など
『きけわだつみのこえ-日本戦歿学生の手記-』
   日本戦歿学生手記編集委員会・編/東京大学出版会1952年、1979年22刷

現代表記にしました。
--歴史を感じたい人には元の方が、いいかもしれませんね……。

続編であるという。下「」引用。

「本書は、先に公刊された『はるかなる山河に』の続編である。」

過激な部分は編集されたという。下「」引用。

「初め、僕は、かなり過激な日本精神主義的な、ある時には戦争謳歌にも近いような若干の短文までをも、全部採録するのが「公正」であると主張したのであったが、出版部の方々は、必ずしも僕の意見には賛同の意を表されなかった。現下の社会情勢その他に、少しでも悪い影響を与えるようなことがあってはならぬというのが、その理由であった。」

中国の教会の祈祷会に参加したことが書かれてあった。下「」引用。

「本夕はじめて支那人(中国人)の教会に入ってみました。祈祷会があるようなので町の名かの視察の帰途ついでに立ち寄ったのです。中年の男女老人が集まっていました。私は日本の耶蘇教徒だといいましたら、とても嬉しそうな顔をしてこちらに日本語の聖書がありますとわざわざ出して来てくれました。支那語の聖書を珍しそうにながていたからだと思います。すぐ帰ったのですが,帰りぎわに老人が出埃及記をくれようとしました。嬉しいことでした。」

永井隆博士も、中国の教会の礼拝に参加し、人間らしい心をとりもどしたことが書かれてあったのを思い出した。永井隆博士だけではないようである……。

宮沢賢治好きのボクである。気持ちがよくわかる……。下「」引用。

「宮沢賢治はその生い立ち、性格から、その身につけた風格から、僕の最も敬愛し、思慕する詩人の一人であるが、-略-。『世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない。』という句に集約表現される彼の理想、正しく、清く、健やかなもの-略-理想にぴったりふうのである。」

しかし、それで戦場へ行かされたのか……。
--傲慢かます漫画本を読んでいた方がよかったかもしれない……。でも、臨終の時には、人間性を失ったものに、あまり価値は残らないだろう……。

こんな表記は、アメリカ人の本にもよく見られた。美しい南洋が戦場なら尚更のことだろう……。下「」引用。

「マニラ湾の夕焼けは見事なものです。こうしてぼんやりと黄昏時の海を眺めていますと、如何うして我々は憎しみ合い、矛を交えなくてはならないかと、そぞろ懐疑的に気持になります。避け得られぬ宿命であったにせよもっと外に、打開の道はなかったものかとくれぐれも考えさせられます。」

年齢30に至らずで、死刑の宣告を受けた人の文。下「」引用。
「日本は負けたのである。全世界の憤怒と非難との真只中に負けたのである。日本がこれまで敢てして来た数限りない無理非道を考える時、彼等の怒るのは全く当然なのである。今私は世界全人類の気晴らしの一つとして死んで行くのである。これで世界人類の気持ちが少しでも静まればよい。それは将来に幸福の種を遺すことなのである。」


『カッパ・ブックス きけわだつみのこえ-日本戦没学生の手記-新版』
   日本戦没学生記念会・監修/光文社1959年、1963年24版

年表:p241~247

不朽の書となったという。下「」引用。

「本書の誕生とともに成立した「日本戦没学生記念会」(通称「わだつみ会」を中心に、本書がひろく読みつがれて不朽(ふきゅう)の書となった」






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