ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

秋到来

2012-09-30 22:20:33 | Weblog
今日から1週間、日本。
日本は、思ったよりも暑かった。

でも、家の近くまで戻ると、そこら中に秋が訪れていた。

風になびく萩。



台風で、花がぜんぶ散ってしまわないかちょっと心配。

真っ赤に何かを訴える彼岸花。



三途の川原で、たいまつになる。

本来は穢れのない魂のような真っ白な彼岸花。



小道に入ると、いろいろな草木が季節を彩る。
上海にはない光景だ。

この後は

2012-09-29 22:34:47 | Weblog
上海はすっかり秋になり、過ごしやすくなった。



中国から、というより、上海から、
日本製品の広告が一切なくなるというのは、こんなにさびしいことなんだ。

本当に、見事なくらいに、日本がない。

日系の自動車は原産を決め、輸出量も減らす。
となると、そこにぶらさがっている会社は結構多い。
今年は予算がついてるから、とりあえずやることも、来年は見直すだろう。

中国の税関は、いじわるして納税証明書を出さないかもしれない。
そうすると、撤退すらできなくなるかもしれない。
そもそも通常でも撤退するには、半年から1年くらいかかるわけだから、
出るのは簡単でも、引くのは難しい国なんだけど。

ああ、どうなることか、と心配してしまう。

反日で仕事にならない、と、公然とサボる理由ができ、
少し気楽な気持ちになっている部分もあるけど、
このあとが怖いなあ。

上海のひつまぶし

2012-09-28 00:07:15 | Weblog
国慶節前なので、延安西路は、中国の国旗一色。
夜の街灯の光で、一面の赤。



赤いんだよな~、この国。

日本領事館に続く道の前を通ったら、まだ封鎖してた。
柵があって、パトカーがいる。



一応まだやってる感あり。

そんなだけど、上海の日常は非常に穏やかで、
今日は日本料理店が集まっているところで、
うなぎの白焼きとひつまぶしを食べて来た。
これが、なかなかの美味だった。上海にもあるんだ!



しかも中国人のお兄さん2人組も来ていた。

そして、後ろの席では、酔ったせいか
毛沢東と鄧小平がゴッチャになってる日本人のおじさんが、
偉そうに中国現代史を語っていた。
恥ずかしいから、やめてくれ。

確かに上海は、中国の他の都市とは少し違う。
本当に不思議な国だと思う。

残念・・・

2012-09-25 22:10:29 | Weblog
ついに、日中関係が私個人の生活に影響した。

春ごろから楽しみにしていた
笠井潔さんの『バイバイ、エンジェル』の中国語翻訳版、
出版の延期が決まったらしい。

ああ、この本が書店に並ぶのを絶対に見てやろうと思って、
ここ数ヶ月、頑張って来たのになあ。
上海人が、いかにクチャクチャものを食べようと、
エレベーターのなかで、いきなり大声で話し始めようと、
目の前で痰を吐かれようと、
もうひたすら耐えてきたのは、このためだったのに。

中国国内で開催中の大型イベントでは、
日本企業のブースが、会期開始後に撤去を命じられたりと、
非常な恥辱を味わっているいま、
もっと辛くて残念な思いをしている日本人はたくさんいるわけだけど、
やっぱりやっぱり、私にはスペシャル級でショックだ~!!!

あまりのショックに、もう脱力。

人間のこんな小さなことなんて・・・。



会社の西の方に見える夕焼けは美しい。

ルート

2012-09-24 22:01:36 | Weblog
日本からの荷物が、中国の税関で止められている。
そして、工場への部品の供給が止まり、震災後のようにラインが止まりそうになる。
もし開戦となったなら、戦争景気が来るわけだから、
いっそのこと日本からの部材供給はこの際断念して、違う調達手段を開拓しよう。
そう考える欧米企業があっても、全然不思議ではない。

おそらく国慶節までで一段落すると思うけれど、
長期的に「日本はずし」が行われた場合、
全世界が受ける影響は、いったいどのくらいなんだろう。

日本では、日系企業や工場が受けた仕打ちしか見ていないかもしれないけど、
今回の国交不正常状態は、結構長く影響が出ると思う。

いま中国でもうかっているのは国営企業ばかりで、民間はかなり落ち込んでいる。
社会主義だから国営の一人勝ちでもいいわけだけど、
民間が落ちるということは、労働力を吸収しきれないということで、
先日みたいな暴徒があふれる、ということだ。

外国の工場を順調に誘致しないことには、中国の地方経済は成り立たない。
日本の工場が撤退すると言った時、一番困るのは中国の地方だ。
日系企業はまだ、タイやベトナムなど、次を選べる。
でも、国土とそれにしばられている国民は、逃げるところがない。

中央と地方、国営と民間、共産党員とそれ以外。
そして、沿岸と内陸。

中国は広い。
だから、いまこのときにも、日本に頼っている人たちもいる。
それを北京もわかっているから、いろんな逃げ道を用意してくる。
公でも、裏でも、いろんなルートが続いている。

さて、そのルートにどうやって気づき、どのように中国と付き合っていくか。

苦手なもの

2012-09-23 23:46:01 | Weblog
今日は、従弟が上海に来ていたので、一緒にウイグル料理を食べに行った。
これでもか、というほどの羊肉。



「こんな時期に上海に来るなんて、怖くなかった?」と聞いたら、
「政府があるだけ、まだマシ」との返事。
さすが、大学時代、無政府状態の国に行ったことがある人の言葉だ。

飛行機は、上海に向かう日本からの出張者がおらず、がら空きだったらしい。
まあ、そうだろう。

私は、上海育ちで上海語を話す上海人がすごく苦手だ。
上海には、もちろん上海語を話さない上海人もいて、
こういった人たちとは、結構仲良くなれる気がしている。

なぜ生粋の上海人が苦手かというと、とにかく中国の地方をバカにする。
地方出身者をバカにする。
汚くて貧しくて、人間が住む場所じゃない、くらいの勢いだ。
同じ中国という国の中なのに。
先日のデモも「上海人はそんなことやらない。やるのは地方から来たバカどもだ」と
当たり前のように言う。

どうして格差ができているかは、あまり考えない。
自分の将来にかかるお金と、いま必要なお金の勘定が一番大切だ。
そして、見栄。

なんで上海人が苦手なのか、最近わかってきた。

これは近親憎悪だ。
東京の人も、多かれ少なかれ、同じような感情をもっている。

比べられる距離にいるから、バカにする。
比べようがないくらい離れていたら同情する。

私の心のなかにある、こういった感情が呼び覚まされるから、
上海人と話すのは、苦手だ。

今こそチャンス

2012-09-22 13:47:43 | Weblog
iPhone5、やはり気になる。

一番気になったのは、発売イベントの大盛り上がり。
予約待ちの人がいるなかで、「2つお願いします」とおねだりするタレントの能天気さも、
iPhoneのほとんどの部分は中国で作られていると知らずに、
「ほぼ中国製」のiPhoneを嬉々として手に入れつつ、「中国排除!」と言う人がいるあたり、
日本だなあ~と感じる。

まあ、私もiPhoneをはじめ、アップル製品を使って中国の悪口を
ネット上に書いている以上、他人のことは言えないのだが。

日本がなんでこんなに不景気なのか。
いろいろと理由はあると思うけど、
むかし国内でやっていた製造工場が、海外、主に中国に移転しているせいもあるだろう。
しかも、中国で安く生産して日本国内および欧米で売ることしか考えておらず、
中国人を単なる労働力としか見て来なかった企業が、
中国の人件費の高騰と、そのあいだ、まったく市場調査をしてこず、
結果、いま中国市場で伸び悩んでいることが、結構大きい。

確かに日本の製品は素晴らしい。
でもそのほとんどが、80年代に築かれた技術なり発想なりの上に立っている。
その後の30年間、日本人はそれをブラッシュアップして効率化することはした。
でも、新しい何かを、世界をリードする何かを生み出したか、というと、
それはほとんど成功していないように思う。

政府すら、そもそも土地は全て国有地という中国への対抗措置として、
くだんの島を「国有化する」という、意味不明なことをやってしまい、
完璧に論点がずれてしまうあたり、
もう、日本は、他国と対等に話ができるレベルにないと思う。
自分の中のルールにしばられるだけで、他人が何を求めているかなんて、
考えるだけの想像力がない。

上海では、日本の大学に留学した経験をもつ中国人と一緒に働く機会が多い。
多くは、日本留学中、コンビニやファストフードでアルバイトをしていた。
彼らは、日本の仕事というのは、すべてマニュアル化されていて、
マニュアルに書いてあることをやるのが仕事だと思っている。
せめて、水商売のアルバイトでもしていてくれたらよかったのに、と思う。
そのほうがよっぽど使いものになる。

きっと、日本人でも同じ状況になっているんだと思う。
仕事は、マニュアルなんてない必要なこと(喜ばれること)をやって、
それをブラッシュアップして、
それがシステム化されたときに、マニュアルとして整備していくものだと思う。

その対話を、日本の企業ではちゃんとやっているのだろうか。
「どうやったらいいんですか?」と聞かれ、「どうやったらいいと思う?」と聞き返す。

横並びが大好きな日本の企業が、
というよりも、お金を牛耳っている銀行と地方自治体が、
日本企業のこの先の中国展開をどのようにリードするか、非常に興味がある。

自信を持って言う。
絶対、ミスリードする。

いま、にわかにチャイナリスクに気がついてしまった日本本社の偉い人たち、
銀行や地方自治体がなんて言うかよりも、
そろそろデモも落ち着き始めているいま、自分の会社の中国支社なり工場なりを見に来い。
遠い日本の会議室で、文書の報告やテレビ報道だけを頼りに決めるのではなく、
自分の会社の将来を見極めに、絶対来い。

いまは、日本が変われるすごいチャンスの時期なんだから。

のんびりやろう

2012-09-20 23:33:43 | Weblog
今日は、無錫まで日帰り出張。
行きは、上海駅から無錫新区まで高速鉄道、2等。
帰りは、無錫新区から上海虹橋駅まで動車、1等。

行きは、2等だったので座席シートがいまひとつだったけど、
始発だったので車内がまだ清潔だった。
帰りは、1等だから座席シートは広めでよかったのだけど、
かなりの長距離を走って来た後だったから、
車内には中国特有の食べ物やら、体臭やら、
いろいろと混ざったにおいが充満していて、
その意味では居心地が悪かった。爆睡したけど。

そうだ。
爆睡できるほどには居心地がよくなったんだ。
昔に比べると。

日本語を話していても、にらまれることもなく、
非常に平和そのものの旅だった。
デモのあいだも、隣の蘇州がひどいことになったので、
無錫でも日本料理店はかなり警戒していたらしいけれど、
そんなにひどいことにはならなかったよう。

ただ、デモがおさまってみると、
上海にも、日本人駐在員がごっそり帰国している会社があることがわかってきた。
そんな会社は、きっと国慶節があけるまで戻って来ないだろうから、
これから仕事に影響が出そうな感じだ。

ふだんでさえ「本社の意向が」と言う会社が多く
時間がかかるというのに・・・。

あーあ。もう、私ものんびりやろう。

宴の後

2012-09-20 01:58:29 | Weblog
日本ではどんな報道がされているのだろう。
中国と言っても広い。
北京、上海、広東、それぞれ全然違う。
そもそも文化背景が違う。

だから、ひとくくりに「反日デモ」とは言えない。
日本に比べて何倍もの面積をもつ中国なのだから、
「お国柄」は日本よりも激しい。

それを理解せずに報道するのは、いかがなものかと思う。

今日、自粛疲れの日本人と一緒に食事に行った。
店員さんは、積極的に日本語で話しかけてくれたし、
帰りのタクシーの運転手さんも、日本に理解があった。
そして、タクシーの運転手さんは、
ここ数日の中国人の暴挙について、すごく批判的だった。

私たちでも、自分の家族の愚痴は、家族にはあまり言えない。
そして、他人から自分の家族の批判を言われたら、腹が立つじゃない。

私は、中国の暴徒や政府の悪口を言う人には、
「でも、日本は歴史的に見て、中国に学ばせてもらったから」と
言うことにしている。

そうすると、中国人は、進んで心を開いてくれる。
このオープンマインドは、日本人の感覚と少し違う。

この広さをもし日本も持てたら、
百年の計がなるかも、と思う。

鎮魂

2012-09-18 23:40:41 | Weblog
今日、上海の日系企業は、ほとんどが自宅待機だったようなのだけど、
私は普通に会社に行き、少し残業までしてから帰ってきた。

領事館の近くにある日本料理店は軒並みお休みで、
看板を隠し、窓をふさいで、
「もともと工事中でしたけど、それが何か?」のようなたたずまいだった。
ちなみに、デモのコースとなっていた仙霞路には、
バスと公安の車がたくさん停まっていて、
いつでもバリケードにできる体制になっていた。夜でも。

そのおかげかよくわからないし、
これまでは煽っていた公安が、本来の業務に表面上は戻ったおかげかもしれないけど、
上海はそれほど激しい暴力はなく、おさまったのではないかと思う。
でも、領土問題自体が解決したわけではないので、
また小さなキッカケで、暴力が噴出するだろう。

中国人の同僚も、
「反日はわかるけど、略奪は違う!」という意見だった。
どこからか降って湧いてくるような流民たち。
中国人も、そういった暴徒となる人たちを恐れている。
だからといって、反日がおさまるわけでもない。

たまたま、今日、私は会社で朝礼のスピーチ当番だった。
こんな日に、上海で、中国人の前でスピーチをするのなら、
やっぱり「鎮まる」話をしなければならないだろう。

そこで、1949年に、上海から台湾に逃げて行った人たちの
子孫の話をすることにした。
私が93年の北京留学中に知り合った友人の話だ。

彼らはいまでも中国に戻って住むことはできない。
中国語を話せなければ、漢字すら書けない人もいるけれど、
彼らはいまでも自分を中国人だと思っているし、
中国と自分がいま住んでいる国の友好のために役立ちたいと思ってる。

中国は、国内に住んでいる人のためだけにあるのじゃなくて、
海外にいる中国人のための国でもある。
きっと私の友人は、世界のどこかで、
今日の中国がどんなになるか、心配してると思う。

彼がよく言っていたのは、
若い人は歴史には責任がない。
日本人だからというだけで、抗日戦争時代のことを持ち出すのは間違っている。
でも、私たちは、現在と将来には責任をもっている。
だから、いま私たちがどうするかが歴史よりも重要なのだ、と。

だいたい、こんな内容を話した。

中国人は、大勢の前で人をあまりほめない。
でも、個人的にいいと思ったことは、2人きりになったときに、
しっかりとその気持ちを教えてくれる。

今日は、いろんな人に呼び止められ、そっと「感動しました」と言われた。
今日みたいな日に、自分の言葉で日本人を誉める人もいる。
それが中国の奥深さだと思う。

そして、1949年の混乱を知っている当時の人の魂が、
平和を願うその気持ちが、
今日は上海にたちのぼってきて、
暴動をいくらか和らげてくれたのではないかと思う。