ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

カモ

2015-07-12 13:59:20 | Weblog
中国株の報道を見るたびに、日本とのちがいに驚き、
よくもまあ、こんな国と貿易取引をやったり、現地法人を作って商売してると思う。

中国の同僚たちと、株の話をしてみたいけれど、
彼らは思ってることを文字では書かないし、電話でも話さないので、
行って話してみなければわからない。

話してみたいのは、元わたしの部下で、いまは会社を退職した二人の女性だ。
一人は、杭州の土地成金と結婚した共産党員の娘。(一人っ子ではない)
そしてもう一人は、中国の石油閥に勤める父を持つ共産党員の娘。(一人っ子)

前者は、両親が学校教師で両親ともに共産党員。
両親からは、今後、共産党がどうなるかはわからないので、共産党には入るな。
とにかくお金持ち結婚をし、共産党以外の枠組みで生きろ。
そして、何かあったら両親とともに国外逃亡だ、と言われ育った美貌の持ち主。

旦那さんは、土地成金の御曹司よろしく、
20代ではあったが事業熱や投機熱がすごかった。
彼が持っていた株はどうなったのだろうか。聞いてみたいものだ。

後者は、天真爛漫に育った野生児。
石油採掘のために、ウイグル自治区の兵站のようなところにいたこともある、
中央政府にルートをもつお偉いさんの一人娘=お姫様。
自分は株なんて危なくてよくわからないことはやらないし、
お父さんを頼ればいくらでもいい仕事(手当がたくさんついて、暇な仕事)、
いい結婚ができるが、当分は、お父さんの資金援助のものとに自由に暮らしたいという女性。

そうだな。あともう一人、社員の上海人男性の意見も聞いてみたい。

たぶん、三者三様に、今回の株で踊らされた個人投資家は「あほだ」という
落ちになるのだろうけど、そのときの上から目線のコメントがぜひ聞いてみたい。

そして三人とも、政府批判に行き着くと思う。
政府の介入を、成熟していない資本主義の典型ととらえ、
こんなんだったら、いつまでも国外の投資家の格好のカモで、
結局のところ外国に搾取されている図式は、この100年変化ないとか言うだろう。

残念なことに、ここ数年、その搾取する外国の中で、日本が占める存在感が下がっている。
中国にとってのカモに日本がなってしまったこと、本当に残念だ。

しあわせ

2015-07-09 02:46:48 | Weblog
わたしは確実に「オレオレ詐欺」に引っかかるタイプだ。

幸いなことに、親兄弟、配偶者と子どもがいないので、
このままいけば、引っかからなくてすむ。
が、妄想力が結構強いので、実は子どもがいた、というありえない記憶に支配され、
引っかかるかもしれないと、少し心配している。
まあ、そこまで生きられればの話だが。

こうなると友人だけが頼りなので、
もう何でもかんでも相談してしまおうと思うのだが、
たまに自分の直感だけで動いてしまうことがあり、
それがたいていトラブルの元になっていると、最近気がついた。

思い切り体調が悪い時は、すべてが判断保留というか寝落ちするしか選択肢がないので、
逆に変なことが起きない。
時代からは確実に取り残されるが、それを苦と思わなければ結構快適だ。

ちょっと元気になった今みたいなときが最も危ない。
体力が戻ると読書欲が出てきて、結局この時間になる。
明日は仕事で体力勝負だとわかっていても、眠ることができない。
貪欲極まりない。

母が植物状態だった頃、もちろんわたしはその状態が悲しくてたまらなかったが、
実は母は全然違う境地にいるのではないかと、
しかも結構幸せなのではないかとうっすらと思っていたが、
いまはそれが確信となった。

母は、身は現世にありつつ、精神は現世を超える状態を、
結構楽しんでいたに違いない。
なぜなら、体調が悪くて寝落ちしたときに見る夢は、わたしはいい夢が多い。
幸せで、光に包まれ、キラキラしている場合が多い。
つまり起きたくない状態だ。

母が本当にそんな14年を過ごしたのなら、よかったと思う。

逆もまた

2015-07-08 23:24:32 | Weblog
ようやく中国株のテレビ報道が始まったけれど、
以前、個人投資家のフィーバーぶりを報道していた時にくらべ、
中国政府の介入方法についても言及しないし、
ずいぶん淡々としていると思うのは、わたしだけだろうか。

ま、次の特派員の記者ビザを、出してもらえなくなるかもしれないから
日本の報道が中国に気を使うのはしょうがないか。
中国というのは、そういう国だ。

それにしても、上海でインタビューに答えている個人投資家が、
みんなガラ悪く見えるのは、わたしが日本帰国して1年。
かなり日本に慣れたことの証左だろう。

さて、心身が弱まると、遺伝というか、親から引き継いだものを多く意識する。
爪や手のかたち、思わずいってしまう一言、そして食べたくなるもの。
自分で気づくものもあれば、他人から指摘されて気づくものもある。

最近いちばんショックだったのは、立ち姿が父親そっくりだというものだった。
父は男性で、わたしは一応女性だし、立ち姿が同じというのは、
女子としては、あまりよくないような気がする。

両親とずっと仲が良かった人が、
まるで幽霊を見たような顔をして、歩み寄り話しかけたわたしの顔を見上げ、
「あなた、いま、まるでお父さんだったわよ」と。
「一緒に暮らした時間は短いのに、似るもんなんだね」とわたしが言ったら、
「それが血っていうものよ」と。
歩き方も含め、存在感が父親そっくりというのは、まったく。。。

父のことは好きだけれど、お金との縁は薄そうだなあ。
これが遺伝というものなのか。

自分を愛するということは、両親を愛することであり、
逆もまた然り、と思った瞬間だった。

2015-07-07 21:53:59 | Weblog
上海株は、正直、面白い。
自殺者も出ているので笑い事ではないのだけど、中国人民らしいなあと思う。

友人から借りた茅盾の『子夜』。
株に一喜一憂する中国人がたくさんでてきて、
誰一人として登場人物に感情移入できない、珍しい本だ。

中国人というのは、なるべく労働をしないで、
一気に賭けて儲けて、一気に逃げる人たちなんだな、と思う。
逃げ先は、国外も多い。
ピンチがあっても、コネを使ってなんとか乗り切る。
相手を信用はしないが、とことん利用はする。
愛国心は皆無。お金が大好き。

共産党が中国をおさめる前から、中国はずっとこうだった、と思わされる。
日本のように、和をもって尊しとするという精神はない。

日本と中国が気が合わなくても、これはもうしょうがないことだ。
根っこが違いすぎるのだから。

中国の会社で、前任者からの引き継ぎはまず、ない。
きれいに引き継ぎ書を作っても、使われることは、ない。

そういえば、宋が臨安に逃げ南宋をたてたとき、
多くの書物が失われ「散逸して見えず」がたくさんあったことを思い出した。
戦火で失われたわけだけど、たぶんこの南宋への遷都と文化大革命が
中国史や中国思想史の大きな断裂なんだろうと思う。

毎回新しく作っては、ぺんぺん草が生えないくらいまで搾り取って、
そして移っていく人たち。それがわたしにとっての中国人のイメージだ。

それにしても、上海株のニュース、テレビでやらないのは、なぜだ。

2015-07-07 02:41:08 | Weblog
自分の本名を書きたい。
わたしはずっとそう思いながら、その気持ちを抑えつけてきたんだなあ、と思う。

もう30年も名乗ってきた姓なのに一向にしっくりとこなくて、でも慣れてしまった名前。
自分をあらわすものなのに、人から与えられ、それを自分として受け止める名前。

名とは、不思議なものだ。

いまなら、ジャック・デリダの「名」についての試論も、別な角度で読めるかもしれない。
神の名と人の名。
言葉では言い表せない超越的な神の名、手が届かないあらゆる他者の名。

認識するために記号化し、記号化しても認識できない存在。
そして、ただひたすら一体化することを求める名。
井上靖の『蒼き狼』で描かれたジュチが、自分を認めるために証明し続けたもの。
洋の東西を問わず、存在の根幹を為すもの。

久しぶりのブログなのに、こんなにとりとめのないことを書いてもしょうがないけど、
泡沫のように、思考が去来する。

ひとつだけ言えることは、キリストやイスラムの神ではなく、
わたしが仏教圏に生まれたことの幸せだ。

三世を超えて届く仏の光は、わたしの過去、現在、未来を救ってくれる。
一方向に流れ、神の前での審判をひたすら恐る宗教では、敗北もやり直しもきかない。
だから、「名を救う」ことができるのは、仏教だけだと思う。

たくさんの後悔と、それでも自分は一生懸命だったという自己肯定。
それを誰かに認めて欲しいという欲求と、そんなこと関係なく受け止めてくれる家族への愛着。
すべてが「名」を基点にして渦巻く感情だ。

個人では、自分では、自分を救えない。
あくまでも他力を求める。

いまの日本が思考的に偏るのも、ストレスに満ち、健康でなくなるのも、
すべては慣れない「個人」を進めたからだと思う。
そもそも、日本人に「個人」は合わない。
そんな気がする。