■ アメリカにおけるサッカー関する比較考察 イントロダクション |
「日本の国民的スポーツはサッカーか野球か 」というvegaasさんのブログを拝見させていただきました。
その中の記事にインスパイアされたので、私も真似をして「サッカーと野球」という図式ではなく「アメリカとサッカー」という観点で書こうと思いました。
そこで、昔、購入した本を思い出したので引っ張り出してみました。2000年に発売された、後藤健生氏の著書 『サッカーの世紀』(520円)という本がありまして、その中で「アメリカ人がサッカーを嫌う理由」というタイトルの章があります。
この章では、「サッカーがなぜアメリカで人気がないのか?!」みたいな内容が色々と書かれています。(いささか極端な論調もありますが、著書自体はトータルで見れば分かり易く面白い内容です)今回はこの本を軽くご紹介(?)しつつ書いてみようと思います。
■ サッカーは、非アメリカ的スポーツ |
◆運・不運の要素を排除しようとするアメリカ人
この章の中で一番「ほぅ~、そうかも・・・」と思ったのが次の一文です。
アメリカ人は、試合からなるべく運・不運の要素を排除しようと熱心に努力している。 |
NBAを見ていたらやたら「ピッ、ピッ」笛が鳴ります。セリエAの以上かも(苦笑)
昔、アメフトが好きだった時期があるので一番ピンと来たのが“アメリカン・フットボール”ですね。
ビデオでリプレーを確認してジャッジを覆したりもしますが、まさに「運・不運」を排除しようとビデオまで使っています。しかし、メジャーリーグのスタジアムでレッドソックスかな?のホームスタジアムはレフト側のフェンスだけが高かったと思いましたけど、こういう変な所ではファジーなんですね。
◆ サッカーの誤審についても少し・・・
近年、サッカー界では、やけに「誤審、誤審」と騒ぎ過ぎのような感じもします。
以前も何度も書いたのですが「あるジャッジにより不利な判定を受けたチームも逆に恩恵を受けることもある」と思うのです。
今回数年ぶりにこの本を読んでみたら後藤氏もほぼ同じような意見をされていました。個人的には、こういう部分がサッカーの良さだと思うのです。きっとアメリカ人にしてみたらマラドーナの“神の手”なんてあり得ないんでしょうね・・・勿論、イングランド人には、もっとあり得ないんでしょうけど(笑)
■ 相手チームは「敵」ではない |
◆都市とサッカーと野球の繋がり
次にこの章で面白い事が書いてありまして・・・(ちょっと長いですが)
(前述、アメリカと南米の応援スタンスについての記載あり) 北アメリカの「応援」の場合においては、相手方のビジターチームは「敵」ではない。“応援”は、あくまでも味方を応援するものなのであって、「敵」を非難し、攻撃するものではないのだ。だから、熱狂していても、決して、暴力的になることはない。 これに対して、ヨーロッパのサッカーの「応援」の場合、ビジターチームは、殲滅(せんめつ)すべき「敵」なのだ。サッカーの試合は、国対国、都市対都市の戦争の代償なのだから。まして、国際試合ともなれば、相手は異民族の敵なのだ。「応援」が、味方に対する応援だけではなく、「敵」に対する攻撃を誘発する。そして、暴力と血を生み出す。 |
これは決定的な違いだと思いますね。
上記引用中にもある都市対都市の対決はクラブ間の対決(試合)のことです。勿論、メジャーリーグ等、都市対都市の対決です。しかし、サッカーのそれとは何か違いますね。あくまでもスポーツの延長線上に都市がある感じがします。つまり、ヤンキース対レッドソックスは、巨人対阪神のようなものでリーグの伝統や歴史によってできた後天的な対決の構図のような気がします。(都市どうしの対立意識の違い)
ところが、サッカーの場合は、根本的に違って都市の延長線上にサッカーが位置していると思うのです。近年の欧州リーグは、ボスマン裁定によりどのクラブも多国籍化しています。しかし、バルセロナのサポーターにとってはレアル・マドリードは、憎き「敵」なのです。歴史的な背景がここには存在しています。
◆ 欧州にみる、都市、民族のメンタリティとクラブの関係
その顕著な例が、ご存知の方も多いと思いますが・・・
2000年、バルセロナからレアルへ移籍したフィーゴ(ポルトガル人)の時です。
そのフィーゴが移籍後初めてカンプノウ(バルセロナのホームスタジアム)に入場した時には、激しいブーイングが起き、守銭奴って言われたり、CKの際にはスタジアムからビンやペットボトル、ゴミ、そして豚の頭も投げ込まれたと凄い状況でした。
これは、“クラブを裏切ったではなくバルセロナという都市(民族)を裏切った男”という発想なのだったと思うのです。
また、都市対都市との対立関係が色濃く残っているリーグはセリエAです。
ヨーロッパの歴史に詳しい方であればお分かりかと思いますが、イタリアは元々都市国家でしたのでね。(同著書には、“セリエAの章”もありますので興味ある方は読んでみてください)
■ 歴史的に、日本にはサッカーの方が適していたかもしれない |
◆結局は、歴史・文化の違う土壌の2つのスポーツ
アジアやヨーロッパのように歴史の古い世界には不平等や不公平、不条理とも言えることが掃いて捨てるほどあり、いちいちそういうことに目くじらを立てていたら暮らしていけない。多少の不運にも動揺することなく、次の幸運を掴むことができてこそ大人というものだ。ユーラシア大陸で暮らしてきた人々の人生観とはそういうものである。 しかし、北アメリカというのは、そうした圧制の不正、不平等から逃れようと大西洋を渡ってきた人々によって作られた国である。「不正や不平等は嫌いだ。そんなものに耐えている旧世界などは軽蔑すべし」というのが一種の国是のようなものになっているのだ。そこでアメリカ人は、自らが信じる正義を他国に対しても押し通そうとする。そして、それに従わない相手には「悪」のレッテルを貼りたがる。そのあたりでアメリカ合衆国には、旧世界の国から見ると、とても普通の国とは見えないところがある。 だから、アメリカ人にとっては、スポーツの世界でも不正、不平等を排除することが大切なのである |
◆ サッカーは野球より日本に根付く可能性は高かった・・・
以前から思っていたことですが・・・日本という国には、実は野球よりサッカーの方が「根付く可能性があった」と思うのです。
野球がいつ日本に伝わり広まったかは分かりませんが、昔、日本では、薩摩藩や水戸藩のようにそれぞれの国(地方とでも言うのかな?)がありました。そんな時代にポルトガルから鉄砲ではなくサッカーが伝わって広がっていたら、今ごろ日本のサッカーは強くなっていたと思います。それこそイタリアの都市国家ではないですが、藩対藩の戦(いくさ)がサッカーというものに変わっていたとしてもおかしくなかったと思います。江戸時代にサッカー(笑)
元来の日本という国の文化を考えれば、アメリカ的なスポーツ文化よりもヨーロッパ的なスポーツ文化の方が適していたのかもしれません。しかし、戦争に敗れアメリカに占領?された日本。イギリスに占領されていれば、日本でも昔のプレミアリーグのようなサッカーが繰り広げられていたかもしれません(笑)
最後まで読んで下さって、ありがとうございます。最後に良かったら
応援のクリックよろしくお願いします。
追伸
今回引用しました「サッカーの世紀」という著書は読み物としては面白いですし、520円とお手軽価格です。興味のある方は読んでみて下さい。ちなみに単行本ですので通勤中でも読み易いですよ。
政治的、歴史的、イデオロギー論争をする気はありませんので、そういうコメントはご遠慮下さい。個人的には、日本の野球もサッカーそれぞれまだまだ頑張らないといけない点が多々あると思います。
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突然のご連絡申し訳ございません。
http://www.sports-ws.com/ サッカーショップ スポーツウェブショッパーズを運営しております、株式会社フェアプレイ様の代理でご連絡させていただきました。私アライドアーキテクツ株式会社の清水と申します。
日ごろから、世界のサッカークラブチームについて興味深い記事をお書きになられておりますので、ご連絡させていただきました。
このたび、株式会社フェアプレイ様が「サッカーファンミーティング(仮)」を「スポーツウェブショッパーズ」内に立ち上げます。仕組みと致しましては、バルセロナ、チェルシー、ACミランなど世界のクラブチームについて詳しく書かれている記事を収集し、サイト上でメディアを作り上げていくというものです。
特に、お手間は頂戴いたしませんが、ご投稿されている記事を収集して
「スポーツウェブショッパーズ」内で使用する許可をいただければと考えております。
クラブチームについて詳しく書かれているので、ぜひサイト作りにご協力いただきたいとのことです。
よろしくお願いいたします。
詳しい説明や、同様のサイトは以下のページから
ご確認いただければと思います。
【説明・登録ページ】
http://www.edita.jp/admin/blogger_regist.php?id=1001&c=0&no=2
【スポーツウェブショッパーズ】
http://www.sports-ws.com/ サッカーショップ スポーツウェブショッパーズ
急なご連絡失礼いたしました。
何卒よろしくお願いいたします。
お問い合わせはこちらsupport3@edita.jp
大変な頭のいい文章で、自分のものとは
比べようにないすごいブログですね。
これを目指したいのですが
どうにも馬鹿なのですみません。
サッカーの知識がなく面白いサッカーブログが
できないのです。
「サッカーの世紀」読んでみます。
>>どうもはじめましてm(__)m
お褒めいただき恐縮です。全然ダメです。文章が長くて・・・(苦笑)
「サッカーの世紀」結構面白いですよ。まぁ、ちと時代的に古いのでその辺のギャップがあるかもしれませんが、読み物として楽しめるとおもいます。
なんだかコメントに入っている文章に引っ掛かりを感じたので書かせていただきます。
勝手に収集していいように使わせろってなんて無神経な申し出なんでしょうかね?
どれだけの労力をさいて記事にしているか、慮ることができないのでしょうか。
まことに勝手ながら、読んでいるこちらが不快になりました。管理人さんにはお考え等いろいろありますでしょうから、一読者の戯言としてお聞き流してくださると幸いです。
>>こんばんは。
温かいコメントありがとうございますm(__)m
私自身は、さほど気にしていませんでした(苦笑)
まぁ、労力をさいて書いているのもあれば、そうでないのもありますので・・・私自身の中でこのブログを始めたきっかけは記録的な側面が強かったんですよ。今もわりとその割合は大きいですけど。だから、意外とUPした時点で、自分の中で完結しているエントリーもあったりする記事もあるんです。
でも、先日UPした「ヨーロッパ主要国 - 歴代代表監督 & 大会成績」は労力さきましたよ!
これは、無断で持ってかれるとちとむかつくかも^^;
でも、本当にありがとうございます。嬉しかったです。
今度はHNで書いて下さいね。
それによると、アメリカでサッカーが普及しなかったのは放送権料の問題が大きかったのではないかということでした。
サッカーもそうであるように、ありとあらゆるスポーツと放送権料は切り離せない。プロスポーツの収益の半分以上は放送権料によるものですから。
アメフトのルールなんてCMを入れやすくするように作られているという見解もあるそうです。野球も日本ではテレビの事など考えないですが、アメリカではCM中は試合をストップしてたりするそうです。
結論としては、サッカーはCMが入れにくいから普及しなかったというものでした。
ただ、アメリカには「サッカーマム」と呼ばれる人たちがおり、アメリカの母親は子供にサッカーをやらせる事が多いそうです。それはサッカーがチームスポーツであり、協調性が身につくと考えられているからだそうな。それゆえに、アメリカのサッカー人口は世界で一番多いらしいです。
今のスポーツ界ではCSの普及率が上がり、地上波で放送し、間にCMを入れる形から見たいものを金を払ってみる形に移行しつつあるそうな。
そういう傾向がこれからも続けばサッカーも巨額の放送権料を稼げるようになるかもしれない。そうなればアメリカでサッカーが大きな存在になる日がくるかもしれません。
>>こんばんは。
アメリカのスポーツは完全にビジネス化、エンターテイメント化していますね。アメフトもバスケもたしかCMにあわせて試合の区切り(ハーフタイムなど)をしているようですね・・・
最後は私も同感で、今後は地上波に依存せずしてサッカーを見る人が増えるでしょうね。今以上に欧州各国のリーグを見れるようになるかもしれませんね。
私はアメリカでもサッカーは今後急速に普及すると考えています。アメリカでは自国で(もしくは北米で)発祥したスポーツ(アメフト、バスケ、野球、アイスホッケー)がいち早くプロ化に成功して巨大マーケットを確立したことと普及度に相関関係があると考えてます。
しかしベッカムのLAギャラクシーの5年契約年棒300億円でわかる通りサッカーにも巨大マネーを出すスポンサーがいるのです。(この金額はマイケルジョーダンの年棒と比較しても1700万ドル多い)
またアメリカのサッカー競技人口は1000万人以上いてこれは世界でトップクラスの数値です。
アメリカはビジネスが成り立てば普及する。サッカーはアメリカで普及する確率極めて高いと思います。
>>こんばんは、はじめまして。
>アメリカはビジネスが成り立てば普及する。サッカーはアメリカで普及する確率極めて高いと思います。
私も同感ですね。
ただ、サッカーが持っている独自の文化というか、サッカーに内在する魅力をどれだけのアメリカ人が分かるか?例えば、中南米などからの移民の人はサッカーをしているみたいですし、楽しめると思いますけどね。
ベッカムは、色々とスポンサー絡みの部分でのマネーは大きいでしょうね・・・サッカー以外の部分でね。