性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

民主国家の「世論と国家戦略」

2006年05月04日 05時02分08秒 | Weblog

政治への発言2です。
まぁあんまり前回、論旨は明確ではなかったかなぁ、と反省。
で、前回触れた「国家戦略」論。
っていうか、いま一番日本が直面している大問題だと考えるんです。
本意は、最近の世界中のエネルギー戦略の露骨化問題なんですよ。
以前触れたロシアは石油の産出国として世界第2位のレベルなんだそうで
それと天然ガスを抱えて、完全にエネルギー国家戦略を
「強いロシア」のバックボーンにしようとしていますよね。
そして経済成長が著しい中国。
日中国境線ラインでの天然ガス資源の強引な掘削開始などや
石油資源国への露骨なすり寄り外交など、
完全にエネルギー資源へ外交戦略をシフトする動きが顕著。
もちろんアメリカやヨーロッパの中東への歴史的な関与は
まさにこの1点に集中されてきたのですから、ロシア・中国の2国だけに限ったこと
というものではありません。

ただし、注意が必要なのは
この2カ国とも「民主主義国家」とは言いがたいということ。
そして、もっと問題なのは、
こうした国家を直接的に相手にせざるを得ない地政的な位置に日本があり
しかもかれらが、ほぼ「国内世論」をコントロール下において
他国との戦略的外交を展開しているのに対して
日本は、あまり成熟しているとは思えない国内世論を背景にしながら
しかし、民主国家として、国家戦略を推進しなければならない、ということです。

これって、かなり難しいですよね。
前回触れた、戦後日本自民党政権の「国家戦略」は、けっしてなかったのではなく、
国内世論に対して、あまり正面から論議できない制約が大きかったのではないか
と、言いたかったのが本意だったのですよ。
そしてそれが「対米協調」、さらに進んで「同盟関係」だったのでしょう。
で、それは大筋では間違っていなかった、ということです。
しかしその国家戦略が、モロに争点になった第1次日米安保条約では
簡単に岸内閣は吹っ飛んじゃった経験があるのです。
そのとき、冷静に国家戦略を国民に訴えても、ダメだ、と自民党は観念したのでしょう。
どうも、冷静な国家戦略と、自国の世論が一致することはそうはありえないのではないか

いろいろな誘導があったとはいえ、先の戦争に入る前には
世論は圧倒的に軍部を支持していたし、
その先頭に朝日新聞などのマスコミがあったのが事実だった。
世論の流れ的には、政治腐敗に対する世論の憎しみが
一見公正中立的な、軍部や官僚への傾斜に至ったということのようなんですね。
そういうときに、冷静な日米の戦力分析からくる「国家戦略」は見向かれず
むしろそれが崩壊して、戦略なき軍部独走、統帥権独走に至った、という。
<このあたりは、司馬遼太郎さんの絶筆に書かれていまして、わたしもそう信じています>
考えてみれば、戦後の日本は敗戦の結果、
こういう国家戦略を、対米協調という基本に一本化できたので
安定した政治運営が可能であった、ともいえるのでしょうね。

さて、小泉さんは対米協調だけを国家戦略とすれば
なんとかなった時代の最後の権力として記憶されるのではないでしょうか。
剥き出しのエネルギー国家戦略を正面にすえた
ロシア・中国と、これからは、どう向き合うのが日本に取って得策であるか?
もちろん対米協調は、こうしたときに最大のカードになるのは事実。
その上で、平和的にかれらと協調できるような
「国家戦略」が論議されるべきだと考えます。
さて、こういうの、うまくやっていけるでしょうか? ニッポン。
いつも平和でいるためには、やっぱり力の示威も必要でしょうね。
当面それが、日米同盟であるのは論を待ちません。
本当に「平和を希求」するためには、本腰を入れていかなければ、と思う次第。
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