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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

日米がTPP交渉で合意する コメさえ守れない安倍政権は日本の食糧安保と健康と安全と労働者の生活を破壊する

2015年04月21日 | TPP参加反対

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 安倍政権は2013年3月15日に環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を表明。甘利明経済財政・再生相は同年4月21日、すでにTPPに参加している11カ国が日本の参加を承認したことについて

「アジア太平洋地域の成長を日本に取り込むことにつながるものであり、成長戦略の柱だ」

との談話を発表しました。

TPP参加で日本の健康と安全をアメリカに売る安倍首相と、もっと売れと迫る橋下維新の会から日本を取り戻せ

 その前に、民主党政権がTPP参加交渉を開始したときに

「売国奴」「日本を破壊する」

と口を極めて罵倒してきた保守層(特にネトウヨ)は、自分たちの大好きな安倍政権が「売国的」なTPP交渉に実際に参加することを決めたときに茫然自失となり、ある者は沈黙し、ある者は「安倍政権は結局TPP交渉を決裂させるはずだ」と悲鳴を上げたものです。

2013年3月15日 TPP交渉参加表明 安倍晋三首相は民主党にも劣るアメリカのポチだった

「岩盤規制」の大義: 医・食・農=国民生活を土台から壊す“規制緩和”とTPP (農文協ブックレット)

TPP批判本、最新刊。政府・財界の「岩盤規制」攻撃は、格差を広げ国民生活の安全を脅かす凶器のドリル!農協「改革」は、食と農と国民の距離を広げるTPP推進の一環。TPPで国産が食べられなくなってからでは手遅れの消費者の健康リスク。食べてはいけない!米国産牛肉、乳製品、遺伝子組換え食品などの恐ろしい実態。TPP推進と地方創生は両立しない!

 

 

 そして、それ以来、安倍政権は2015年4月20日、安倍首相が米誌ウォールストリート・ジャーナルの単独インタビューに応じ、TPPに関する日米両国の合意は近いと述べました。

 安倍首相は4月26日から5月3日までの予定で訪米し、オバマ大統領との会談に加え、米議会上下両院合同会議で演説を行うことになっています。

 過去、日本の総理大臣が訪米する直前にアメリカのマスメディアだけインタビューに応じる例は多々見られ、その度に、アメリカで行う演説や公約を先取りしたことを漏らしてきましたので、このインタビューは意図的なものであり、安倍首相がオバマ大統領との会談の後の共同記者会見でTPP合意を発表する可能性は高いと思います。

 それは、人気低迷で悩むオバマ大統領だけではなく、アベノミクスの失敗が明らかになっている安倍首相にとっても必要な「明るい」話題だからです。

TPPで暮らしはどうなる? (岩波ブックレット)
鈴木宣弘、色平哲郎ほか
岩波書店

日本の参加が現実的になってきたTPP(環太平洋経済連携協定)。多国籍企業の利潤確保を最優先するアメリカン・スタンダードが生活のすみずみにまで持ち込まれたとき、私たちの暮らしはどうなるのか。農業、医療、食の安全など、TPP参加による生活への影響を、第一線の研究者とジャーナリストが検証する。



 安倍首相はこのインタビューの中で

「日米の合意は近いと思うが、さらに進むことを期待している」と述べ、4月28日に予定されている日米首脳会談で、TPPが

「両国にとって極めて有益であるという認識を一致させたい」

「日米両国のリーダーシップでこのTPP交渉を成立させたい」

と述べています。

 日米首脳会談を控えて、甘利明経済財政・再生相と米通商代表部(USTR)のフロマン代表はTPPをめぐる日米の隔たりを埋めるため、19、20日の両日にわたって協議を続けており、甘利大臣は20日朝、記者団に

「今日が最大のヤマ場になる。国益をふまえながら最大の努力をしたい」

と語りました。

 TPP交渉の日米妥結は近いと思わなければなりません。

 そして、TPP交渉は秘密交渉で、交渉の過程どころか妥結した合意の中身さえ明らかにされません。日米首脳の記者会見でも何が合意されたかまでは言わないのです。何が起こったのかわからないのがTPPの恐ろしさなのです。

アベノリスク2 成長戦略が屈辱のTPP参加とは。アメリカに「朝貢」する安倍政権。


 

 日本のマスメディアは日米TPP交渉について、コメを中心とする農産物についてばかり報道していますが、むしろ、本当の問題は後に述べるように日本の健康や労働環境がTPP妥結で脅かされるというところにあります。

 いや、それ以上に驚かれるかもしれませんが、日本の主権がTPPで侵害されるのです。

 ところが、安倍政権がこれまで

「日本にとってみればコメは他の農産品のセンシティビティー(重要品目)の域をはるかに超えるセンシティビティーであると」(甘利明 TPP担当相)

としてきたコメについてさえ、アメリカに対して守れない状況になっています。

 「コメをはじめ農産品の重要5品目は守る」、「国内への影響は小さい」

としてきた政府・自民党にとって、説明が難しい状況になっているのです。

 ですから、日本政府が目くらましに使い、「コメだけは守る」としてきたコメさえ守れない安倍政権が、日本の主権と健康と労働者の生活をアメリカに売り渡してしまうこと自体を非難すべきです。

 

 


 それでもまず、コメのことを見ますと、日本は今、すでにアメリカ産を含む外国産のコメを輸入する特別枠が10万トン分あります。今回の協議で、アメリカはこれにさらに17万5000トン分の新たな枠を設けろと要求しています。しかし、日本は5万トンが限界だと主張しています。

 この、せめぎ合いがある中で、新たな枠を10万トン未満で収めようとするのが日本政府の考えです。しかし、コメの輸入を増やす際、実は国民に大きな負担がのしかかってくるのです。

 政府が国産のコメを備蓄している「政府備蓄米」がアメリカとのTPP交渉、さらにコメの価格の下落を防ぐためカギを握っているのです。

 アメリカ産のコメの輸入が仮に10万トン増えると、政府は、同じ10万トン分を市場から政府が国産のコメを備蓄している「政府備蓄米」として買い入れることで価格の下落を防ごうと検討しています。ただ、古くなった「備蓄米」は、豚のエサなどに回されるため、政府が買い入れた時よりも価格が下がります。その差額による損失は、10万トンですと年間で200億円を超えるとも言われ、税金を使って国民の負担となります。

 実は日本のコメをめぐって、異変が起きています。国内での消費量の減少を受けて、コメの価格は、2014年の秋から大幅に下落しているのです。スーパーでは、5キロ入りの新米が例年よりも300円程度安く販売される例もあり、このコメの価格下落は、農家の収入を下げ、その生活に大きな影響を与えています。

 コメが余り価格が下落している時に、国産よりも安いアメリカ産のコメを輸入すれば、農家にとって死活問題になります。

 TPP交渉で日本の農家も一般家庭も剣が峰に立たされているのです。



 農産物の問題では他にも、牛肉の関税は現在の38.5%から10%前後に、豚肉の関税は価格の安い肉1キロ当たり、最大で482円を50円前後に、それぞれ10年以上かけて段階的に引き下げる方向で調整が続けられています。

 乳製品では、酪農家への影響が大きいとされるバターや脱脂粉乳の輸入が増加します。

 それでなくても急速に減っている日本の酪農家が事実上壊滅状態になるのは目に見えています。

 世界の先進国の中でも最も低い水準を続けている日本の農産物自給率がさらに下がり、食糧の面での安全保障など夢のまた夢。日本は原油並みに食料を外国からの輸入に頼る国になり、外交上致命的な欠陥を抱えて、アメリカや中国に食い物にされる国に転落していきます。

アメリカの干ばつで穀物相場急騰 忍び寄る食糧危機の足音 TPP参加は日本の食糧安全保障を脅かす

世界の土壌の4分の1が劣化で食糧危機(国連) 日本の食糧安全保障を危険にさらすTPP参加は許されない

世界の人口が70億人を突破 食糧安全保障の1点だけでもTPP参加はやめるべきだ

(日本のカロリーベースの穀物自給率も食料自給率もEU平均の数分の1にすぎない。さらに打撃を加えてどうするの!)



 しかし、TPP交渉の真の危険性は、農産物や自動車などの関税交渉ではなく、非関税障壁と言われる分野です。

 その中でもアメリカが狙っているのは、日本の皆保険制度です。

 保険のきく診療ときかない診療をあわせて行う混合診療を皮切りに、日本の皆保険制度を切り崩してアメリカの民間保険が入り込むのがアメリカの狙いです。アメリカの企業が日本国内に参入する際の障壁になると言って、日本に住む人が安心して暮らせる特に良い制度が不公平だと破壊されてしまうのです。

 オバマ大統領が健康保険制度をアメリカに導入はしたものの、いまだに軌道に乗っておらず、アメリカでは年収300万円以下の国民は私的保険にも入れず無保険状態である状況が続いています。良質な医療が誰でも安価に受けられる日本の国民皆保険制度は世界で「特殊」ですが、それはつまり世界に冠たる最高の制度だということなのです。

 しかし、日本の国民皆保険制度は、「自由貿易」を目指すTPPでは貿易の「障壁」とされ破壊されます。

 どうしてアメリカなどの保険制度がない国々に日本が合わせる必要があるでしょうか。

TPP参加でアメリカの医療保険会社が我が国の医療に乱入し、国民皆保険制度と日本人の健康が崩壊する


 つまり、貿易の条件を公平にすると称して、日本独自の優れた制度を壊されてしまうのがTPPなのです。諸外国が日本に追いつき公平とするということは絶対に起こりません。

 さらに、たとえば、日本の労働者の地位を守ってきた解雇規制に対する大企業の攻撃が激しさを増していますが、この解雇規制も外国企業が参入する際の非関税障壁として、TPP交渉ではグローバルスタンダードに合わせろ=アメリカ並みにすぐにレイオフできるようにしろ、と要求されるのです。 

 食料の問題に戻ると、食品の安全・衛生管理も非関税障壁とされますから、BSE(狂牛病)問題があるのに、日本の安全を犠牲にして押し切られた牛肉輸入解禁と同じようなことになるに決まっています。

 

 

 しかし、TPPのさらにさらに恐ろしいところは、日本の主権が制限されるところです。

 TPPの中で、米国の業界団体などが盛り込むように迫っているのが、TPPに参加する各国政府を、多国籍企業が自由に訴えることができるようにする制度(ISDS)です。

 このISDS条項=「Investor(投資家) State(国家)  Dispute(紛争) Settlement(解決)」=「国家と投資家の間の紛争解決手続き」とは、ある国家が自国の公共の利益のために制定した政策によって、海外の投資家が不利益を被った場合には、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴えることができる制度です。

 貿易自由化を目的にした多くの2国間・多国間協定では、投資先の国の政策で「不利益を被った」と企業が判断すれば、提訴できる仕組みが盛り込まれています。すでに多くの自由貿易協定(FTA)に盛り込まれ、世界中で「主権を侵害しかねない」と大問題になっていて、毒素条項などと言われています。

 多くの協定で仲裁機関に指定されているのが、国際投資紛争解決センター(ICSID)です。確かに国際協定において紛争解決手続きを前もって決めておくのは重要なのですが、問題はこのワシントンにある紛争解決センターが世界銀行傘下であることです。国際通貨基金=IMFはEU系の国際金融機関ですが、世界銀行はアメリカの支配下にあります。

 現に、ISDS条項が発令された紛争で米政府が負けたことは一度もありません。アメリカが訴訟上手なうえに、審判がアメリカ寄りなのですから、勝負になりません。

 しかも、この審理は非公開で、不服があっても上訴することができません。そして、地方自治体の規制も、訴訟の対象になります。

TPPの毒素条項=ISD条項 ラチェット規定 NVC条項 スナップバック条項。なのに安倍首相が3月13日に参加表明

「TPP 毒素条項」の画像検索結果


 たとえば、脱原発についていうと、日本が着工中で未完成の原発や、新たに建設を予定していた原発の建設中止を決めたら、入札していたアメリカの大企業が日本政府と電力会社と地方自治体相手に裁判を起こせるわけです。自国のエネルギー政策さえ自由に決められなくなってしまうのが、TPPが主権侵害条約と言われるゆえんです。

TPPの「毒まんじゅう」ISDS毒素条項で日本の脱原発を潰す方法

 

 

 TPP交渉はこれ以外にも知的財産権など24項目に及び、日本に暮らす人々のあらゆる生活場面を直撃します。

 タカ派の方々が頻繁に使ってきた「売国」という言葉は、まさに、安倍首相がアベノミクスの柱だとして成立させようとしているTPPにこそふさわしいのです。

 こんなTPPは絶対に破棄させなければなりません。

 

 

今こそ、日本の良き伝統を守る保守の方々にこそ立ち上がってほしいですね。

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TPP 黒い条約 (集英社新書) 

中野剛志、岩月浩二ら 集英社刊

衰退するアメリカ。そのアメリカ依存から抜けられない日本。この構図のなかで、いま、アメリカが日本を徹底的に搾取しようとしている。それがTPPの正体だ。TPPが日本の成長を助ける自由貿易協定だというのは真っ赤な嘘。99%のわれわれ国民に対して、1%のグローバル企業・超富裕層が仕掛けた罠なのだ。その内実を国民に知らせぬまま条約批准に向かって突き進む政府。黒い条約・TPP締結後の日本はどうなるのか?『TPP亡国論』の中野剛志とこの問題を早くから掘り下げてきた気鋭の論客たちが、TPP参加に最後の警鐘を鳴らす!


TPP秘密交渉の正体 (竹書房新書)
山田正彦(自民党元農相)
竹書房

TPP(環太平洋経済連携協定)とは何なのか。加盟国間の関税を撤廃し、自由貿易を促進するという通り一遍の説明の裏側で、グローバリズムは世界各地で深刻な状況を引き起こしている。
日本のみならず、米国の国会議員ですら内容を知ることができないまま、参加国は妥結に向かって不気味に邁進させられてきた。
今後、日本はどうなっていくのか。民主党政権時のTPP参加表明の舞台裏から最新の交渉状況まで、元農林水産大臣である著者が、世界各国の関係者と連携して暴く秘密交渉の正体。リークした知的財産権の章(抄訳)も収録!

 

 

TPP日米協議は厳しい交渉か 今夜再開へ

4月20日 19時03分 NHK
TPP日米協議は厳しい交渉か 今夜再開へ
 
TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡る日米の閣僚級協議の2日目の協議は、20日午後5時半ごろにいったん中断され、午後8時から再開されることになりました。日米両政府は、来週28日の首脳会談で協議の進展を確認したい考えで、主食用のコメの日本への輸入量などを巡って、妥協点を見いだすための厳しい交渉が続いているものとみられます。
TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡る甘利経済再生担当大臣とアメリカのフロマン通商代表による日米の閣僚級協議は、19日夜に続いて、2日目の20日も午前9時半から行われ、午後5時半ごろにいったん中断されました。政府関係者によりますと、日米の閣僚級協議は午後8時から再開されるということで、甘利大臣は、20日夕方開かれた月例経済報告に関する関係閣僚会議に出席せず、今後の対応などを協議しています。
交渉関係者によりますと、午前中は主食用のコメの日本への輸入量を含む農産物に関して、午後は主に自動車分野に関して交渉が行われたということです。このうち、主食用のコメについて、甘利大臣は、アメリカが現状より年間17万5000トン増やすよう求めていることから、主食用のコメは日本にとって最も配慮すべき品目だとして、要求を引き下げるよう求めたものとみられます。
また、アメリカ側ができるだけ先送りしようとしている日本製の自動車本体や自動車部品の関税を撤廃する時期、それに、自動車本体の輸出入に関する紛争処理の在り方などを巡っても突っ込んだやり取りが行われたものとみられます。
これに関連して、菅官房長官は午後の記者会見で、記者団が許容される主食用のコメの輸入量について質問したのに対し、「甘利大臣がまさに国益を踏まえながら全力で交渉している。そういう段階だと思っている」と述べるにとどめました。
日米両政府は、来週28日にワシントンで行われる首脳会談で協議の進展を確認したい考えで、閣僚級協議では、妥協点を見いだすための厳しい交渉が続いているものとみられます。

「TPPは日本経済界が期待する姿」

経団連の榊原会長は、20日の記者会見で「交渉参加国のなかで、最大の経済規模である日米が合意することが1つの大きな鍵で、閣僚協議の進展で交渉全体が前進することを期待したい」と述べました。
そのうえで、榊原会長は「世界の成長センターであるアジア太平洋地域の経済発展を持続させることが、世界経済全体の安定と発展にとって極めて重要で、それを実現するためには、TPPで域内のビジネスがより活発、円滑に展開される必要がある。TPPはグローバリゼーションという大きな潮流に乗った経済連携の枠組みで、まさに日本の経済界が期待する姿だ」と述べました。

農産物の焦点は コメ 牛肉・豚肉 乳製品

TPPを巡る日米の農産物分野の協議で焦点となっているのは、「コメ」と「牛肉・豚肉」、それに「乳製品」です。
このうち「コメ」は、アメリカの要求との隔たりが大きく、農業分野では残された最大の焦点と言われています。
これまでの交渉でアメリカは、TPPの特別枠として、主食用のコメが年間17万5000トン、加工用などのコメが年間4万トンの合わせて21万5000トン、輸入量を増やすよう求めています。
これに対して日本は、最大限応じたとしても主食用として5万トンが限度だとして交渉に臨んできました。
次に、「牛肉・豚肉」の関税です。
牛肉の関税は現在の38.5%から10%前後に、豚肉の関税は価格の安い肉1キロ当たり、最大で482円を50円前後に、それぞれ10年以上かけて段階的に引き下げる方向で調整が続けられています。
日本としては、関税の引き下げに伴う生産者への影響を和らげるため、輸入量が急増した場合に関税を一時的に引き上げて輸入を制限するセーフガードの措置を巡って、有利な条件を引き出したい考えです。
具体的には、協定の発効当初は、セーフガードの発動によって関税を今の水準まで戻せるようにしたうえで、その後は段階的に戻せる幅を縮小する方向で調整していて、豚肉の場合では、最終的に価格の安い肉の関税が1キロ当たり50円前後まで引き下げられた際には、100円程度に戻すことを軸に交渉を進めています。
セーフガードの交渉では、発動条件について隔たりが残っていて、日本が現在の輸入量を一定程度上回れば発動できるよう主張しているのに対して、アメリカは、発動するには現在の輸入量を大幅に上回る必要があるとしています。
「乳製品」では、日本としては、酪農家への影響が大きいとされるバターや脱脂粉乳の輸入が増加することをできるだけ抑えたい考えで、一定量に限って低い関税で輸入できる枠を拡大する方向で調整を進めています。

自動車分野は部品の関税が焦点

日米の自動車分野の協議では、アメリカが自動車部品に掛けている関税の取り扱いが大きな焦点となっています。
これまでの協議で日本は、協定の発効後すぐか、できるだけ短い期間で撤廃するよう求めています。
これに対してアメリカは、トランスミッションなど、貿易額が多い一部の品目については撤廃までの期間を長くしたいとしており、折り合いがつきませんでした。
一方、アメリカが自動車本体に掛けている2.5%の関税については、TPP交渉で認められる最も長い期間で最大限後ろ倒しして撤廃することが、日本がTPP交渉に正式参加する前の2013年の日米協議ですでに合意されています。
日本としては、この後ろ倒しを何年程度にするのか、アメリカ側に明らかにするよう求めています。
またアメリカは、日本が仮に自動車本体の市場開放で協定に違反するような自由化を妨げる行為を行った場合に、元の関税率に戻せる措置の導入を求めています。これについて日本は、アメリカからの輸入車にすでに関税を掛けていないため、一方的な措置は認められないとして、対立が続いていました。

 

 

インタビューに応じる安倍首相 Ko Sasaki for The Wall Street Journal

 【東京】安倍晋三首相は20日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューに応じ、環太平洋経済連携協定(TPP)に関する日米合意は近いとの認識を示した。日米が合意に至れば、オバマ米大統領にとって、野心的な経済政策に対する国内の支持を得るための大きな前進となり、影響力を増大する中国に対峙する日米関係の強化にもなる。

 安倍首相は「日米の合意は近いと思うが、さらに進むことを期待している」と述べた。さらに、4月28日に予定されている日米首脳会談で、TPPが「両国にとって極めて有益であるという認識を一致させたい」としたうえで、「日米両国のリーダーシップでこのTPP交渉を成立させたい」と述べた。TPP交渉には12カ国が参加している。

 日米首脳会談を控えて、甘利明経済財政・再生相と米通商代表部(USTR)のフロマン代表はTPPをめぐる日米の隔たりを埋めるため、19、20日の両日にわたって協議を続けている。

 安倍首相は「首脳会談の場で妥結ができればいいと思うが、山に登るにも、最後の段階が一番難しい」とし、「政治的な判断をしながら、このTPPの有益性を念頭に判断を得るということが求められている」と述べた。

 安倍首相は4月26日から5月3日までの予定で訪米し、オバマ大統領との会談に加え、米議会上下両院合同会議で演説を行う。日本の首相が米議会で演説を行うのはこの50年余りで初めて。TPP問題のほか、新たな日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定を踏まえた日米安全保障体制の強化、アジアでの安全保障面での二国間協力の拡大といった内容について話すとみられる。

 早期合意に向けた安倍首相の強い意欲は、TPP交渉成立にとってここ数日間で起こった前向きな動きの一つだ。つい数日前には米連邦議会の指導者たちが、大統領に強力な通商交渉の権限を委任する大統領貿易促進権限(TPA)法案を通過させようと合意したばかりだ。しかしTPAはTPPと並んで、国内の労働者と経済に対する影響について懐疑的な見方を示す議員から強い反発を受けている。

 日本経済の構造改革と、特に農業分野での効率化を目指す安倍首相にとっても、TPPは最優先事項だ。2年前に始まったアベノミクスとして知られる経済政策が大きな課題に直面する中、TPPでの成功は不可欠となっている。

 課題の一つは、デフレ脱却を目指した大胆な金融緩和によるインフレ率上昇の勢いが失われたことだ。物価は昨年、約1%上昇したものの、今年2月にはコアインフレ率がゼロ%に下落した。3月にはマイナスに落ち込む可能性がある。これは日本銀行が目標とする2%を大きく下回る水準だ。

 安倍首相は「15年間デフレが続いてきて、まだデフレから脱却したとはいえないが、デフレではないという状況に至ることができた」と述べた。首相はインフレ率の伸び鈍化の原因について、原油価格の急落をその主因として挙げた。2013年に2%の目標で政府と日銀が合意した際、ここまでの原油価格下落は予想できなかった。

 安倍首相は「そのなかにおいては黒田(日銀総裁)の努力は評価したい。2%という目標に向けて、正しい金融政策をとってもらえると信頼している」と述べた。

 インフレ率の上昇が勢いを失うのに伴い、安倍首相の政策ブレーンの中からは最近、経済成長が続き、失業率が問題ない水準にとどまる限り、2%の目標を達成することはそれほど重要ではないとの声も聞かれる。 

 安倍首相もこの見方に同意しているようだ。「デフレを脱却し、2%の物価安定目標を設けるというのは、しっかりと経済が健全に成長し、人々は毎年毎年豊かになっていくという目標だ」としたうえで、「(ブレーンらは)目標はあくまでも目標であって、2%というのは手段だということを(言っているのだと思う)」と述べた。

 

 

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1 コメント

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Unknown (12434)
2015-04-21 16:21:00
http://m.blogos.com/article/109195/

ISD条項の危険性は、元農林水産省大臣の山田正彦氏が具体例を挙げて説明しています。
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