晴れたり曇ったり

夫のステージⅣ 切除不能進行食道癌の闘病記録と旅立ちからの日々

このまま奇跡が起きないかな~

2017年03月14日 | 食道癌と診断されてから11ヶ月目の経緯
なかなか雪解けが遅い札幌です。

旦那は、昨日再びせん妄状態になっていました。
ベッドの上に座り、自分の足を肉だと思って切って並べる作業をしています。
何かをたずねたり話しかけると応えてくれますが寝ぼけたような返事が返ってきます。

ずっと足をこすっているので赤くなって、止めても止めてもやめない。
しまいには、止めて寝せようとすると怒り出す。
仕方がないので看護師さんを呼んで何とか寝かせることに成功。

が、今度は、寝ながら指に付けた酸素濃度測定器をずっとこすり出す。
もう諦めて旦那の顔を見ていると「トイレに行きたい。ウンチがずっと出てない」と言う。

酸素の管から心電図や点滴、尿管もあり、トイレに起きるなんて状態じゃない・・。
個室なのでトイレは、すぐ近くではあるが立てるのか、歩けるのかすら微妙・・。

看護師さんに相談するとトイレまでは、行かせられないけどベッドの横に簡易トイレを持ってくることになり
何とかベッドから立ち、向きを変えて便座に座れた。

オムツをしてから一度も便が出ていなかったらしく
気張るにも気張るだけの体力もないところに宿便だから出にくい。

慣れた看護師さんで咄嗟に石鹸水を作り、呼び水を掛けながら何とか出してくれて
旦那も少し楽になったけどまだ残ってると言う。
でももう気張る体力が無いので、そこまでで諦めた。

ふと・・せん妄状態じゃなくなっていることに気がついた。
もしかして便秘がせん妄を起こしていたのかも?と思った。

昨夜から胃の調子が悪くて食べたものを全部吐いて頭痛もするので鎮痛剤を飲んで寝ていたので
今日は、少し遅れて病院に行くことにしてたら旦那から電話が着た。

出されても美味しくないと言って毎回残したまま返却するので
今日の昼食からしばらく食事を休むことにしたのですが
昼食が出ないから何か買ってきてもらって一緒に食べようと思ったという内容だった。

これからバス時間を考えると1時間以上かかると伝えると
そしたら看護師さんに売店行って何か買ってきてもらうからと言う。

病院に着くと看護師さんが「タマゴサンドが食べたいと言うので2つ買ってきたら1つ全部食べましたよ~」と教えてくれた。
やっと自分から食べたいと思うようになってきたんだと喜んだ。

病室に入ると、声がかすれてハッキリと聞き取りにくくなっている旦那がタマゴサンドを1つ全部食べたと言ってきた。
「美味しかった?」と聞くと「美味しかった~」と答える。
「先生も点滴してるから食べたいと思うものをよく噛んで食べたらいいよって言ってたしね。よかったね~」と言うと
嬉しそうに笑う旦那がいた。

「トマトもあるけど食べる」と聞くと「食べる」と言うので
細かく刻んで冷蔵庫に冷やしておいたトマトを口に運ぶと「冷たくて美味しい~」とパクパク食べる。
「ゼリーも食べる」と言い出し、ゼリーもペロリと食べる。

ちょうどK先生が様子を見に来て「食べたいものが出てきたみたいだね~トマト美味しいかい?」と聞くと
「うん、美味しい~」と旦那が言い、先生も嬉しそうに病室を出ていった。

そのうち「お腹が痛い・・これはウンチの痛みだ」と旦那が言うのでナースコールをした。
「昨日の宿便の残りがあれこれ食べ出して胃腸が活発になって押し出されてきたかもね~」と昨日の看護師さん。
「昼間のうちに浣腸しててもらえばよかったかもね~」と言いながら
「昨日みたい感じで簡易トイレでしてみますか~」と準備を始める。

昨日より手際よく出来て、お腹の痛みも消えて旦那は、うとうと・・
よほど気張り疲れたのとスッキリしたのとで眠くなった様子。

私が居ると気を使って何度も目を開けるので
「今日は、早めに帰るから少し寝なさいよ~」
「明日また来るからね~」と言うと眠いのに手を振ってくれる旦那に手を振り返して病室を出る。

昨日と今日で感じたことは、正気の時にオムツって、きっと嫌だったんだろうな。
そういうのがストレスになって、せん妄を引き起こしているのだとすれば納得がいく。
いくつになったって、動けない病人になったって、羞恥心ってあるものね。

少しだけど食欲も出て、せん妄状態からも抜けて
あとは、このまま奇跡が起きて、退院できたらいいのにな~。