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『ムサシ』@シアタードラマシティー

2009-05-12 | ステージれびゅー
なかなかチケットが取れなかった井上ひさし脚本/蜷川幸雄演出の『ムサシ』。

今回は、最近のお芝居人気の一番の要因じゃないかと思われる、蜷川幸雄の芝居で育った藤原達也と小栗旬のダブル看板役者主演っつう事なので、取るのが難しいのは覚悟してたんだけど、偶然にも最後の追加発売で最前列をゲットして、ラッキーというか「俺もしかしてもうすぐ死ぬのかも」と、ちょっと心配になりつつ観てきました。


席は最前列の端。
これまでの蜷川舞台を観てると、「前の方過ぎて逆にわかり辛いんじゃないか」と気になってましたが、今回の舞台は俺の座ってる側とは反対側のセットが若干せり出してる構成だったので、役者さん達はこちら側に来て目の前でする芝居が多く、何度も役者さんたちと目が合ったり、贅沢なひと時でした。
さすがに端なので武蔵と小次郎が退治する場面なんかでは、必ず片方の背中(至近距離だけど)しか見えなくなりましたが、代わりに息遣いやらが伝わってきてド迫力。


この先ネタバレです。
ストーリーは、
幕が上がると巌流島での決闘の場面。
小次郎を倒した武蔵は、瀕死の小次郎にトドメを刺さなかった。

それから6年後、鎌倉の小さな寺で再開した二人。
武蔵に対する恨みを一方的につのらせて復讐の鬼と化した小次郎は、再び武蔵に決闘を申し込むのだが…。
というあらすじの、一見真面目そうに見えて実は抱腹絶倒のドタバタコメディーなんですよね。

シアタードラマシティーでの公演はゴールデンウィーク期間。
ダブル主演に豪華な演技派キャストを揃え、笑いと遊び心たっぷりなお祭り舞台といった趣き。
小栗旬、白石加代子、吉田鋼太郎、鈴木杏と、大半は一度以上生の芝居を観たことのある役者さんだったのも、個人的にはお祭り度が上がって感じました。

吉田鋼太郎の芝居はこの3年で何度も観ましたけど、やっぱ良いね。
この人が居るだけで芝居が締まって観えたり、時にこの人自身が崩して和ましてくれたり、主演をしても面白い人だけど、今回はコメディアンとして、ムードメーカーとして最高に笑わしてくれました。
ボソボソ声のアドリブも近くでハッキリ聞こえて嬉しい。

看板役者二人はこれだけ人を惹きつけて離さないスターに育ったわけですから、やっぱり上手いしカッケーし、武蔵と小次郎の相反する、けれども同じ武士の道を志す歴史上の偉人を、同じ蜷川幸雄の看板背負ったスター役者な二人が演じてる辺りに似たようなものを感じて、「よー出来たシチュエーションや」とワクワクしながら楽しんで観ました。
最前列云々別として、こんな企画モノそうそう無いよね。
同じ看板を背負ってる役者だけど、小栗旬は内から出てくる表現力の人で、藤原達也は完璧に再現出来る人って感じがした。
そういや小栗旬はブレイクする前に藤原達也主演の芝居には出ていて、既に共演済みだったんだそうで、そんな彼が今度は肩を並べて共演って、そう思って観るのも面白かった。

白石加代子もさすがに名怪女優。
前に大竹しのぶと共演してた時も大概なオーラを纏っておられましたが、今回は目の前での芝居に目を離すと頭からカジラレそうで、怪演というよりも怪物というか化け物そのものが居るみたいな(良い意味で)。
この3時間ちょいの芝居の中で放出された演技のレパートリーの豊富さも、他の役者さん達の群を抜く大ベテランの独壇場。
今回、最大の収穫はこの人の名演を間近で観れた事です。

鈴木杏も良かったなぁ。
松たか子、吉田鋼太郎と共演した舞台でも感情の起伏が激しい役で楽しませてくれたけど、今回はそれに笑いも入って。
この先この子もこの演技力を伸ばせば白石加代子みたいになれるんじゃないかなぁと、二人の場面が多かったので特にそんな風に感じながら観ていました。



6月『メカロックオペラ』、『誕生!劇団くすみちゃん』
8月『星の大地に降る涙』
9月『コルテオ』
以上のチケットを購入済み。

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