スローでいこうよ

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完全自立型電源システム GOAL ZERO SOLAR POWER GENERATION SYSTEM

2011-03-23 19:13:26 | キャンプグッズ

地震での被災者の皆様にお見舞いを申し上げるとともに、

亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。





今回の停電で感じたのは、いかに電気に毎日頼っていたかということ。

街灯しかり、信号しかり、家の電気しかり。

そして、停電の最中、灯りを得るには電力や火力が必要で、
これらを得るのに、結局はガソリンなりガスなりが必要ということ。

今回の地震は、これまでの資源消費スタイルを考え直させるに十分なインパクトです。

ここで話しが少し脱線しますが、自分は昨年の海辺でのサーフキャンプや琵琶湖岸での真夏キャンプで経験した、火器ランタンの出す殺人的な熱線から、夏は電気に限ると、電化の準備を進めていました。

今回の地震での停電は、この備えが少なからず役に立っています。

日本中で乾電池や発電機が品薄になってしまった今、使い捨て資源に頼らないこうゆう組み合わせもアリかなと思い紹介させていただきます。



GOALZERO ”Extreme Explorer Kit” (ガス缶は大きさ比較のためで、このシステムには不要)


写真でお分かりのとおり、これから紹介するのは、ソーラーパネルを使って太陽光エネルギーをバッテリーに蓄電してゆき、専用インバーターでAC電源を得ることができるというオフグリッドな完全自立型の電源システムです。

ガス缶やガソリン類がなくとも照明を点灯することができ、電気炊飯器も使うことができます。

年末の送別キャンプ(未レポート)では、昼間に得た太陽光でもって蓄電し、夜に琵琶湖岸に張ったスペースステーション内でのライブ電源(主に電子ピアノの電源)として活躍してくれました。

そう、このシステムで重要なポイントはその電力を太陽光から得ているということ。

そして、発電中は温暖化ガスを全く発生させない。








こんなときだからこそ、ソーラーの老舗シャープからもこういうのを発売してくれたらと思うのですが、シリーズセットではまだ無いようで、
ソーラーパネル、充放電コントローラー、充電池、インバーターと単体ずつを買い足してシステムを組むことになり、初心者には敷居が高い気がします。

他、エリーパワーというベンチャー企業がソーラーを用いてリチウムイオン電池へ蓄電する”パワーイレ”というシステムを開発していますが、
こちらはまだ法人用のみで個人への展開が待たれるところです。




GOALZERO "RANGER Extreme 350 Power Pack"(左)、"RANGER Extreme UI"(右)


このディープサイクル型の蓄電池(容量350Wh)は、計算上ではあのiPadを99時間稼働させることができると豪語する

HyperMac社バッテリーの最上位 MBP-222(222Wh)と比較したならば、実に1.57倍のエネルギー。

同社の宣伝文句を借りるとすれば、iPadを156時間休まず稼働できる、ということでしょうか。

医療用で定評のある BAYSUNのARCA-300でしても300Wh。ただこちらもHyperMacと同様に高価なリチウムで10万円以上とコストパフォーマンスがよくなく、シビアな用途でない限りは、ディープサイクル蓄電池が容量でもコストでも優れているといえます。



そしてこの350Whのものを最大4台まで連結ことができ、そのときはエネルギー1400Whと、とんでもないバッテリーとなるわけですから恐れ入ります。
複数を連結して使う場合は、上部のハンドル部がちょうどボトム部にハマる構造なので、上に上にと重ねて置くことができますが

さすがに4台上に載せるのはやめたほうがいいでしょう。 1つが11.7kgと非常に重いので、それこそ地震で倒れてきてケガをししたり何かを壊したりしかねません。



(一般的なサイズのディープサイクル蓄電池(写真のはG&Yu SMF31MS-850)と比較すると大きさも重さも半分くらいです。)


またディープサイクル型蓄電池が抱えるやっかいな性格として、放電しっぱなしにしておくと寿命を全うできないという問題があります。
寿命を全うさせるには、放電したらすぐに充電し、常に満充電の状態を保つのが望ましいとされています。


ところが、ソーラーからの入力に頼る充電では、蓄電池自体があまりに大容量すぎると、かえって使いすぎてしまい結果として使用電気量よりも充電電気量が追いつかない状態になりかねません。
そこで、受け側の電池容量と、入力側のソーラーパワーのバランスが必要ということでしょう。

その点、このGOALZEROのExtreme Explorer Kitは、ソーラー2枚で60W入力に対し350Whの容量と、絶妙な組み合わせのように思えます。






USB接続だと、このように3つ同時につないでも余裕で充電します。

iPadは供給電流量が少ないと、充電にはならないのですが、こんな場合でも、しっかりと充電してました。

たださすがに4つ連結では充電になりませんでした。


普通に生活で使う上ではこの蓄電池1つで携帯だと1ヶ月分くらいは余裕で持つと思います。






GOALZERO "Extreme UI (Universal Inverter)"



使用する電化製品ですが、ON時の瞬間電力でのインバーターへの負担を考えると、あまりワット数の大きいものはつなぐ勇気がありません。
専用のインバーターユニット(RANGER UI)は、スペック上では最大400Wまでの機器をつなぐことができそうなのですが、これが瞬間最大電力なのか、それとも連続的に使用していいものなのかがカタログでは読めないのです。
ですので、せいぜい定格200Wくらいの機器にとどめておこうと思います。



(ノートパソコンとか、消費電力の小さいものの使用が無難。)


車のDC/ACインバーターで経験された方もいると思いますが、シガレットからAC電源が得られるからといって何でもつないでいるとすぐに壊れてしまいます。
これは接続した家電の電気量があわなかったことに起因するものがほとんどでしょう。




(自衛隊でも使われている堅牢な金属筐体をまとったPower Tite DC/ACインバーターとの大きさ比較。樹脂製筐体のGOALZEROのは非常にコンパクト故に、つなぐ機器を選びそうです。)


"インバーターは壊れる"、という印象を強く持つ私にとって、このインバーターはGOALZERO専用品である故に、冒険はしたくないのが本音です。
蓄電池から電気を取り出すターミナルは汎用ではなく専用規格のもので、インバーターが壊れてしまったら宝の持ち腐れになってしまいます。
(万一、インバーターが壊れたときには、ワニ口クリップがついた専用ケーブルを購入すれば、電気を取り出せないわけでもないですが。)



さて、気になる動作音ですが、USB接続機器のときは全くの無音でした。


ところが、100Wの電球(220V)をつないだところ、インバーターの冷却ファンが勢いよく回りだしました。これは、一世代前の自作PC並の動作音で懐かしい。。


スリムな筐体ゆえに、ファンのサイズが小さく、かなりせわしく回っています。このファンは温度を感知しながらまわるのと同時に、
取り出す電力量によってもまわりだすタイプのようです。そしてこの動作電力もバッテリーから得ているわけで。。

といって、じゃあ自作PCみたいに、大きな低速ファンの入った筐体に換装するとか、放熱羽をつけるとか、はたまた水冷にするとか、色々と対策はあるでしょうが、今今することではないので、このまま利用していこうと思います。






ちなみにバッテリ自体は完全密閉型で排気もないので、室内での使用も可能。
バッテリは防水ですが、インバーターは防水でないので、アウトドアでもテント内で使用するほうがよいでしょう。
(念のため換気のよいところに置いた方がいいらしいですが。)

ディープサイクル型ということもあって500~1000回の充電が可能とあるので、今回のような計画停電中の非常用からキャンプ用にと、年間の使用回数を考えたら十分な耐用年数だと思います。





充電にはソーラーパネルを用います。
計画停電でもって皆で痛みわけをしながら、発電所から送電線を通じてやってくる電力の消費量を減らし、東電のキャパ内で抑えましょうという趣旨の活動にあって、
壁コンからあらかじめ蓄電のために電力を消費していては、意味がないような気がします。



GOALZERO "Boulder 30 Solar Panel"


また、可能ならばオイルやガスのように、それ自体の生産に電力を使うものも、この計画停電をしている数時間だけでも気持ちの持ちようとして避けたいところです。
(こんなエラそうなことを書いていても、私自身、普段は電気はじゃんじゃん使う輩で、今回の計画停電を機に何かできないかと考え出した次第で、大目にみていただければと思います。)

パネルに話しを戻すと、端子は専用のもので、GOAL0製品でしか使えないようです。
太陽光を感知し電気を得ると背面のユニットにある青色のLEDが点灯します。







2枚の直列接続で満充電まで約6~8時間かかるわけですが、日中3時間くらい日に照らせれば、停電中の必要最低限な電気を得ることができます。






ちなみに、このGOAL0のレンジャーパックは、ソーラー充電の他、家の壁コンででも充電ができます。別売りのシガレット用ケーブルを購入すれば車のシガレットからも充電が可能です。

前述しましたが、このディープサイクル型の寿命を長く保つ秘訣は、満充電の状態を保つことです。
ですので、アウトドアでソーラーの充電が十分で無い場合は、AC電源に頼らざるをえないでしょう。

ただ、それに頼ってしまうとくどいですが首題にある完全自立型でなくなってしまいます。





(とりだすAC電源は110Vと220Vはスイッチで簡単に切り替えが可能)



とはいえ、別の見方をすれば、通常のむき出しのディープサイクル畜電池では、このような多岐にわたる充電は不可能で、別途、充電器なるものを買わなくてはならず、この点、GOAL0はデザインの優れた蓄電池ケースにその充電機能が全て備わってるというわけですね。

同社では同様のシステムで、リチウムイオンバッテリーを用いたGuide、Nomad、Sherpaというシリーズも販売していて使用状況に応じて使い分けるものいいでしょう。


ところが残念なことに、現在、この一連のソーラーシステムは日本では販売していません。輸入は可能ですが、海外輸入となるとちょっと。。という方には

このシステムの内容をヒントに日本でも同様のものを組むことは可能です。


先に説明した通り、蓄電池、充電器(充放電コントローラー)、DC/ACインバーター、ソーラーパネル、これらを連結するに見合うケーブル類をそれぞれ買いそろえ組み合わせるというものです。



(計画停電中はオプションのLEDライト”LIGHT-A-LIFE" で十分の光量。調光機能がないのが残念。)



それぞれ許容できる電気容量などを確認する必要があったりと多少の知識を必要としますが、いったん組んでしまうと乾電池など比ではない電気量を得ることができます。
(大電流を扱うことになるので、好奇心旺盛なお子様がいるところではおすすめできません。)


昼間に太陽電池で蓄電できれば、それこそ夜間の計画停電時間分くらいは苦もなくしのげるでしょう。


そして加えてエネルギーの尊さを知ることにもなります。


原子力はあまりに簡単に得られるが故にリスクも高いことを今回の地震で再認識することになりました。

必要な電力を必要なだけ使う、この当たり前の感覚を、自分で電気をためてみて、少し取り戻せるような気がしてきました。


この地震が、人をどんどんエコに差し向けてゆく、そんな流れに自分も積極的にのっかりたいなと思います。





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8 コメント

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ナイス! (a-water)
2011-03-24 01:45:48
ご無沙汰しています。
まさに同じようなことを考えていて、先駆的なアイデアに感心したので、コメントさせていただきます。
個人的にはエネループから、スマートライフラインシリーズが展開されることを期待してしまいましたが、特にキャンバーからの需要は大きそうですね。
日本で入手出来るものを組み合わせると、いくら位になるのでしょう?
Unknown (MONOLITH)
2011-03-24 02:19:59
a-waterさん、コメントありがとうございます。

この計画停電が長引きそうなので、今、個別に組もうとしてるのは、緊急事態に自転車で運べる最大のサイズとしてソーラーパネルがここで紹介したものの約6倍の電気量のもので、総額30万円くらいにと見積もってます。
いずれここでまた紹介させていただきますね。蓄電池は一般への市販の最大のものを、と探したらこれが単体75kgもするので断念です、漕げません。。

Unknown (亀吉)
2011-03-25 09:33:42
こんにちは~
これ、いいですね!
早速ホームページを見ましたよ。
私的には、もう少し小ぶりな物を買おうとおもいます!ここは、日本に送ってくれますか?
Unknown (MONOLITH)
2011-03-25 10:34:58
亀吉さん、ご無沙汰です~
こちらは、メーカー直販してくれますよ。でもAmazonとかの方がお得かと思います。小さい方も携帯性がよくていいですね! この夏はお互いオール電化キャンプですか!?
Unknown (md池田)
2011-03-30 01:08:10
はじめまして、いつも拝見させていただいております。
ソーラーには以前から興味があったんですが、
紹介されたGOALZERO、面白いですね。
コンパクトなやつを取り寄せてみることにしました。

私事ですが、義弟夫婦が原発から近く(現在は避難しました)、
今回の事故を機に、電力について真面目に考えないとなあ、と思いました。
有用な情報をありがとうございます。
Unknown (MONOLITH)
2011-03-30 20:24:44
md池田さん、ご親戚が大変な状況にある中、お気持ちを察しいたしますとともに、コメントありがとうございます

当方は今回の震災で、ブログの更新を当分の間、自粛しておこうかと思うところもありましたが、考えた末に何がしか役立つ情報が発信できればと思い、こうして更新することにしました故に、コメントをいただけますこと、逆に励みをいただくことができました。ありがとうございます。
いつか、キャンプご一緒できるようなことがあれななんて思います!
Unknown (AK)
2011-04-04 10:02:11
かなり以前から愛読させていただいているのですが、初めてコメントさせていただきます
monolithさんのポジティブな取り組みに感激しています
私は九州在住なので、停電の大変さを共感できないのですが、今回の大震災をきっかけに、今までなんとなく考えていた資源のことをきちんと考え直し、改善できるところは実践していかねばと思っています

ブログの更新を楽しみにしています
Unknown (MONOLITH)
2011-04-05 00:02:51
AKさん、コメントありがとうございます! 九州は九州で桜島が噴火したりと、そんな時ってこっちでは実感わかない、そんな感じは皆あるものですよね。 ブログ拝見させていただきました。ピークハントに拘る山登りとは違う森の旅は自分にはとても新鮮でした。これからちょくちょく寄らせてください。自分も今年は森歩きしようかなぁなんて気持ちにさせていただきました

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