tatlı(タトル)
トルコの旅の楽しみは数多いが、食事もそのひとつであることは疑いない。ご存知の方も多いだろうが、トルコ料理は時に世界3大料理のひとつに数えられる。古くは中央アジアの遊牧民が、後には西アジアの農耕民がアナトリアの地に自らの食文化をもたらした。その後、西洋と東洋が、キリスト教とイスラームが交流と争いを繰り返したこの地では、その複雑な歴史において、食の変遷と融合もダイナミックに繰り返されてきた。
現在のトルコ料理の直接の祖先とも言えるオスマン帝国の宮廷料理は、この国の食卓に、華やかさと複雑さ、洗練をもたらした。
かつてスルタンが舌鼓を打った、王宮の食卓を彩る贅を尽くした甘味の数々。それらは、現在の甘党をも必ずや納得させる多様なスウィーツへと繋がっている。普段の旅ではあまり甘いものに目が向かない私でも、トルコのスウィーツには少なからず魅了されるのだ。
日本でもすっかりお馴染みとなった、のび~るアイス「ドンドルマ」を始め、アラビア語・ペルシャ語 ・ ギリシャ語の記事でも登場したバクラヴァ。バクラヴァ(バクラワ、バクラバ)は、『地球散歩』の3人組がいずれも馴染みのあるスウィーツのひとつ。オスマン帝国の拡張により西にもたらされた文物の話はこれまでも再三書いてきたが、スウィーツも然り。「文明の十字路」イスタンブルを経由し、後にバクラヴァはウィーンにまでもたらされている。ウィーン菓子を代表するシュトルーデルだ。バクラヴァは、蜂蜜やシロップに漬け込んだ薄いパイ生地を何重にも重ね、中にピスタチオや胡桃などのナッツを仕込んだ菓子であるが、シュトルーデルもまた、林檎やレーズンを薄い生地で巻き込んだパイ菓子である。また、トルコの西の端、トラキア地方のエディルネ(ブルガリア・ギリシャとの国境の街)の名物アーモンド・ペーストは、後にヨーロッパへ伝わり、マジパンとしてスペインで花開いた。
さて、バクラヴァに代表される甘いトルコ菓子は、無駄に甘いわけでは決して無い。
イランでもそうだが、ラマザーン中、日々の断食明けにまず食されるのは、そう、シロップ漬けの甘いお菓子である。効率よくエネルギーを補給するのにもってこいだ。トルコの事情はよく知らないものの、一月近くに渡って続いた断食明けを祝う「小祭」は、トルコでは「砂糖祭」と称され、バクラヴァを始めとしたスウィーツが振舞われることを聞き知っている。
トルコのスウィーツは盛りだくさんで、とてもここに全てを書ききれそうにない。
街歩きやバザール巡りの時は、美しく飾られたトルコ菓子の数々に目移りして、甘過ぎてたくさんは食べられないことが解っていながらも、つい欲張って注文してしまう。イスタンブル新市街、イスティクラル通りをそぞろ歩きしながら、ショーウィンドウの向こう側を覗き見、時にスウィーツの誘惑に応じる。
旅の空の下、味の記憶は鮮烈である。半年前、碧と待ち合わせたイスタンブル新市街、タクシム広場近くのパスタネ(スウィーツ屋)で一緒に舌鼓を打った、チョコレートソースがたっぷりかかったプロフィテロール(トルコ風シュークリーム:フランスから渡来したと言われている)の味もまた、一生忘れられないトルコの想い出の味となりそうだ。(m)
旅空の下でもスウィーツは活力の源。
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バルカンの一国であるクロアチアにも勿論その影響はしっかり及んでいて、バクラヴァやシュトルーデル(元はトルコ菓子でオーストリアを経由してやってきたって始めて知りました)はザグレブっ子にも人気のお菓子です。
プロフィテロールがトルコでも食べられてるってちょっと意外。
フランスでは人気のデザートの一つです。
プロフィテロールのシューの中身がアイスクリームだったりするんですけど、これがまた美味しいんですよね!
つい先日トルコ人&日本人のカップルに私の作ったご飯をご馳走したんですよ。
私もトルコ料理大好きです。
でもトルコのスウィーツってあんまり食べたことないかも~
なるほどなるほど。クロアチアには、元をただせばトルコのものも、ウィーン経由で入ってきたりしているのですよね~。クロアチアは、バルカンで一番ウィーンに近い国という気がしますものね。
プロフィテロールは、割合最近、トルコに入ったようですよ。中身がアイス!そのバージョンもぜひ食べてみたいです。(実は私、フランスには行ったことがないのです・・・)
ちなみに、トルコ人にウケる日本料理を教えてください!
トルコ料理、本当に美味しいですよね。
私も実はスウィーツよりもお料理の方が好きです。でも、トルコのお菓子ってカラフルだし、細工が細かいし、目でも楽しめるな~と。今後機会があったらsueさんもトルコ・スウィーツ、お試しください。
トルコの豊かな食文化に圧倒されます。
そして、トルコへ行った時は是非とも美味しい
料理を食べねば!!と願っている私…
トルコのお菓子、人からいただいたことがあって食べたことがあります。おいすぃかったなぁ…あの、甘さが!
ああ、書いている間にもお腹が減って参りました(笑)
トルコのお菓子も、甘いけれどただ甘いだけでなく繊細な味の魅力があり、ショーウィンドウに並んでいるお菓子を全部食べてみたくなるのです。この記事を書いている時もそうでしたが、私もお腹が減ってきました(笑)。
仕事の合間に、シュークリームやエクレアで糖分補給をする私としては、是非とも挑戦してみたいものです!
写真には、写っているのかな!?
気になります(笑)
あれ、日本でもうけそうですが、どこかで売ってないでしょうか。
仕事の合間、甘いものが必要ですよね!
写真には写ってないのですよ~。写真のお菓子はトルコの伝統的なお菓子、例えばロクム(ゼリーのようなもの)が写っています。見かけが綺麗で思わず、パチリ!でした。
トルコ語の単語につけるsu,sı,si, süなどは、単語の前にもうひとつ修飾のための単語をつけた場合にのみつく接尾語です。
また、トルコ語の文法には母音調和というものがありまして、もしtatlıに接尾語をつけるのであれば、tatlıのıの影響を受けてsıになり、suがつくことはありません。
例)kabak tatlısı(かぼちゃ菓子)のように。
なのでここのタイトルはtatlıが正解です。
詳しい文法的ご説明にも感謝しています。
ミクシィから辿ってきてくださったのですよね?(と、想像しています)
早速訂正をしておきました。トルコ語プロパー(?)の方が書いてくださるのが一番なのでしょうが。