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Soleil(ソレイユ)
フランス語の太陽「ソレイユ」と言えば、日本でも人気のサーカス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)をはじめ、多くの文物にその語が用いられ、日本でも馴染みの語彙となっている。
また太陽と言えば、ベルサイユ宮殿を建設し、数々の逸話・伝説を残したブルボン朝の王ルイ14世が、「太陽王(Roi-Soleil)」と呼ばれていた話も有名である。
ルイ14世が太陽王という異名を取ったのは、バレエ好きで王立舞踏アカデミーを設立した王自らが、ギリシャ神話の太陽神アポロンに扮し舞台に立ったことに端を発する。もちろん、その後の偉大な王としての業績も「太陽王=王の中の王」としての地位を得ることに貢献したことは言うまでもない。
「ソレイユ」という言葉から、南フランスの海辺の光景や、陽気で快活なイメージと同時に、幾ばくかの宮廷的優雅さのようなものまで連想してしまうのは、フランス本土に上陸した経験のない私の勝手なイメージ(妄想?)だろうか。
実のところ、私にとってのフランス語圏と言えば、かつてのフランスの植民地北アフリカのマグレブ諸国であり、「ソレイユ」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、カミュの『異邦人』の中で主人公が呟く、「太陽が眩しかったから」というフレーズだ。
アルジェリアの首都アルジェを舞台にした『異邦人』の中で、殺人を犯した主人公が裁判の際に動機を問われ、答えた台詞が上記の「太陽が眩しかったから」。『異邦人』は無論、社会の不条理をテーマにした小説ながらも、北アフリカの強烈な太陽光線と、その対極にある漆黒の闇が織り成すカスバの風景を実際に体験した者は、「さも有りなん」などと、「不条理」な発想に至ってしまう。いや、実際、このフレーズは私にとって時に別の意味で心に響いてしまうのだ。
中天に座し、陰ひとつ無いサハラの真上に輝く太陽。カスバの細い路地にくっきりとした陰を落とす太陽光線。地中海沿いの白い街並みとブーゲンビリアに映える木漏れ日。そのどれもが、私の頭の中で常に郷愁の念を掻き立て、憧れを増幅させ、彼の地を繰り返し訪れるべく慫慂する。自分の中の明らかな意思とは無関係に。
太陽にも様々な「姿」がある。マグレブ(مغرب「太陽が沈む処」)の地では不思議とそういう感慨に浸ってしまう。サハラの夕刻の、肌を通り過ぎていく金色に輝く風。燃えるような落日(Couche du soleil)の赤は、あたかも目に見えない風にまで「色」を与えるかのよう。巡り巡る天輪(太陽)は、その時、神という至上者の存在をも超えて、永遠の中の一瞬という時間を、強烈に私たちに意識させる。(m)
*灼熱の太陽と情熱の国・スペイン 複数形の太陽・エジプト 神の喜びの象徴・ギリシャの太陽 方角の名称ともなった沖縄の太陽 天体のリズムと体内のリズムの一致・イギリス
巡る太陽に導かれ・・・クリックを一度・二度・永遠に・・・
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バカンス中にどこかの島で太陽に焼かれながら過ごすのは良いとして、灼熱地獄と化したアテネにいると、思考能力もかなり鈍るし、『もうどうでもいい・・・』と思ってしまう感じ。
ムルソーが『太陽のせい』と言った気持ちがよく分かりました。
フランスでもパリとノルマンディを行き来する生活を送っていた私は、『この国は大凡Soleilとは縁のない国だ!』と思いがちですが、南仏には太陽の恵みがいっぱい。
余談ですが、クロアチアの海岸地域では、人の思考能力を狂わせる特殊な風が吹く日があり、昔は裁判でも犯罪を犯した日に、その風が吹いていたら、罪に問われなかったそうです。
クロアチア版『異邦人』では、『風が吹いていたから』ということいなりそうですね。
そういうことから、ソレイユという言葉から太陽をなかなかイメージできずにいたのですが、ある映画の原題を知ってからというもの、ソレイユ=太陽とすんなり結びつくようになりました。
もうおわかりでしょう、その映画。
「太陽がいっぱい(Plein soleil)」
アランドロン演じる主人公があのような犯罪を犯し、殺害した友人に成りすましたのは、太陽のせいではないでしょうが、満月がそうであるように、眩しい太陽が人を狂わせるというのは、ありうると思っています。
フランスもそうですよね。やはり「地中海」と「太陽」は、切っても切り離せないイメージで結びついていますね。
クロアチアでは「風が吹くと・・・」ですか!
その特殊な風を自分が経験したかどうかはわからないのですが、確かにダルマチア海岸沿いは、風が強かったな~と、思い出しました。裁判でも情状酌量の余地ありと見做されるクロアチアの風、魔の風、ですね。でも、気象条件が人の感情に及ぼす影響は、確かに大きいと思います。
おもしろいお話をありがとうございました!
日本でそれいゆ(ひまわり)と言えば、中原淳一の絵ですね~。あの昭和の香りがぷんぷんする独特のアヴァンギャルドな画風、好きです。しかし、子ども時代に中原淳一の絵に触れられたのですか?オルサさんの子ども時代の環境が見てみたい!
「ひまわり」という単語は、「太陽の周りを廻る」という意味の言葉が採用されている言語が多いみたいですね。(ペルシャ語もそうです)
そして、絵画・映画など、様々なジャンルに渡って話題を広げて下さってありがとうございます!さすがオルサさんだな~。
『太陽がいっぱい』、あの毒気のあるムードにはやられました。リメイク版の『リプリー』よりも、『太陽がいっぱい』での方が、よりその毒気が顕著でしたよね。
天体が人体に及ぼす影響、計り知れないですね。気が付いたら月に魅入っている私は、注意しないと。
う~ん、強烈な太陽と砂漠、地中海、ブーゲンビリア…それらのキーワードだけで、強力にどこか遠く、次元を超えたところに引き寄せられるような感覚に陥ってしまいます、まさに私の意思とは無関係に。
危険ですから、これらの呪文は「特別なとき」のためだけに取っておこう…
たいへんだ、大変だ…うっかり唱えてしまったじゃないか(笑)
私のまだ見ぬエジプト・・・。サハラの太陽は強烈ですが、とにかく魅惑的ですね。
呪文、うっかり唱えないように気をつけましょう(笑)
なんせ、ちょっと「ソレイユ」でググルと、住宅地の名前から洒落たレストランまでいろいろとまあヒットします(笑)
カミュが出てきて、アロンドロンまで登場。太陽のせい・・・。なるほど、私も太陽のせいにしてみたいです!(殺人をする気はないですが)
あ、やっぱり皆さん「ソレイユ」というと、何かしら優雅だったり芸術的だったりというイメージを抱かれますね~。しかもマークさん、わざわざググって頂いて。ああ、レストランの名前には確かにありがちな気がしますね~。
後半の文章・・・・爆笑!
太陽のせいにすると、いろんなことが出来そうですね(笑)