『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』横断車道(42)**<2006.9.&11. Vol.43>

2006年11月07日 | 横断車道

90年代の6月頃になると、道路騒音問題が新聞記事になった。環境庁(現:環境省)は全国の自治体から収集した、前年度の道路騒音調査結果をまとめて記者発表する。しかも9割の測定場所が環境基準をオーバーし、社会問題と受け止められた。しかし、昨今はそのような新聞記事は見かけない▼なにも道路騒音が改善されたからではない。国道43号線訴訟の最高裁判決を受けて、騒音の環境基準が改訂された。騒音の測定方法をより近代的な、最高裁判決に習ったのは正しかった。が、その際に例外区域規定を追加した。実は例外ではなく、全国で道路騒音が問題になる場所(騒音測定がなされる場所)は、総てこの例外区域規定の対象になった。国道43号線の騒音が激しい場所でさえ、この例外区域規定では環境基準内というのである▼騒音の環境は改善されていないが、新しい環境基準では総てクリアーする。従って、80%騒音の環境基準が達成されているので、新聞記事にならない。それと同じことが高速道路建設の赤字問題にも当てはまる▼小泉改革の目玉として道路公団が民営化された。道路公害に反対する住民団体は、70年代から有料道路制度(道路4公団)の財政破綻を指摘してきた。住民のそんな意見を黙殺してきた歴代内閣であったが、小泉内閣は反転して問題視した。以後、毎年8月前後に道路公団の財務諸表の発表があり、新聞記事も華々しく掲載した。日本道路公団の4分の3の路線は赤字であると▼ところが、公団民営化後の今年は、気がついた範囲で言えば、高速道路(株)の財政記事を載せたのは読売新聞だけであった。比較的目立たぬ記事で、東日本高速道路(株)の殆どの路線が黒字を確保したというものだ▼公団当時は《道路建設の借入金の年間金利(金利)》を《ランニングコストを差し引いた料金収入(収益)》と較べて、《収益》を《金利》が上回れば赤字といったのである。民営化後は借金を国の「道路保有機構」が丸抱えしている為、高速道路(株)の財務諸表は《収益》だけしか発表しない。総て黒字になるのは当たり前だ▼中曽根内閣で国鉄が民営化されたが、良くなったのは職員の愛想だけであった。サービスの低下(ローカル線の廃止・職員の削減・超過密ダイヤ・貨物輸送の廃止・運賃の高騰)は、結果として尼崎(福知山線)の脱線事故を引起した。あれだけ国鉄の赤字を言いながら、借金の大部分を「国鉄清算事業団」に押し付けて、JR各社が黒字になるのは当たり前。その借金も24兆円が36兆円に膨らみ、「事業団」解体の際に総て国民の税金に解消した▼咽もと過ぎれば何とか……。しかし「道路保有機構」の40兆円の借金は、これから膨らんで将来の国民が背負わされるのである。 (コラムX)

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