終戦?敗戦?その報道で気になること
藤井隆幸
♪夏がく~れば想いだす~ 遥かな尾瀬~♪ でもないのだが、夏の定番報道。戦争の悲惨さ、原爆や大空襲。南太平洋や沖縄での玉砕、シベリア抑留などなど。アジア侵略での、現地の人々へ与えた大量の被害。悲惨さを語継ぎ、次世代へ伝え続けるのは大切な事であることは、否定するものではない。
気になることは、戦争が何故起こったのか? その歴史的背景は、殆ど語られることの無い日本の報道である。戦争が再び起こらないためには、その真相を充分に検証すべきではないのか? 日本の軍国主義だけが、太平洋戦争になったという、単純なものではあるまい。
年末になれば「忠臣蔵」がTV番組での定番になる。まっ、TVを見ない生活が数十年になり、時代劇や西部劇が時代遅れになった今日、「忠臣蔵」が年末の定番でなくなっているのかもしれない……。
「忠臣蔵」が今日に伝えられるのは、江戸末期に「仮名手本忠臣蔵」という歌舞伎が流行したものが走りだと言われている。当時は江戸幕府体制下で、史実であった浅野内匠頭の切腹と、吉良家への討ち入りは、そのまま演じることはできなかった。時代を鎌倉幕府に置き換えたものだそうだ。「仮名」というのは、いろはにほへと……は47音で、討入の志士が47士であったことの隠語であるらしい。
史実はさておき、松の廊下の刃傷事件が、一方的な裁きになったことがテーマのようだ。当時の喧嘩両成敗という原則に違ったということか。徳川体制が崩れ出す時代に、幕府への反発が、「仮名手本忠臣蔵」の流行になったものと思われる。
さて、太平洋戦争は真珠湾攻撃とインドシナ半島進駐に始まる。日本の軍国主義が、単に侵略を進めたというのは、余りにも単純化しすぎではなかろうか。忠臣蔵を良しとするならば、帝国日本を無謀な進攻に追い込んだ背景にも触れなければ、歴史に忠実とは言えないのではないか。
日本の軍国主義・帝国主義を擁護するつもりは毛頭ない。日本との戦争を可能とするために、アメリカは如何なる手続きを行っていたのか。アメリカ国民を戦争に駆り立てるために、為政者のしたことは何か。
「勝てば官軍(戦勝国)」で、広島・長崎の原爆投下や大都市の絨毯爆撃が正当化されている。非戦闘員の無差別殺傷は、戦後のジュネーブ条約改定で禁止されている。日本の報道は触れていないのだが、世界の大半の国々は、批判的報道もしている。敗戦国であっても、言うべきことは言うべきだと思うのだ。
現在、ウクライナで戦争が行われている。この報道でも、客観的な報道は一切ないと言っても過言ではない。日本人でウクライナ情勢を正確に知っている人は、どれほどいるのだろうか。国営放送も含めて、マスコミはNATO側からの報道しか一切しない。それを信じている人が殆どであろう。それってプロパガンダそのものだろう。
戦後、70以上のアメリカが気に入らない政権が、破壊工作を受けている。ベトナムはもとより、イラク・アフガニスタン・シリア・リビアなどは、最近の出来事だ。アメリカの「民主主義」という説教は、アメリカに従属すべきということ。正義とか平等という価値観からは、とんでもなくかけ離れている。
戦後の日本は、アメリカナイズされてきた。知らず知らずの間に、アメリカの都合がまかり通るようになっている。そのアメリカが、とんでもない状況に陥っている。出口が見えずに暴走しだすかも知れないと思う。
戦後も急速に発展してきた日本を、アメリカは危険視していたのだと考える。隣国の中国や韓国と仲良くなるのを、懸念してきたように思う。その為に、様々な画策をしてきたのだろう。ところが、ここへ来て日韓関係の修復に熱心である。アメリカの暴走に都合よく、日韓同盟を利用しようとしているのではないか。
8月の暑い夏、終戦・敗戦報道の中で、益々暑くなる夏と、益々きな臭さが匂う日本情勢に懸念している。マスコミがいよいよアメリカのプロパガンダ一色になることが、非常に懸念材料である。
【投稿日 2023.8.26.】