環境・命・平和――悔いなき年に向けて――
代表世話人 大橋 昭
新年明けましておめでとうございます。各位には健やかな新年をお迎えになられたことと存じます。旧年中の物心両面のご支援に心からお礼申しあげ、併せて本年も何卒よろしくお願い申しあげます。
昨年は明るい話題の少なかった年だけに、今年こそは誰もが希望に満ちた穏やかな一年をと願いましたが早々からの禍々しい陰惨な事件の多発や、食品メーカーの不正事件や鳥インフルエンザ騒ぎなど、安心と安全を裏切られる不安なスタートになってしまいました。
正月三が日はまずまずの天候でしたが、年初から異常な暖かさが続いています。このことと地球温暖化を即座に結び付けることは出来ませんが近年、地球的規模での異常気象の発生と無関係とは言い切れないものを感じます。地球温暖化の原因についてはすでに多くの問題が指摘されていますが、根本的には有限なエネルギーに依拠し「大量生産・浪費・廃棄」を繰り返しながら、利便性と快適性を追求する私たちのライフスタイルに起因することは否めず、地球温暖化を始め自然生態系へ修復不可能なまでのダメージを与えています。このことは毎年、地球のどこかで発生する異常気象として現れ、現実には世界各地に集中豪雨や千ばつなどをもたらしています。とりわけ水資源・農業への影響(食料危機)やマラリアなど伝染病の流行の予兆は、急速に具体化しつつあり、人類が初めて直面する危機故に、その影響が懸念されるところです。いうまでもないことですが、深刻化する温暖化対策に特効薬はなく、これにブレーキをかけ得るのは私たち自身が、自ずからのライフスタイルを真剣に変革することです。
「資源枯渇」「環境汚染」の進行に対して、化石燃料エネルギー依存からの脱却をメーンに自然エネルギーの活用など、地球環境に負荷を掛けない代替エネルギーヘの転換が急がれるところです。
一方、新年早々の一月四日、安倍首相は年頭の記者会見で「現在の憲法が時代に合わない」「今夏の参議院選挙で改憲の信を問う」と表明し、同時に憲法第9条の戦争放棄の条項の見直しを自らの政治課題と明言しました。また一月八日には戦争放棄を定める平和憲法との関係で、半世紀の間存在した防衛「庁」を「省」として独立させました。
その記念式典で首相は「戦後体制から脱却し、新たな国造り(美しい国)への第一歩」と語り、今後集団自衛権行使の研究の推進を表明し、日本の防衛政策の根幹である専守防衛や非核三原則の見直しヘゴーサインを出し、この国の誤った過去の歴史に真摯に向き合おうとしない姿勢は、やらせ付き教育基本法「改正」でも如実に暴露しました。
これら一連の動きを通じて、この国があの忌まわしい戦前の暗い時代に逆戻りしているのを感じます。安倍内閣の首相をはじめとして戦争を知らない戦後生まれの為政者たちは、アジア民衆に多大な犠牲を強いた侵略戦争への総括もせず、しかもまだ従軍慰安婦・強制連行・シベリア抑留・中国残留孤児・被爆者問題等、解決が急がれる戦後責任を放置し、あの戦争の惨禍の教訓から目をそらし、これらを生んだ責任を不問にしたままです。
そして、今また対米追随を堅持し内戦化するイラク戦争に支持・加担し、北朝鮮敵視政策で戦争の危機を煽り、「核保有」を公然と言い放ち「いつでも戦争できる体制ヘの再編」を意図する姿勢は、国内のみならずアジアの人々にも大きな不安感を与えています。
今、大切なことはいのちと生活のすべてを破壊し尽くす危険な戦争政策よりも、働いても働いても食えない若年者たちに仕事を保障し、福祉切り捨てで生存が脅かされる状況におかれている高齢者・障害者・生活保護者に、生きてゆく勇気と希望を与える政策の実行です。私たちには規制緩和と競争一辺倒を押し付ける政治の在り方を見直し、格差と差別のない人が人として尊重され、正義の通用する社会への大胆な方向転換が急務です。
日々、地球を席巻し進行するグローバル化は政治・経済・環境・軍事のすべてを飲み込みつつ、この国をも戦後最大の曲がり角に立たせています。私たちはそれぞれの考え方や価値観の違いを大切に、平和といのちと環境を守り、日々の生活を大切にする人々との連帯を強め、一切の軍備を持たず「戦争をしないさせない国」つくりに向けた市民の団結が求められるところです。
愚かな人間が行う戦争の加担者になることを拒否し、閉塞した社会の打開に向け悔いなき年にしたいものです。
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