自転車の交通法規上の曖昧さ
藤井隆幸
自転車と自動車の保有台数
自転車の日本社会での位置は、如何なるものになるのだろうか。自動車と比較して、どれほどの存在感があるのだろうか。
1995年に自動車が自転車を超している。資料が古いので2013年までである。自動車は低迷しているのに反して、自転車の増え方が勝っているようにも見える。交通手段としては、自動車に劣らない存在感であるのが理解できる。
自転車の手軽さと安全性の不安定さ
しかしながら、その自転車における規制の在り方は、まことにお粗末と言うほかはない。無法状態と言っては問題が起こるだろうが、現実の事故に対して、多くの懸念が言われているのも事実だ。
信号無視、夜間の無灯火、歩道上の暴走、スマホ見ながら運転、右側通行、などなど。無謀運転は常態化しているのである。近年、急速に普及した電動補助自転車は、脚力がなくてもスピードが出るので、法規を無視した暴走が顕在化している。高齢者が脚力の衰えでも、何とか前進できるので、電動補助自転車を利用しているのも多いが、歩道の右から左まで振れながら動いているのも危険ではある。
自転車は原則車道とは言うが、自転車が安全に車道を走行できる道路は、日本においては殆どない。自動車の性能が増々向上する中で、反比例して運転者の技能低下は、そのことに深く関係している。
自転車が歩道を走行することに、現実に異論を唱えられない現実がある。とは言いながら、自転車運転の法規無視も甚だしいのではある。
法令制定の遅れは自動車中心主義の弊害
この標識は一方通行を示すものである。が、下の「自動車・原付」のプレートが付いていなければ、自転車も一方通行を守らねばならない。しかし、法的には車椅子も乳母車も人も一方通行を守らねばならない事になる。
現場の交通関係の警察官でも、プレートが外れているのか、すべての交通が一方通行なのか、調べなければわからないのである。現実の交通法規が、合理的になっていないのが現実である。
自動車に関する交通法規は、ソコソコ徹底しているのではあるが、自転車に関しては曖昧模糊と言うのが現実だろう。
自転車も車両である限り、道路交通法に規制されるはずである。が、夜間の点灯に関して、道路交通法の規定は、
道路交通法 第三章【車両及び路面電車の交通方法】第五十二条(車両等の灯火)車両等は、夜間……、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。
となっているが、自転車に「車幅灯」は装備されていない。自転車の灯火については、兵庫県条例で規定されている。
兵庫県の条例・規則 第17編 警察/第8章 交通 【兵庫県道路交通法施行細則】第2章【車両の交通方法】(軽車両が道路を通行する場合の灯火)第6条 ……軽車両がつけなければならない灯火は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 白色又は淡黄色で、夜間前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる性能を有する前照灯
(2) 橙色又は赤色で、夜間後方100メートルの距離から確認することができる性能を有する尾灯
2 軽車両が夜間後方100メートルの距離から……前照灯で照射した場合にその反射光を照射位置から容易に確認できる橙色又は赤色の反射器材を備え付けているときは、……尾灯をつけることを要しない。
夜間灯火に関してだけでも、道路交通法の車両にもかかわらず、自転車の規定は定められていない。すべての都道府県条例を精査したわけではないが、罰則も行政処分も規定されていない、お願いのような条例でしかない。
存在感を増す自転車の交通法規整備が求められる
電動補助自転車などが増える昨今、自動車だけに限った交通法規を見直す時代になっているのではないか。兵庫県では自転車の強制賠償保険(自動車でいう)のような条例が施行されている。自転車による死亡事故もあるのだから、国による法規の制定は必要なのだろう。
法律が施行されても、人々が守るとは言えないのは、飲酒運転撲滅運動を見ても容易に理解できる。小学校などでの教育が重要なのではないかと考える。ドイツでは、ゴミの分別を小学校で徹底して教育しているとのこと。親は子供に対する面目もあって、ルールを守るようだ。また、判らない分別は、子供に聞く様である。
幼児期からの交通ルールの徹底は、効果が大きいと思う。罰則強化や取締りと言うのは、あまり感心しないのではある。駅前駐輪の改善は、駐輪場の整備で大きく改善している。自転車交通の施設整備も、急務のように考えている。
ヨーロッパでは自転車の利用も多く、マナーも良いと聞いている。それは自転車交通環境の整備が徹底しているからだと思っている。自転車ごと電車に乗れるところもあることや、歩道とは完全分離された自転車道の整備もされているようだ。
脱CO2を考える上でも、電気自動車では不十分で、可能な範囲であれば自転車は有効ではある。ただし、男性高齢者は前立腺肥大にご注意を!
また歩道通行の要件を満たさない自転車利用者は事情がないかぎり、歩道通行を自粛すべきと思います。
(現行)道交法第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。
(新)道交法第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、左歩道を通行することができる。
また歩道通行の要件を満たさない自転車利用者は事情がないかぎり、歩道通行を自粛すべきと思います。
(現行)道交法第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。
(新)道交法第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、左歩道を通行することができる。
また歩道通行の要件を満たさない自転車利用者は事情がないかぎり、歩道通行を自粛すべきと思います。
(現行)道交法第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。
(新)道交法第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、左歩道を通行することができる。
芦屋市に市民の声として、今のうちから道交法六十三条に基づく安全指導を芦屋警察とともに行うように先月申し入れました。