『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』**資料・交通需要マネージメント情報**<2002.9. Vol.19>

2006年01月07日 | 単独記事

資料
lnformation on TDM (Transportation Demand Management)
交通需要マネージメント情報(ロードプライシング)

 日本の道路建設行政は、道路建設が渋滞緩和策と主張し続けている。その為、日本の国民の多くは、そう思い込んでいる。しかし、道路交通工学の科学的見地からは、それは誤りである。先進国の交通行政は、新たな道路建設は渋滞を深刻にし、何の解決にもならないと主張している。道路容量を圧倒的に凌駕する、潜在交通需要が存在する現実では、交通需要を抑制すべきと言い切る。それが「交通需要マネージメント」である。日本には交通行政を司る役所自体、存在しない。

 阪神間で「ロードプライシング」というと、国道43号線訴訟や尼崎公害訴訟の解決策として、国道43号線や阪神高速3号神戸線を走行する大型車を、平行して海岸線を走る阪神高速5号湾岸線にシフトさせる為に、後者の料金を安くする事を言う。しかし、それは本来のロードプライシングとは別物である。

 本来のロードプライシングとは、交通需要マネージメントの中心的手段で、通行賦課金制度のことである。通行料金と言えば日本では、道路整備特別措置法に基づき道路建設費を通行料金で賄う制度があり、有料道路制度を連想する。交通需要マネージメントに於けるロードプライシングとは、通行料金を賦課することにより、一定地域に流入する交通量を抑制する事を言う。シンガポール・スウェーデン・パリなどで、既に一般的に行使されている制度である。就任直後の石原東京都知事が、このロードプライシングを実行すると言うので、識者から拍手を浴びたものであるが。

 さて、8月3日の読売新聞朝刊に、ロンドン市が来年の2月より、ロードプライシングを実施するとの記事が載っていた。市の中心街4~5km四方の地区に、7:00a.m.~6:30p.m.の間に通行する車から、1日5ポンド(約910円)を徴収する。違反者からは80ポンド(約14500円)の罰金を取ると言うのである。バス・タクシー・緊急車は無料で、区域内住民には割引があるそうだ。ロンドン市長の提案から、反対の提訴が行われたが、全てが却下された事で実施されると言う事である。

 具体的徴収方法は記載が無かったが、おそらく中心街の地区の交通量は1割程度減るであろう。今まで在った大渋滞は見られなくなり、交通量はガラガラ状態になり、移動時間の短縮効果は絶大である。交通事故は激減し、環境は大幅に改善され、マイカーをやめた人は可処分所得の激増で、優雅な生活が出来る。また、肥満や高血圧やストレスから開放され、歩く事で健康的になる。マイカーでは気付かなかった多くの事に気付き、思考力も増強される。歩行者が増えれば、商店街も活気を得る事であろう。徴収された賦課金は、年間300億円は下らない。何が出来るかだ?(文責=藤井)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『みちしるべ』熊野より(1)*... | トップ | 『みちしるべ』私の悪文は我... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿