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人事 次期大統領の組閣 選挙功労者と軍警察、元閣僚出身者多し ( Philippines inside news)

2016年06月11日 | ASEAN諸国ニュース
人事 次期大統領の組閣 選挙功労者と軍警察、元閣僚出身者多し
Philippines insidenews 2016/06/01 (水) 21:32

選挙に功労、協力した人物に対して公職に就けることが常態化しているフィリピンで、次期大統領ドゥテルテはかなり露骨な組閣人事を発表した。
 中でも、選挙資金を出したと伝えられる前上院議員のヴィリヤールに対して、その息子の下院議員を巨額な公共投資を行う公共事業道路長官に任命。
 ヴィリヤールはフィリピン有数の不動産会社を所有し、自社の持つ土地近隣に政府事業の道路や鉄道を敷設しているなどの噂もある大富豪。
 2010年大統領選に立候補し、アキノ現大統領が名乗りを挙げるまでは世論調査で独走し当選確実とまで言われたが、本選挙では3位に沈んだ。

 このためか、今回アキノ与党から出馬し、無名ながら副大統領選に小差で当選したロブレド下院議員に対して、通常は反対党の人物が当選しても閣内に迎える慣習を破り、今回の組閣にはロブレドのポストを用意しなかった。

 これに対してドゥテルテは『自分の父親と故マルコス大統領が親しく、副大統領選で落選した息子を傷つけたくなかった』と、その理由を述べているが、ヴィリヤールの仇敵アキノに対しての意趣返しではないかと見られている。

 国家警察長官には元ダヴァオ署長だった人物を起用し、ミンダナオ島人脈の重用が目立つが、ドゥテルテ自身が『左派』と述べているように、社会福祉開発長官にはフィリピン共産党に近い元フィリピン大学教授を起用。

 同じく農地改革長官に左派系の元下院議員を任命し、フィリピンの政情不安の源となっているイスラム反政府勢力『モロ・イスラム解放戦線=MILF』に対する和平交渉を担う大統領顧問にエストラダ政権で交渉団長を務めた人物を起用。

 同じくフィリピン共産党の統一戦線組織『民族民主戦線=NDF』交渉役として、アロヨ政権で担当した人物を起用した。

 しかしヴェテランとはいえ、エストラダ、アロヨ政権ともどちらも和平合意には達せず、エストラダ政権の時はイスラム組織に対して徹底的な攻撃を加えて以降の交渉をこじらせた人物が交渉役に今回就いたことに対して早くも不安視されている。

 また、大統領報道官に就任した人物は2009年11月にミンダナオ島マギンダナオ州で報道関係者など57人を虐殺した首謀者のアンパトゥアン一族の弁護人を務めた過去があり遺族や人権団体が問題視している。

 同時に軍の制服組最高位になる国軍参謀総長に起用された中将は、過去に『血生臭い人権弾圧に加担した人物』指弾されていて、今後問題を呼ぶ可能性がある。

 この他、政府予算を編成、指揮する予算管理長官にエストラダ政権で同長官を務めたフィリピン大教授が返り咲き、全体にエストラダ政権の影が濃い事が特徴になっている。

 なお、ドゥテルテとペアを組んで副大統領選に出て3位で落選したカエタノ上院議員は上院議長を狙っているとされ、これに対して辞職しないで他の公職ポストに立候補でき、落選したら元に戻る選挙システムはおかしいとの声も挙がっている。

 また、フィリピンは閣僚及び閣僚ポストの数が多過ぎて、この間発足したミャンマーのようにお手盛りの省庁を大幅に削減するべきとの声もあるが、選挙に勝った報償のための人事に必要とその機運は全くない。


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