日ロ共同声明全文 日ロ経済協力編 (抜粋記事)
時事通信
13年4月29日 モスクワにて(2013/04/30-02:03)
15 両首脳は、世界経済の成長センターがアジア太平洋地域に移行し、また、地域内の経済の相互依存が強化される中で、相互信頼に基づく対等なパートナーとしての両国間の互恵的な貿易経済協力の全面的な深化は、両国間の関係の強化の重要な要素であることを強調した。
16 両首脳は、日本とロシアとの間の貿易高は12年に記録的な指標を達成し、着実に増加しており、日本の対ロシア直接投資も活発となり、貿易経済分野における協力が新たなレベルに上がったことを指摘した。両首脳は、12年11月に東京で開催された貿易経済に関する日ロ政府間委員会第10回会合の結果、日ロ貿易投資促進機構の重要な役割およびビジネス界代表者の間の定期的接触の効果的実施を肯定的に評価した。
17 両首脳は、日本とロシアの極東・東シベリア地域との間の貿易経済協力の活性化に向けた、エネルギー、農業、インフラ、運輸等の分野における互恵的なプロジェクトの推進の意義を特に指摘した。また、両首脳は、同地域における協力推進のための両国間の官民パートナーシップ協議を開催することに賛同した。
17 両首脳は、日本とロシアの極東・東シベリア地域との間の貿易経済協力の活性化に向けた、エネルギー、農業、インフラ、運輸等の分野における互恵的なプロジェクトの推進の意義を特に指摘した。また、両首脳は、同地域における協力推進のための両国間の官民パートナーシップ協議を開催することに賛同した。
18 両首脳は、国際協力銀行(JBIC)、開発経済銀行(VEB)およびロシア直接投資基金(RDIF)の間で、「日ロ投資プラットホーム」の設立に係る覚書が署名されたことを歓迎し、このメカニズムが、ロシアにおいて、日本企業が参画する互恵的案件の実施のために積極的に活用されることへの期待を表明した。
19 両首脳は、日本貿易保険(NEXI)およびロシア輸出信用・投資保険庁(EXIAR)との間で、貿易・投資促進に向けた協力関係構築に係る覚書が署名されたことを歓迎した。
20 両首脳は、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟を歓迎するとともに、ロシアにおける貿易投資環境の改善が両国間の貿易経済協力のさらなる発展を促進することで一致した。両首脳は、ロシアにおける貿易投資環境改善の制度的問題に関する日ロ作業部会の第1回会合が成功裏に開催されたことを肯定的に評価し、この分野の取り組みの活性化に賛意を示した。
21 両首脳は、日本企業による対ロ進出拡大の機運を歓迎し、一時的労働行為の問題に関し、新たな国際約束による可能性も含め、必要な措置を取るための予備的な協議を実施することに賛同した。
22 両首脳は、ロシアの経済近代化に関する日ロ経済諮問会議の果たしている重要な役割を指摘するとともに、近代化、イノベーションおよび現代的テクノロジーを利用した高付加価値製品の生産および消費の分野で協力を発展させる必要性について一致した見解を表明した。
23 両首脳は、運輸インフラの近代化、都市環境問題の解決、食品産業の発展ならびに先進的な医療技術および医療機器ならびに医薬品の普及および実践的活用における互恵的協力の拡大の意義を強調し、これらの問題に関する2国間作業部会その他の協力のメカニズムを活発化するよう指示した。
24 両首脳は、エネルギーは日ロ経済協力の主要な分野の一つであることにつき見解を共有し、「東シベリア-太平洋」パイプラインシステムの完成を歓迎し、この分野における両国間のパートナーシップをアジア太平洋地域のエネルギー安全保障の強化の文脈において検討しつつ、かつ、11年3月11日の東日本大震災後の日本におけるエネルギー需要の増大および価格の上昇に注意を払いつつ、市場の情勢を考慮した競争力ある価格でのエネルギー供給を含む互恵的な条件でのロシアの極東・東シベリア地域等における石油・ガス分野の両国エネルギー協力の拡大の重要性を強調した。
25 両首脳は、12年5月3日に原子力の平和的利用における協力のための日本政府とロシア政府との間の協定が発効したことを歓迎し、原子力安全を含む原子力分野での協力を進展させることを確認した。
26 両首脳は、福島第1原子力発電所における事故の後、原子力エネルギー施設の安全確保のための共同の努力が必要であるとの国際社会で形成された共通理解を確認し、増大する世界のエネルギー需要を満たすための重要なエネルギー源の一つである原子力エネルギーに対する信頼の回復のため、原子力安全に関する国際的な法的枠組みの強化および核物質の防護に関する条約の改正の早期発効の重要性を指摘した。
27 両首脳は、密漁および日本へのロシアの海洋生物資源の密輸出を断固として非難し、12年9月8日にウラジオストクで署名された北西太平洋における生物資源の保存、合理的利用および管理ならびに不正な取引の防止のための日本政府とロシア政府との間の協定に関する両国間の緊密な連携を歓迎し、その早期の発効に向けた作業の活性化および発効後の効果的な実施への期待を表明した。
28 両首脳は、日ロ両国が、1984年12月7日付の日本政府とソビエト連邦政府との間の両国の地先沖合における漁業の分野の相互の関係に関する協定、85年5月12日付の漁業の分野における協力に関する日本政府とソビエト連邦政府との間の協定、および98年2月21日付の日本政府とロシア政府との間の海洋生物資源についての操業の分野における協力の若干の事項に関する協定の枠組みにおける協力を互恵的な基礎の上に継続することを確認した。
29 両首脳は、外交当局間協議のメカニズムを活用し、北極海の問題に関する2国間協力を実施する意向を表明した。ロシア大統領は、日本による北極評議会オブザーバー資格申請に留意した。
以下省略