音楽にこんがらがって

音楽制作を生業としている加茂啓太郎の日常

未来型サバイバル音楽論を読んで

2010年11月11日 | 
REVOLUTION ROCKの審査員も努めていただき、メディア・ジャーナリストの津田大介さんと日本のロック、ニューミュージックの黎明期から業界にいらっしゃる牧村憲一の共著で、CD不況の閉塞状況にある音楽業界を、今後どうすれば良いかという事を考えようという本です。


津田さんの意見は要約すれば、ツイッター、ユーストリーム等を使えばメジャーのレコード会社が今まで行ってきた宣伝、営業は必要くなりつつあるのではないか?

牧村さんの意見はフランスの40年続いているサラヴァ・レーベルを例にあげ、商業主義ではなく、ポリシーを持ちCDビジネスだけではなく、360度ビジネスのスモール・レーベルにこそ
未来があるのではないか?

という事だと思います。

メジャーメーカーに居る僕が言うのもなんですが、ほぼ同意見です。
日常に思っていた事でした。(違うとしたらスケールメリットの必要性と、売れる可能性より利益率をアーティストが選らんで良いのか?という点です)

でも面白かったのは「ミドルマン」という考え方ですね。
さまざまな場面で音楽をユーザーに伝えるのは誰かがいなければならないというものです。
僕の経験で言うとスーパーバタードッグの解散ライブの打ち上げで永積君は「マネージャーの黒島さんが居なければ、1枚で解散してました」
というものです。彼女なしでは彼らは存在しなかったわけです。

逆に例は良いマネージャーやディレクターに恵まれずに潰れていったバンドやアーティストも多く見てきました。

お二人は従来の”ミドルマン”は中間搾取だったけれど、これからはアーティスト発信するものを正しく伝える”ニューミドルマン”の時代だとおっしゃっています。


まさにと膝を打ちました。
もはや、レコード会社の投資とインフラをアーティストが期待しなくても良い世の中になりつつある今、「この人と働きたい」と思わせる会社の看板ではなく、個人の能力と魅力のある人物が求められているわけです。

厳しい現実と、ものすごく色々なヒントが詰まっています。
音楽業界人とプロを目指すアーティストは妄信するのは若干危険な部分はあるけれど、間違いなく必読です

それと、津田さんのアイディアで田中茉裕ちゃんやってみようかなと思ってます。

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)
津田 大介,牧村 憲一
中央公論新社


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2 コメント

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ありがとうございます (makiji)
2010-11-15 19:29:45
はじめまして。以前からたびたびご活躍のご様子を聞いておりました。また、盟友というか頼りにしている津田さんからもお話を聞いております。加茂さんは既にご本を出されていたかと存じますが、共著と言え初めての出版で戸惑う日々です。お褒め頂き、ご支援頂き感謝しております。今後もよろしくお願いいたします。牧村憲一
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Unknown (suzuki)
2010-11-20 03:08:55
いつも興味深く読ませて頂いています。
いくつか疑問があるのですが、天才でない人が天才を見つけることは可能でしょうか?
天才なんてものが存在するのでしょうか?
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