音楽にこんがらがって

音楽制作を生業としている加茂啓太郎の日常

映画見てますか?

2020年03月28日 | 映画
皆様、外出自粛の中、いかがお過ごしですか。

時間があれば今までに増して映画館に通う日々です。


僕の基本的なクリエイティブのイマジネーションの源泉は映画館とレコード屋で、
色んなアイデアはなぜかライブを見ている時、それとジムのジャグジーでボーっとしている時に浮かびます。

ちなみにフィロソフィーのダンスというグループ名の由来はアレハンドロ・ホドロフスキーの映画タイトルとthe shaggsという世界初のカルト・ガールズ・バンドからです。

アルバム・タイトルの「ザ・ファウンダー」というのはマグドナルドの創設者の話の映画で、
「エクセルシオール」というのはマーベルの創設者スタン・リーのメッセージですね。

「シスター」のジャケは「ハウス・ジャック・ビルド」のパンフレットから閃きました。

グラマラス4・ツアーのイ全体のメージは「スタジオ54」という80年代のNYクラブを舞台にした映画をヒントにしてます。

最近のデュア・リパがスタジオ54感があるという事を音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんが言っていて、我が意を得たりという感じです。

今年劇場見た映画です

ヘヴィー・トリップ

死霊の盆踊り

エクストリムーム・ジョブ

パラサイト(X2)

フォード VS フェラーリ

音楽

ジョジョ・ラビット

リチャード・ジュエル

ラスト・レター

ドンキホーテ

彼らは生きている

ナイブズ・アウト

ハスラーズ

スキャンダル

ミッドサマー

スイング・キッズ

初恋

地獄の黙次録(ファイナル・カット)

名もなき生涯

レ・ミザレブル

37セカンズ

1917

娘は戦場で生まれた

ジュディ

ムルゲ

ミッドサマー(ディレクターズカット版)

三島由紀VS東大生

人間の時間

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒

ビッゲスト・リトル・ファーム

デット・ドント・ダイ

21世紀の資本

スノー・ピアサー


どんなジャンルが好きかと言われれば、食べ物と同じで美味しければなんでも良いという意味で映画も面白けれなんでも良いのですが、強いて言えば戦争映画が好きですね。

なぜなら宇多丸さんも言ってますが「絶対に会いたくない状態を 空調も効いた絶対安心、最高に快適な空間で疑似体験出来るというのが映画の醍醐味だと思います。

それとハードな戦争映画を見ると「こんな時代や場所に生まれず自分は生きてて良かった!」と思えるから戦争映画を見てしまうのかもしれません。

それと魅かれるののは監督の「でもやるんだよ」精神のある映画ですね。

なのでエド・ウッド、リドリー・スコット、キム・ギドグ、ギレルモ・デル・トロ、井口昇など、商業主義的な利益は2の次でも、自分の作りたいものを作りたいという監督の情念が、作品としてはイマイチでも伝わってくる作品には魅かれます。


話は変わりますが、映画というのは見てる時だけではなく、その映画について深く知る事で、その映画をより楽しめますよね。

映画ジャーナリズムというのは忖度して基本的に見てない人前提じゃないですか、それって片手落ちだと思うんですよね。
見てない人に向けてネタバレは良いとは思わないですが見た人に対しての映画評論もあるべきですよね。

だから町山智浩さんの有料の音声配信の「映画ムダ話」は最高に面白いですね。

最近だと「ジョジョ・ラビット」は僕の大好物の戦争&ナチスがテーマなんですが、面白くなくはなかったのですが何か腑に落ちないモヤモヤがあったのですが、この音声解説を効いて、その理由が分かりました。

韓国映画「コクソン」(パラサイトより、この作品の方が好きですね)
めちゃくちゃ面白いんですが、その理由を解こうと思い3回見たんですが、まだ理解できずにいたんですが、町山さんの映画解説を聞いて膝を打ちました。

宇多丸さんのムービ・ウォッチメンも大好きですが、内容は観てない人前提ですよね。
放課後ジャンクションで 毎回有料でも良いので観た人向けの別バージョンを聞きたいです。

ちなみに映画のパンフレットも基本的に観てない人前提で編集されてると思うのですが、今は感動した人しかパンフレット買わないと思うので、観た人前提にして良いと思います。

現時点のベストは色んな事を考えさせられたという意味で「娘は戦場で生まれた」です。

シリアの内戦についてのドキュメンタリーです。

ぼんやりは知っていましたが、この機会に調べたら、シリアは、こんな経緯でこんなひどい事(子供の死体)になったんですね。

自分の感動の基準の一つは目の前にある事象を解析するために脳がドライブするかどうかなのですが、この「映画は「なぜこんな事が起きたのか?するのか?どうすれば良いのか?」

ドライブしまくりでした。

次点は韓国映画の「スイング・キッズ」

これもよくある戦場友情物かと思いきや、途中から不穏な雰囲気が漂い始め、最後はまさかの展開。

僕の部下だった大熊なら涙出なくなるまで泣くと思います。(彼はメタル・バンドの傑作ドキュメンタリー「アンヴィル」で号泣、僕は爆笑してました)

ちなみに僕は映画好きなのに、劇場で泣いた事は人生で1回もないので泣ける人が羨ましいんですけどね。

韓国映画は本当に面白いです。日本で公開されるものだけでも全部見たいです。

パラサイトは言うまでもなく、韓国映画、6本見ましたが、「ムルゲ」はちょっと微妙でしたが、後は、どれも素晴らしいです。

キム・ギドグは大ファンですが、「人間の時間」は映画としてエド・ウッド並みに脚本、ディテール、辻褄が破綻してますが、鬼畜度がそれらを凌駕してすごい作品になってます。

チャン・グンソクのおばちゃんファンは上映後、言葉を失ってましたね。この悪意も最高です。

ラース・ファン・トリア(ハウス・ジャック・ビルト最高!)と並んで鬼畜監督の現代の2大巨頭ですね

邦画はバカ発言をすると字幕読まなくて良いので観てて楽なので観たいんですが、あまり惹かれるものがないですね。

アニメの「音楽」評判良いので期待したのですが、ヤンキーの設定とかステレオタイプで古くないですか?

良さが分からなかったですね。

ちなみにこれも昨年評判が良かった「殺さない彼と死なない彼女」も全然分からなかったです。

「37セカンヅ」は攻めてますね。
良い人しか出てこない映画はあまり好みではないのですが、何よりも障害者のセックスというタブーに挑戦してるのが素晴らしいです。

近田春夫さんのライム「本当のタブーに挑戦してみてよ、そしたら僕も応援するから」を思い出しました。


僕の野望がまだあるとしたら音楽映画のドキュメンタリーをプロデュースしたという事なんですが、チャンスがあれば頑張りたいです。

ちなみに僕の音楽ドキュメンタリーのフェイバリットはニューヨーク・ドールズのベーシストだったアーサー・ケーンのものです(意外過ぎる展開に、まさに衝撃のラスト!)

そういえがロキシー・ミュージックの初代ベースのグラハム・シンプソンのドキュメンタリーが公開されたらしいのですがネット・フリックスで公開して欲しいです。



リミックス・アルバム「SAPIOSEXUAL」について。

2020年03月06日 | 楽曲解説
今回のリミックス・アルバム「SAPIOSEXUAL」がリリースされたので、この作品について書いてみたいと思います。

そもそもリミックス・バージョンを出そうと思ったきっかけはエド・シーランやリル・ナズ X、ビリー・アイリッシュ等が様々な話題性のあるリミックスを出す事で、ロングテイルで曲をバズらせるという、宣伝戦略に影響されたという事があります。

後はアイドルでCDを積ませる文化は作詞家、作曲家には正直、収入源にはなるのですが、やはりこれは「音楽を売る」という意味では真っ当ではないのと廃れて行くと思います。
その際にサブスクでの印税を良き作品を作ってくれた作家にも還元したい思ったというのあります。(ライブ音源をリリースするのも同様の意味もあります)

リミックスというのは70年代後半のディスコ・ブームの時にクラブでDJが他の曲と繋いだりしやすいように、イントロ、アウトロを長くする、あるいはフロア対応用にキック、ベースのバランスをあげるというもので、もともと入っている音源のみで作るものだったのですが(70年代のレコードでは今でいうMIXをREMIXと表記してあるものもあります)
これが90年代に入り、元のトラックにない音源を使うように、2000年代以降は歌以外の音源は印象的なフレーズをのぞいてはほぼ使わないのがほとんどです。

こうなるとこれはリミックスというより実際はリアレンジと呼ぶべきものに発展したのですが、名前を変えるタイミングがないまま今に至っています(未だにデモ・テープという表記も見ますよね)

でも、これは一つの曲でゼロから録り直さなくても、同一曲のいくつもアレンジのバージョンが制作費もさほどかからず自分が頼みたいアレンジャーに頼んで作れるという事ですね。

ディレクターとして、こんな楽しい事はなくないですか?

リミキサーもメイン・アレンジにはならないのを承知しているので、一番自分の中で実験的、先鋭的な事をトライしてくれる事も多いので、これも面白いです。

リミックス・アルバムとしてまとめて出さずに月ごとにリリースしたのは、ネットでフリーで聞かれていた曲でもCDにすると売れたりしますよね。
こういうような状況に、リミックス・バージョンを小出しに出して、まとめてフィジカルでリリースする時にならないかと思ったからです。

では1曲ごとの解説したいと思います。

「スーパーヴィーニエンス」のNight Tempoのリミックスは彼の場合、パラデータが手に入らないため2ミックスから作ったであろう作品も多いのですが、これはパラデータからやってもらったので完成度は高いと
思います。
どの曲のリミックスをしたいかは、お任したのですが、一番80's度、シティー・ポップス度が高い、この曲を指定されたのには納得しました。

「イッツ・マイ・ターン」のT-Grooveのリミックスは86年にリリースされた曲を言っても、そのまま通じますね。
夜の首都高速で聞いていて気がついたら80年代にタイム・スリップしていそうです。

エレピ(エロピ?)とアウトロのAORな長尺のギター・ソロ もご機嫌です。

「夏のクオリア」のikkubaruのリミックスは山下達郎フリークである彼らならこの曲しかないだろうという感じで頼みました。
もう少し時間があれば生演奏でも出来たとの事なので次回は生演奏でお願いしたいです。

「アイム・アフター・タイム」のパソコン音楽クラブはヴェーパー・ウェイブな仕上がりですね。
ギター・リフ・メインのアレンジからシンセ・メインのアレンジなりコードが絶妙に変わってるのがキュンキュン来ます。

「ヒューリスティスック・シティ」のmabanuaのリミックスはJ Dilla以降のヒップホップのビートが最高です。
ラッパーがブレイク部分、サンプリングしてラップして欲しいです。

「ライク・ア・ゾンビ」のヒャダインのリリリリ⭐︎リミックスの画期的なところはメロディーを変えてしまったところですね。
メロディーはいじらないというのはリミックスの不文律なのですが、これをやられたのには驚きました。
トラックもこのリミックス集の中では一番の狂気も感じました。
配信ジャケも最高なのですが、このサイズのままではあまりに勿体なのでデラックス・エディションの特典Tシャツにもしました。

ちなみヒャダインさんには赤い公園の「絶対的関係」のリミックスをしたもらった事もあるのですが、これも最高なのでぜひ聴いてみてください(サブスク未解禁なのでi-tunesのストアで検索してください)


「アルゴリズムの海」のリミックスのヤマモトショウ君のリミックス
作詞作曲&リミックスが同一人物なんていうクレジットは世界中でも多分ないんじゃないですか。

オリジナルのラーガ風アレンジからトロピカル・ディスコに変わったのでもエスニック料理でも素材が同じでも使うスパイスが違うと味が全然変わるみたいな感じでしょうか。


ダンス・ファウンダーのFPMミックスは大御所に一人お願いしたいなぁと思ってたら、フィロソフィーのダンスと撮影のスタジオが同じで、偶然再会しました。

業界は偶然が運を呼ぶ事も良くあるので、これも何かの縁なのかと思いお願いしました。

原曲にはない風格が備わりました。

CDボーナス・トラックの「アイム・アフター・タイム」の宮野弦士君のリミックスはあまり記憶に定かではないのですが「カイリー・ミノーグみたいにしました」という話をしたような記憶があります。

同じく「アルゴリズムの海」のAIミックスはヤマモトショウ君から「AIにやらせてみましょう」という提案があったのですが、こちらのバージョンの方がオートチューン強めというのが、偶然ですがAIがやった感があって面白いですね。

「アイドル・フィロソフィー」のHave a Nice Day!の浅見さんのリミックスはLCD Sound Sytemを思わせるエレクトリック・ファンクになりました。

CDだけにボーナストラックを付けようと思ったのは80年代はCDだけにボートラがついてる事が多かったので、カセット、LP、CDを同時に出すなら、その当時のオマージュでCDだけにボートラを付けようと思ったのと
CDって今一番、機能的にもガジェット的にも一番魅力が無くて消えていく物で可愛そうじゃないですが、なので少しでも応援したいのと,今までお世話になったお礼の意味でつけてみました。


カセットも出した理由は
カセットはガジェツトしても可愛いし、音も絶妙コンプレッサーがかかる「テープの音」が味わい深いんですね。
レコードと違ってプレス用のスタンパーとか作らなくて良いので安く出来るのと、演歌のニーズがあり生産ラインもあるんです。

GUCCIもコラボ・ショップに選んだ中目黒のカセット・ショップ「 WALTZ」でもフィロソフィーのダンスというアイドルを扱って欲しいんです。

ヴィアナルは今、日本でプレスができる会社はソニー・ミュージックと東洋化成しかなかったのですが、最近、東洋レコーディング(名前似てますが完全に別会社です)という所でもプレスを始めました。
知り合いがいたので今回、初めて頼んだのですが、いまいち納得がいかずテスト・プレス2回お願いしてしまいました。

シングルでテスト・プレスで問題が出たことはなかったのですが、前回の「ファンキー・バット・シック」のアナログも東洋化成でしたが2回プレスやり直したので、アルバムに関してはまだ問題があるのかもしれないですね。
結果としてご機嫌なサウンドになったので、ぜひヴァイナルで聴いてみていただきたいです。


ビジュアルのヒントはFKAツィッグスのアーティスト写真のポーズが面白かったのと、あの最悪すぎて最高の映画ラース・フォン・トリア「ハウス・ジャック・ビルト」の映画パンフの出演者の撮り下ろしの写真にインスパイアされました、本当は、その写真みたいにやりたかったんですが、それはやりすぎなので断念しました。

僕のアイデアを受けて斜めの台を作ってその上にメンバーを立たせるというのはデザイナーの横山さんのアイデアですね。(斜めに立つ台が特注だったので高くついちゃいました)


メディア3形態で使う写真を変えたんですが、こんなことしてるジャケは多分世界初だと思います(自慢)
どうせなら配信のジャケも変えようと思いついたんですが締め切りが間に合いませんでした(残念)

アルバム・タイトルの「SAPIOSEXUAL」は映画評論家の町山智浩さんの週刊文春のコラムで紹介されていた言葉です。

「性的なものよりも知性に恋愛感情を覚える」という意味でマーク・ロンソンがテレビ番組で自分は、そうであると発言して炎上したというエピソードも面白いと思いました。

ヴァイナルとカセットのEpiphany SideとDelirious SideというのはただA面、B面にしても面白くないと思っただけなので正直いみはないです。ちなみにPrinceの曲名から取ってます。


これも小ネタですが、リマスタリングというほどでもないのでクレジットはしませんでしたが、先行配信バージョンとアルバム配信はバージョンは微妙にマスタリングが違う(夏のクオリアとアイム・アフタータイムは配信は同じですがCDのカップリングマスタリングは違います)ので確かめて見てください。


トラックの世界観がバラバラなのに意外と1枚のアルバムとして聞けてしまうのは声のキャラクターが立っているのと、歌詞とメロディーの世界観がぶれていないからだとも思いました。

我ながら面白いアルバムが出来たと自負しています。


皆様のお気に入りになる事を願っています。