釜石の日々

自然の神聖を忘れた現代人

晴れたいい天気になり、予想最高気温も26度と昨日より高くなった。昼休みに甲子川沿いに車をゆっくり走らせてみた。日射しが強く、車の中はとても暑くなっている。しかし、歩くといい風が吹いてやはり高原の夏という感じだ。川では退職後を楽しんでいるらしい鮎釣りの人たちを見かけた。その近辺では春の鳥であるウグイスと夏鳥のオオヨシキリが一緒になって鳴いていた。近くの紫陽花が植えられたところではようやく花に色が付いて来た。よく見ると紫陽花も4種類ぐらいある。浜茄子の花もまだ咲いている。今年は例年より花の咲くのが遅く、咲いている期間も例年ほど長くはないようだ。自然は正直で条件が揃わなければ花も咲かず、条件が揃うと早々と散って行く。今日も一日薬師さんからはウグイスの声が聞こえて来た。琵琶湖や淀川水系などに分布し、従来、九州にいなかった7種の淡水魚の生息が確認されたようだ。九州大学大学院の鬼倉徳雄助教が2007年以降、九州全県の河川や農業用水路1,074地点で淡水魚を採集した結果明らかとなった。このうち特に、琵琶湖付近の限られた水域にしか分布しない絶滅が危惧されているハスと言われる淡水魚は長崎県を除く九州全域の河川などで確認されている。これまでもブラックバスのような外来種の繁殖による弊害は言われて来ていたが、今回新たに国内外来種による弊害が明らかとなった。絶滅の危険性が極めて高いと言われる福岡県の矢部川水系のニッポンバラタナゴが捕獲されたハスの消化管から見つけられた。国内に広く分布する他の淡水魚についても、福岡、佐賀、熊本、大分各県で九州在来と異なる西日本系統などの遺伝子を持つ個体が確認されている。同助教によれば、琵琶湖産アユが各地で放流されていることから、放流の際にハスが混入していた可能性があると言う。三陸沿岸の河川では淡水魚の漁業権が設定されて、釣り人からは入漁料を取っている。そのため一定の釣り果を補償する必要があり、毎年鮎や山女などが他所から持ち込まれ放流されている。その結果その河川固有の淡水魚が遺伝子的に変化し、固有種が極めて少なくなって来ている。北米の淡水魚であるカワマスやレイクトラウトが人為的に放流されて、それらも本来岩魚の一種であるため、日本の河川に固有であった岩魚と容易に交雑し、遺伝子的な変化が広い範囲で起きている。北海道には岩魚の一種であるオショロコマが北海道東部を中心に棲息している。岩魚の一般的な点状の白い斑点の他に赤い点状班が付いているのが特徴だ。道東に住んでいた頃はよくこのオショロコマを釣った。アメマスやサクラマス、イトウなどもいた。北海道の少なくとも道東では河川に漁業権が設定されていないので、あえて魚を放流するなどと言うことはなかった。北海道と異なり、本来冷水を好む岩魚は東北では河川の上流の冷たい水域に留まるものが多く、閉鎖された環境で固有の生態を維持して来た。しかし、国内外の他所から持ち込まれた個体が放流されて行くと、固有種の存在が危ぶまれて行く。自然の生態系を人為的に変化させることは、予想外の結果をもたらす可能性がある。そして、一度変化した自然を元に戻すことはほとんど不可能だ。こうしたことはこれまでたくさんの事例で学んで来たはずだが、人はいつも「なかった」かのようにやり過ごして来た。古代の人々は自然を神として崇めていた。それは単に原始的な信仰であると言うよりも、人が生きるための知恵であった思う。自然の神の怒りが地震や津波であると、古代人のように捉える必要が現代人にはあるのではないだろうか。神の怒りに触れない生き方を現代人は求められている。
甲子川で鮎を釣る人たち 石の岸辺も遡上して来た津波で破壊されて出来た
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