釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

暑さの中で鳴くうぐいす

2014-07-31 19:11:00 | 自然
今日は31度まで上がったが、朝夕は25度前後と気温が下がってくれた。釜石は比較的夏でも風があり、日陰に入ると暑さも薄らぐ。昨日の内陸の様子から考えると、釜石はやはり岩手県内でも他とは違って、より夏の気温が低い地域であるように思う。関東以南の高原地帯の夏の気温なのだろう。深山の渓谷地帯を思わせる。30度を超えた日中でも職場の隣りの薬師公園からはウグイスの声が聞こえて来た。鳥たちはこの暑さをどうやって乗り越えているのだろう。哺乳類・鳥類は一般に恒温動物と言われている。鳥の体温は40~42度で、多くの哺乳類より高い。激しく羽根を動かして空を飛ぶために高エネルギーを得るための活発な新陳代謝をこの高い体温が促している。また、この高い体温で抱卵と孵化が可能となっている。しかし、環境自体が高温になって来ると、人間のように発汗で体温を下げることは出来ない。鳥は人とは異なり、肺に繋がるたくさんの気嚢と呼ばれる袋を体内に持っている。吸い込まれた空気は一旦後気嚢と呼ばれる気嚢群に入り、その気嚢が中の空気をポンプのように肺に送り込む。逆に肺から出た二酸化炭素は前気嚢と呼ばれる気嚢群に排出される。体内に熱が溜まって来ると、この前気嚢を使って体外へ放熱する。また、羽根を広げることでも熱を発散出来る。羽毛におおわれていない足の表面温度は体温よりずっと低く、足への血流を増やすことでも足を通して放熱が可能だ。発汗が出来ない鳥にはこうした放熱装置が進化の中で備えられて来たのだ。夏になるとツバメやオオルリ、キビタキなどが南からやって来る。甲子川の川面にツバメが飛ぶ姿が見られる。甲子川には冬にはたくさんの水鳥たちもやって来る。今年5月7日の「Nature」電子版に「Electronics’ noise disorients migratory birds(渡り鳥を惑わす電磁ノイズ)」と言う論文が出た。ドイツのオルデンブルク大学のHenrik Mouritsenらの研究者が渡り鳥のヨーロッパコマドリで磁気コンパスを使う動物がその情報を脳のどの領域で処理しているのかを特定する研究をしている中で、AMラジオ放送に用いられる周波数帯域を含む50kHz~5MHzの電磁ノイズを遮断すると、正しく北に向けて飛び立って行くことを見つけた。鳥たちが方向感覚を磁気コンパスを一つの手段として体内に有していることはすでによく知られている。正確に毎年同じ場所にたどり着く渡りやカラスが夕方になると群れをなして巣に帰って行くことも磁気コンパスが利用されている。今や地球上には様々な電磁波が飛び交っていて、渡り鳥たちが減少傾向にあるのはそこに原因があると考える研究者もいる。いずれにしろ、身近に目にする鳥たちは人とは異なる驚異的な身体の仕組みで環境に適応して来た。しかし、その環境を人間が急速に変化させている。思わないところでその鳥たちに大きな影響を与えているのかも知れない。
昨日紫波町の丘陵地帯で見かけたひまわり

800年前のハス

2014-07-30 20:54:44 | 文化
今日は朝から晴れ上がって、暑い日となった。紫波町の五郎沼の800年前のハスが見頃なので、暑かったが、出かけることにした。遠野から396号線に入り、盛岡方向へ進み、大迫(おおさこ)で102号線に入り、4号線まで走った。4号線を北上してしばらく行くと、左手の道沿いに五郎沼の堤が見えてくる。例年通り、人はあまり来ていない。先週土曜日に「古代はすまつり」をやっているので、その時はたくさん来ていたのだろう。やはりハスの色がいい。淡い色のグラデーションがなっとも言えない。ハス池の周りをゆっくり何度か回った。岩手のよさはこうして綺麗な花を一人ゆっくり、心行くまで見ていられることだ。暑さを忘れてハスに魅入られる。すぐそばの夏の五郎沼には水鳥たちの姿が見られない。冬には白鳥たちがやって来る。以前、娘と行った奥羽山脈の山裾の丘陵地にあるビューガーデンを思い出し、ついでに行って見ることにした。4号線をさらに少し北上して、46号線で東北自動車道の紫波IC方向へ向かい、162号線を続けて走ると、丘陵地にある志和古稲荷神社に出る。その前を抜けて北上すると左にラ・フランス温泉館が見え、その北隣がビューガーデンだ。しかし、今日は休みになっていた。入口より北側に宮沢賢治の親友であった紫波町出身の藤原嘉藤治の家がある。音楽教師であったが、49歳で開拓農民になった時の家だ。その家の裏手の丘陵に広く花が植えられたビューガーデンが見える。作業道があるので、そこからビューガーデンに入って行った。ラベンダーがたくさん植えられていた。周りからはツクツクボウシやアブラゼミの声が聞こえて来る。やはり内陸は沿岸部とはセミの分布が違うようだ。バラも何種類か咲いていた。少し歩いて車に引き返し、ラ・フランス温泉館の南隣にある南部曲がり屋の武田家を訪ねた。道から奥に入ったところに建っているが、手前にはハス池が広がっていた。しかし、ハスの花はまったく咲いていない。建物の中は一部が休憩所のようになっており、何故か武士の鎧が飾られていた。一通り見終わると、志和古稲荷神社へも寄ってみた。ここには紫陽花がたくさん咲いていた。神殿の前の神木である杉の大樹はかなり古いもののようだ。せっかく紫波町まで来たので、以前から目にしていた野村胡堂・あらえびす記念館へも行ってみることにした。来た道を引き返して、一旦、4号線に出てから北上川を渡り、456号線に出て、道路沿いを少し上がった丘の上の記念館へ行った。とても立派な建物だが、ここも人はほとんど来ていない。銭形平次を書いた野村胡堂だが、世界でも初めてと言われる音楽評論家でもあり、「あらえびす」の名で記事を書いていた。東京大学法学部へ入ったが、父の事業の失敗で退学せざるを得なくなり、報知新聞へ入っている。金田一京助とは盛岡中学以来の親友だ。石川啄木は後輩になる。記念館には胡堂の蔵書や何種類かの蓄音機や凄まじい数のレコード盤が納められている。胡堂は亡くなる際に財産を、自分がなし得なかった就学のための奨学金など、いくつか寄付したようだ。紫波町は32度まで上がっていた。遠野とはまた違った落ち着いた田園風景が見られる。
色がとても綺麗だ

暑さを忘れさせてくれた

藤原嘉藤治の家

ラベンダーの咲いていたビューガーデン

南部曲がり屋の武田家

志和古稲荷神社

野村胡堂・あらえびす記念館

誰もいない立派なラウンジ


ヒグラシ

2014-07-29 19:16:46 | 自然
今朝は18度ほどで、とても清々しい朝だった。お昼には29度まで上がったが、風が熱くない。岩手も昨日で梅雨が明けた。昼休みに甲子川へ出てみると、鹿が川を渡るのが目に入った。向かう岸には2頭の鹿が草を食んでいた。いずれも白い斑点のある若い鹿たちだ。中州の木からウグイスの声が聞こえて来た。7月の末になって、ウグイスの声を聞いたり、アジサイの花を見るのは季節感を狂わせられてしまう。 以前、愛知県に住んでいる時は夏になると圧倒的にクマゼミの鳴くことが多かった。生まれた四国だとアブラゼミやニイニイゼミ、ツクツクボウシが多く、クマゼミも鳴いたが、他のセミよりは少なかった。愛知県ではむしろクマゼミを一番多く聞いた。たくさんのクマゼミが一斉に鳴くと、とても暑く感じたものだ。日本ではセミは35種類知られており、環境省が5年毎に実施している自然環境保全基礎調査、通称「緑の国勢調査」では、東北のセミは森林地帯でヒグラシ25%、アブラゼミ24%、エゾゼミ24%、エゾハルゼミ11%、その他16%の順になっており、市街地ではアブラゼミ54%、ヒグラシ16%、ミンミンゼミ9%、エゾゼミ9%、ニイニイゼミ8%、その他4%の順になっている。しかし、釜石へ来てから、アブラゼミが鳴くのはほとんど聞いたことがない。釜石の地形は甲子川を挟んで狭く長く市街地が展開されており、南北を山が市街地に迫っている。そのため、北上川に沿って広がる内陸辺りとは地形が異なっている。それが同じ市街地でもセミの違いを見せているように思う。釜石はむしろ森林地帯に近いセミの分布をしている。しかも、ヒグラシが一番多く、ついでエゾゼミ、ミンミンゼミの順で、アブラゼミはほとんど聞くことがない。万葉集ではセミを詠んだ歌が10首あるが、そのほとんどはヒグラシが詠まれている。第十七巻に秦八千島(はたのやちしま)の詠った「ひぐらしの、鳴きぬる時は、をみなへし、咲きたる野辺(のへ)を、行きつつ見べし」(ひぐらしが鳴く時には、女郎花(おみなえし)が咲いている野辺を行きながら眺めるのがいいですよ)がある。作者の秦八千島は国司として越中国に赴任した大伴家持の配下で、家持の屋敷で開かれた宴で歌を詠んでいたようだ。日本人は古来からセミの鳴き声を単なる音としてではなく、声として感じており、ヒグラシは一般には「カナカナ」(実際はそんな風には聞こえないが)と鳴く声が物悲しく聞こえ、夕暮れの寂しさを感じさせるところから、「日を暮れさせる蝉」として万葉集でも多く詠まれていたようだ。
すでに対岸にいる仲間のところへ向かう鹿

合流して若い3頭が揃った 川では鮎を釣る人も

国民安保法制懇

2014-07-28 19:15:45 | 社会
今日は晴れて午前9時に最高気温が28度になったが、その後はむしろ気温が下がり、午後には23度になると言う不思議な温度変化であった。職場の裏山からはメジロたちの声がエゾゼミやヒグラシに混じって聞こえて来た。日射しのないところではとても気持ちのいい風が吹いた。昨夜なども家の外に出ると、もう秋風かと思うほどのいい風が吹いていた。さすが東北の夏は関東以南とは違う。 安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)に対抗して5月に結成された「国民安保法制懇」が昨日、名古屋市で集会を開いている。「国民安保法制懇」は憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する憲法学者や元政府関係者ら12人で立ち上げられた。柳沢協二元官房副長官補や憲法の番人と言われる内閣法制局の阪田雅裕元長官を初め、改憲派の小林節慶応大名誉教授、日弁連の憲法問題対策副本部長の伊藤真氏らが参加している。集会では「閣議決定は憲法に違反している。政府が行おうとしている関連法改正も違憲性が高い」と述べられた。何故、憲法学者や元内閣法制局長官までが憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対するのか。それは安倍首相が根本的に「憲法」と言うものを理解していないからだ。憲法とは主権者である国民の自由と権利を守るために為政者が守らねばならない最高法規である。それを首相はまさに為政者の都合で法的な改正手続きを経ないで単なる「解釈」で変えようとしているからだ。そのこと自体がすでに憲法違反である。憲法の解釈は60年にわたって政府自らが言い続け、国会でも議論を積み重ねて来た。国民にも定着し、理解されて来た。それを一政権の手で解釈を変更するのは立憲主義を否定し、法治国家の根幹を揺るがすものだ。共同通信によれば、政府は、米軍をはじめとする他国軍への自衛隊の後方支援をめぐり、従来禁じてきた武器・弾薬の提供を可能とする法整備に向け検討に入った、と言う。本年4月に政府は従来の武器輸出三原則を「積極的平和主義」の名の下に大きく緩和の方向へ変更した。長く維持されて来た政府の方針をさしたる国会での議論もなく、多数党故に国会をも無視すると言うまさにナチスの手法を麻生太郎副首相の言葉通りに実行しているようだ。戦後の民主国家の土台がこれほど危うくなっている事態は異常である。にもかかわらず、あまりにもメディアがその危機意識に欠けている。いつか来た道を今日本は1歩も2歩も進んでいるのだ。
薬師公園の木槿(むくげ)

今年一番の釜石の暑さ

2014-07-26 20:26:30 | 自然
今日はよく晴れたが、気温も上がり、いつもになく夕方6時に最高気温32度になった。日中は仕事の関係で職場に出たが、隣りの薬師公園で暑い中をウグイスが鳴いていた。エゾゼミとミンミンゼミが一緒に鳴いてもいた。日が山影に入った頃に犬と甲子川の土手を歩いたが、夕凪で風がなく、途中ですでに汗びっしょりになってしまった。西の山影の上にうっすらと夕焼けが残る頃、家の周りではコウモリが飛び交っていた。今日は今年に入って一番暑い日になった。
職場近くの凌霄花(のうぜんかずら)

カルデラ噴火

2014-07-25 19:14:44 | 自然
今日は全国的に晴れて、各地で真夏日になっている。釜石も晴れて33度まで上がった。内陸の盛岡の方が1度低い。いつもだと夏は内陸より沿岸部の釜石の方が低いんだが。それでもさすがに東北だけあって夕方には涼しい風が吹いてくれた。職場の裏山の葛(くず)も木々を覆い尽くすように伸びて、花を咲かせ始めた。 今朝の東京新聞によると、鹿児島県の九州電力川内(せんだい)原発は火山噴火の予兆を察知した場合は核燃料を安全な場所に緊急移送するとしたため、原子力規制委員会は緊急移送を条件に、川内原発が新規制基準を満たしていると判断したと言う。しかし、同紙が取材したところ、実際には原子炉を止めても核燃料を外部に運び出すにはプール内で少なくとも2年2カ月冷やした後、専用の輸送容器を使って輸送しなければならず、輸送会社が持つ全ての容器を使っても一度に移送できるのは350本で、原発内の2000本近い核燃料を運び出すには6回は往復しなければならない。新たに容器を製造するにも約3年かかると言う。川内原発周辺には巨大噴火を起こしたカルデラが6つある。北から阿蘇カルデラ、加久藤カルデラ、小林カルデラ、姶良(あいら)カルデラ、阿多カルデラ、鬼界カルデラの順になる。気象庁の火山噴火予知連絡会会長を務めている藤井敏嗣東京大学名誉教授によれば、日本の火山噴火は世界の他の地域の火山噴火と異なり、爆発的な噴火になりやすいと言う。それは日本列島の下にプレートが潜り込んでいるためだと言う。太平洋で沈み込んで行くプレートが火山直下のマグマに水分を供給するため、マグマは水蒸気を含むことになり、水蒸気を含んだマグマが地表近くに上昇すると、それまで地下の圧力で抑えられていた水蒸気が一気に膨張する。これが爆発的な噴火をもたらす。爆発的な噴火が起きると、地下に溜まっていたマグマが爆発により飛散する。マグマのあったところは広大な陥没地となる。これがカルデラと呼ばれる。従ってカルデラを作り出すカルデラ噴火と呼ばれる噴火は巨大な噴火となる。これまで平均6,000年間隔で起こっていた日本のカルデラ噴火は7,300年前の鬼界カルデラ噴火を最後に沈黙している。この噴火では東北地方にまで火山灰を降下させ、関東地方で10㎝、大阪・神戸付近で20㎝積もり、南九州から四国にかけて生活していた縄文人は死滅するか、食料を求めて火山灰のない地域に移動し、1,000年近く無人の地となったと言う。九州のカルデラを代表する阿蘇山は、30万年前から9万年前までの間に、4回も巨大なカルデラ噴火を起こしており、特に、9万年前の噴火は阿蘇4噴火と呼ばれ、日本のカルデラ噴火としては最大級で、鬼界カルデラ噴火の5倍以上、300年前の富士山宝永噴火の1,000回分に当たるると言われる超巨大噴火であった。火砕流が九州のほぼ全域を襲い、一部は海を越えて山口県にまで到達している。火山灰は日本全土を覆い尽くし、その厚さは北海道東部でも10㎝以上に達している。同名誉教授は、カルデラ噴火はもはや、いつ起こっても不思議がない現象だと言われている。一度、巨大噴火が起きれば、貯水池や水道浄化池では火山灰のために取水不可能となり、広域で断水状態が続き、また送電線の断線、電柱などのがいしに降り積もった火山灰によるショートで大停電が起き、断水や商用電源の断絶で原子力発電所の甚大な事故につながると警告されている。
職場近くで咲いて来た百日紅(さるすべり)

子どもの貧困率が過去最悪となった

2014-07-24 19:13:52 | 社会
今月15日、厚生労働省は「平成25年 国民生活基礎調査の概況」を発表した。2012年の国勢調査に基づく世帯数を元に2012年の「子どもの貧困率」を出している。平均的所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の割合は16.3%で過去最悪となった。子どもの6人に1人が貧困状態となっている。昨年の国立社会保障・人口問題研究所の調査では日本の子供の貧困率は先進・中進31カ国中10番目に高い。母子世帯など、ひとり親世帯の子どもでは、貧困率は54.6%にもなる。日本ではその大半は母子世帯で、非正規で働く人が多い。子供の貧困率が上昇してきた最大の原因は、シングルマザーの増加であり、女性の就労機会は日本では限定され、男性の非正規雇用の割合は20%程度だが、女性は50%を超えている。一般的に非正規雇用の収入だけで十分に生活を成り立たせることは難しく、離婚を期に就労した女性は非正規雇用であることが多いため十分な収入が確保できない状態になっている。厚生労働省の「非正規雇用」の現状と課題を見ると、1985年に全体の16.4%であった非正規雇用労働者の割合が2013年には36.7%まで増え、1906万人となっている。このため低所得世帯が増え続けている。子供の貧困は世帯の自己責任だからと放置するには、現在の日本の貧困はあまりに構造化している。OECDの調査によると、日本における仕事がない一人親世帯(多くがシングルマザー)の貧困率は50.4%で、仕事がある一人親世帯の貧困率もやはり50.9%とほとんど変わらない。これは日本にだけに見られる特徴的な傾向だ。仕事に就いていても貧困水準以下の収入しか得られないと言う異常な構造になっている。市場メカニズムが整備されているはずの先進国である日本でこうした事態が起きているのは、市場メカニズムが機能していないと言うことであり、セーフティネットも硬直化してことを表している。一昨日、少子化担当大臣は閣議後記者会見で、政府が今月中の閣議決定を目指していた「子どもの貧困対策大綱」を8月以降に先送りする意向を示している。15日の過去最悪となった「子どもの貧困率」を受けて、大綱の内容をより充実させるよう求める声が上がったためと思われている。政府の大綱案では教育、生活、保護者の就労、経済支援の4分野で重点施策をまとめ、貧困率や進学率、就職率などの指標の改善に向けて、おおむね5年ごとに施策を見直すことを掲げている。将来的に返済義務のない給付型奨学金の創設、学校を拠点に福祉機関と連携して「放課後子供教室」開設などの学習支援、低所得者世帯から段階的に幼児教育の無償化などを盛り込んでいる。奨学金や学習支援など、文部科学省はかなり努力しているようだが、保育、医療面などでは厚生労働省の熱意が感じられない。大綱が決定されると、都道府県ごとに具体的な計画作りに入るが、財政の厳しい地方にどれだけ重要事項が現実化されるか覚束ない。
庭の今も咲く柏葉紫陽花

梅雨

2014-07-23 21:33:26 | 自然
今朝は愛染山に雲がかかり、青空は見えなかった。やはり梅雨は明けていないようだ。夕方には雨も落ちて来た。雨の降る中でもヒグラシが鳴き競っていた。日本列島の北には冷たいオホーツク海高気圧があり、南には暖かく湿った太平洋高気圧がある。オホーツク海高気圧が南下し、暖かく湿った太平洋高気圧が北上すると暖かく湿った空気が上昇し雲が形作られる。これが梅雨をもたらすことになる。北海道や東北ではオホーツク海高気圧はさらに山背ももたらす。霧が海上から陸へ這い上って来る。夏でも冷害を引き起こすほどに気温が下がる。毎年、こうして同じことが繰り返されるのだ。
庭の紫式部の花

日本の研究でも明らかになったミツバチ大量死の原因

2014-07-22 19:15:22 | 文化
今日も昨日に続いて晴れてくれた。梅雨明けかと思ったが、正式な梅雨明けはまだ報じられていない。気温は29度まで上がったが、職場近辺は海に近いせいか風があり、日陰だとさほど暑さは感じない。職場の裏山では昼過ぎからヒグラシが鳴いた。近くでヒグラシが鳴くのを聞くと、どことなく物悲しさが感じられる。それが涼しさに通じているのだろうか。暑い日射しが射し込む中で、ウグイスも鳴いていた。今週末には梅雨明けになるのだろうか。梅雨が明ければ気温は30度を超えて来るだろう。 我が家の庭はこれまで主に産直やネットで買い求めて来た山野草や花木で埋め尽くされて来た。土壌も豊かなせいか虫も当然多い。飛来する蝶やハチを見ることもある。しかし、よくよく考えると我が家の庭でさえミツバチの飛来はめったに見かけることがない。一番多いのはスズメバチだ。日本のスズメバチはスズメバチ属のものが全6種類とクロスズメバチ属が5種いるそうだが、近くでハチの色彩を見なければ区別はしにくい。藤の花が咲くと丸くふっくらしたクマバチが必ずやって来る。スズメバチはミツバチの天敵であり、ミツバチの巣がスズメバチに攻撃されることもある。スズメバチはミツバチより大きく、全国に分布するオオスズメバチなどは体長が4cmにもなる。しかし、現在のミツバチの問題はスズメバチの存在以上の脅威が存在することだ。2009年の春、日本では花粉交配用ミツバチが極端に不足して注目されるようになった。早くから農薬が疑われたが、農薬会社は農薬の関与を否定し続けて来た。独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所と農業環境技術研究所は18日、水田周辺に設置した巣箱でミツバチが大量に死ぬ原因は稲に散布する害虫のカメムシ駆除のための農薬の可能性が高いと発表した。夏に北海道や東北の北日本水田地帯で発生が見られる巣箱周辺でのミツバチの斃死(へいし)について原因解明のための調査をした。2012年夏に巣箱が設置された北日本の水田周辺8カ所(計415箱)を調査し、巣箱の前で山のように積み重なった死骸が1カ月間に5カ所の巣箱で計24回見つかった。巣の中にいたミツバチも死んでいたことを確認している。水田周辺に巣箱を設置されたミツバチ群では稲花粉を収集しており、巣箱の出入り口前の斃死は稲の開花以降に発生していた。そして、ミツバチの死虫の全てから、同時期に斑点米カメムシ防除に使われたネオニコチノイド系など2種類以上の殺虫剤成分が検出され、ミツバチが収集した花粉団子からも殺虫剤成分が検出された。ミツバチ群には病気も検出されず、スズメバチ被害も認められなかった。このことから、ミツバチは稲花粉の収集のために水田に飛来し、そこで散布された殺虫剤に曝露されたことが斃死の原因となった可能性が高い、と結論付けられた。多くの養蜂家は夏涼しい北日本に移動して、ミツバチに夏越しをさせて来た。その時期がちょうど農薬の散布時期にあたっていたのだ。両研究所は当面の研究課題として、ミツバチを水田周辺に行かせない技術の開発に臨むと言う。カメムシは稲穂を吸汁するため、その痕が茶褐色の斑点となった玄米になる。通称斑点米と呼ばれるが、農家の米の出荷時の検査で、斑点米の混入率が0.1%までなら一等米、0.2%なら二等米などと等級を分けられる。米の質には何ら変わりはなく、ただ見た目の色合いだけのために等級が分けられる。このため農家は必死でカメムシを駆除しようとする。2005年 8月に岩手県ではネオニコチノイド系農薬であるクロチアニジン(商品名 「ダントツ」)散布後にミツバチの大量死が相次ぎ、岩手県養蜂組合は全農岩手本部などに損害賠償を請求し、民事調停の申立も行なわれた。以後、山形県などでも同様のミツバチの大量死が見られるようになり、2009年には全国的な花粉交配用ミツバチ不足に発展して行った。EU(欧州連合)では2年の期間限定であるが、すでにネオニコチノイド系農薬の使用中止に踏み切った。しかし、日本は逆に使用範囲の拡大のための緩和を行なおうとしている。たかだか米の色合いだけのためにミツバチを死なせ、人の健康にも害を与えている。日本でのネオニコチノイド系農薬の使用量は欧米より格段に多く、過去10年間に3倍以上に膨らんでいる。
庭の八重のクチナシの花

遠野のハス畑

2014-07-21 21:31:41 | 自然
今朝は起きがけに窓から愛染山を見ると雲がかかっていたが、すぐ近くに青空も見えた。久しぶりに晴れようだった。時間とともに青空が広がり、近くからはエゾゼミの声も聞こえて来た。甲子川の水量も増したのか、瀬音がよく聞こえた。午前中は片付けをしていたが、午後になりふと先日の遠野の蓮根畑のハスの花のことを思い出し、行って見ることにした。遠野市街地を抜け、風の丘も過ぎてしばらく花巻方向へ国道を走り、道路沿いに車を止めて、畦道を桜並木のある猿ヶ石川に向かって歩くと、左手にハスが見えて来た。蕾がたくさんあるがよく見るときれいに開いた花があまりない。考えてみるとハスの花は午前中によく開くのだ。午後になると少しづつすぼんで行く。それでもせっかく来たので、水を引いたハスの畑の周囲の畦を回ってみた。さすがにぬかるんでいる。蛇がすばやく目の前を抜けて水溜まりにあるハスの中に隠れ込んだ。進むに連れてカエルたちも次々に水溜まりに飛び込んで行く。少し開いているハスの花も畦道から離れている。猿ヶ石川の土手の桜並木の下で農家の方が一人休んでいた。釜石は日中26度まで上がったが、遠野はさすがに盆地なので28度になり、畦道を歩いている間に汗が流れて来た。サファリハットを冠っていても夏の直射は強い。一通り見て回って、車に戻り、市街地に向けて引き返した。風の丘に行くと名前の通りいい風が吹いていた。連休の最後の日でも人がたくさん来ている。東京のナンバーの車も多い。並べられた鉢植えの花の数も少なくなって来ている。思い付いて、風の丘のレストランで早めの夕食を摂ることにした。さすがに夕方になるとレストランの客の数は少ない。食事が終わって、風の丘の敷地の隅に行くと、遠く六角牛(ろっこうし)山が見え、その右手に少しだけ猿ヶ石川の流れがのぞいていた。駐車場の端には合歓の木の花が咲いている。帰りの車の窓を開けていると、とてもいい風が入って来た。やはり東北の夏は夕方は涼しさが出て来る。
畦には薮萱草が咲いていた

綺麗に開いたハスの花が見られなかった