釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで9年3ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

日本の科学研究の失速

2017-03-23 19:18:19 | 社会
日本の産業は今や政府に保護された産業が主流となり、将来の経済の柱となる産業が見えて来ない。1台につき200万円もの政府補助がつくハイブリットカーの生産と円安による利益誘導で成り立つ自動車産業や開発費の削減で新興国に後塵を拝するようになった家電産業では今後の日本の産業を維持することは出来ない。国立大学は2004年から独立行政法人となり、研究者は短期雇用者が増加して行った。予算を削減されたため、人件費を削減せざるを得なくなる。2000年代に入り、国は教育・研究予算を大きく削減するようになった。若者の理系離れも相まって、科学研究は後退して行った。英国科学誌NATUREは特集で日本の科学研究の失速を伝えている。世界のハイレベルな68の科学雑誌に掲載された日本の論文の割合は、2012年から2016年までの5年間で9.2%から8.6%に減少し、オランダの出版社が集計した、世界のおよそ2万2000の科学雑誌に掲載された論文の総数は、2005年から2015年にかけての10年間で、世界全体では80%増加したのに対して、日本の増加は14%にとどまり、日本は世界全体の伸びを大幅に下回った。ドイツや中国、韓国などは研究開発への支出を増やしているが、日本は逆に削減した。かっては日本も米国への留学生数ではトップであったが、2000年代には次第に減少し、1997年に4万7073人いた留学生は2015年には1万9060人までになり、9位まで落ち込んでいる。中国やインド、サウジアラビア、韓国などよりも少ない。中国は1998年に1位になってからは増加を続け、昨年はついに32万8547人となり、留学生全体の31.5%を占めている。一説では軍事技術ではすでに米国を追い越しているとも言われる。IMFは2030年までにGDPで米中は逆転し、2025年前後に日本はインド・ASEAN に追い越されると予想している。産業の発展は大学などの基礎的研究にかかっている。少子高齢化で、仕事に従事する生産年齢人口が確実に減って行く日本で、科学研究すら後退している。産業の発展のための前提条件が失われて行っている。その上、国家債務まで年々増加しているのだ。小手先だけの目先の現実にとらわれ、将来を見据えた対策は何も取られてはいない。もはや日本の財政破綻は避けられない。ただいつそれが起きるかだけだ。その時、日本が再生するための基盤すらない。
大船渡市碁石海岸

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冬の暖房

2017-03-22 19:13:11 | 文化
もう春の到来を告げる陽気になって来たが、この冬は暖房について色々考えさせられた。職場が用意してくれた新居はオール電化で、暖房も深夜電力を利用した電気暖房だ。おかげで四六時中暖かい。石油ストーブとは異なり、部屋の空気も変に乾燥していない。しかし、あくまで電力に頼ったもので、震災直後のように電力が断たれると、機能しなくなる。電力はやはりソーラー技術のさらなる開発で、1軒の使用電力の全てを賄えるような状態になって欲しい。風呂や給湯もやはり夜間電力を使っているが、これらも電力が断たれると、同じく機能しなくなる。現在、世界でもまだ石油や天然ガスといった化石燃料を使った火力発電が主流だが、この火力発電の発電効率は平均で50%程度とされる。それに対して、ソーラー発電は20%前後に留まり、太陽エネルギーを十分に生かし切れていない。新エネルギー・産業技術総合開発機構の太陽光発電ロードマップでは、2020年までに25%の発電効率実現を目指すとしており、液晶パネルで失敗したシャープでは、変換効率30%を超える太陽光パネルの開発がすでに研究段階で達成されていると言う。さらに、現在はまだ半導体を使ったソーラーパネルが主流だが、量子を用いたパネルの研究も行われており、発電効率が40%に達するソーラーパネルの実現も視野に入って来てるようだ。太陽エネルーギーを電気に変換するパネルや、変換された電気を伝え、蓄えるコードや蓄電器などの効率化も進められれば、10年くらいで、安価で効率の良いソーラーパネルを使った家庭用電力が実用化される可能性もあるだろう。その一方で、暖房では、震災時に味わった薪ストーブの暖かさも忘れられない。薪ストーブもやはり、空気が必要以上に乾燥することがない。輻射熱によって空間が温められる。薪を燃やし始めて、部屋が暖められるまでに時間を要するが、一度暖められると、長く暖かさが保たれる。薪を準備すると言う手間がかかるが、人間が暖をとる最も原始的で、かつ人間が長く接して来た暖房手段にも近い。薪ストーブは利用者が少ないために、コスト的には決して安くはない。しかし、改良されたいくつかの薪ストーブも作られているようだ。暖房に関しては、環境に優しいソーラーパネルよりも、薪ストーブに惹かれる。夜間電力による電気暖房は便利だが、存在感がなさ過ぎるように思う。
紅梅
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世界経済の崩壊の時

2017-03-21 19:19:41 | 経済
休日の晴天とは打って変わり、今日は朝から曇りがちで、小雨が降った。職場の裏山では今朝も2匹のリスの姿を見ることが出来た。甲子川ではもう白鳥の姿は見られない。この時期になると、内陸の仲間とともに北に飛び立って行ったのだろう。人間の世界で何があろうと、自然界は決まった経過を辿る。福寿草が咲き、梅が咲く。来月には桜も咲いてくる。 2007年に米国のサブプライムローン破綻に始まった2008年のリーマンショック以来、破綻しかけた金融機関を救済するために米国の中央銀行であるFRBは金融緩和と称する、ドル札の大量発行を行い、同じく負債を抱える金融機関のあるEUや日本にも金融緩和を求めた。そのため、ユーロや円も大量に印刷される。現実の製造業現場は需要不足で、新規投資は少なく、余剰の紙幣は株や金融商品に向かい、バブルを膨らませている。さらに日本では政権の支持率を保つため、景気の良さを演出する必要があり、年金やゆうちょまで内外の株式や債券などへの投資に無理やり注ぎ込んでいる。今や先進国も新興国もともに政府債務を膨らませ、日本では国債の暴落を避けるために、中央銀行がその国債を買取らねばならないまでに追い込まれてしまった。財政規律を無くした現政権は不祥事のたびに公文書を失っているとして、証拠隠滅に必死になる有様だ。戦後、米国を宗主国として、従って来た日本はひたすら米国の言われるままに行動し、翳りを見せている米国と一蓮托生となっている。同じ、敗戦国であるドイツとは明らかに違う。ドイツは米国の国債の購入を止めている。米国との姿勢の違いもはっきりと見せている。製造業の衰退した米国は他国からの輸入に頼らざるを得ない。輸入の支払いには無限に印刷出来るドルが使われる必要がある。そのためには何としてもドル高を維持しなければならない。支払ったドルが米国への投資と言う形で還流される必要がある。また、米国の国債も国内では消費しきれないため、日本や中国に購入してもらわざるを得ない。中国敵視は軍備強化のための見せかけであり、経済的には中国に頼らざるを得ない。その事情は基本的には日本も同様だ。中国貿易を失えば、日本の製造業は成り立たない。裏付けのない紙幣を無限に印刷する経済は、いずれ終焉を迎えざるを得ない。しかし、その終焉はあまりに膨らみ過ぎた経済規模のため、1929年に始まった世界恐慌をはるかに上回るものになるかも知れない。
白梅
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中国の晋の内乱の時代

2017-03-17 19:11:33 | 歴史
今朝も広く青空が広がり、放射冷却で水たまりは凍っていた。しかし、昼前から空を雲が多く流れるようになり、日射しが遮られることが多くなった。ようやく午後も遅くなって来て、再び日射しが戻って来た。昼休みに職場の近所を歩くと、やはり、いつもの空き家の庭先で福寿草が咲いていた。そこから少し山に向かう道を進むと、八幡神社があり、その側の梅も咲き始めて来ていた。白梅と枝垂れ紅梅が見られる。 昭和62年に津軽書房から出版された山上笙介編『總輯東日流六郡誌』の「荒覇吐王国之建国」では安日彦、長髄彦兄弟をそれぞれ王、副王として荒覇吐王国が兼ごくされたのが、唐土東周の恵王甲午二十五年とあり、西暦では紀元前649年となっている。安日彦、長髄彦兄弟は難を逃れて津軽に漂着した中国晋の群公子の娘、秀蘭・芳蘭姉妹をそれぞれ娶った。以前、当ブログでは中国晋の群公子が津軽に漂着する原因となったと考えられる「驪姫の乱」を紀元前672年としたが、荒覇吐王国の建国の紀元前649年とは少し離れているため、今一度調べてみた。その結果、「驪姫の乱」は紀元前656年であった。晋では驪姫の乱の後も、国は内乱が絶えず、太子以外の公子たちは国内に留まることを許されなかった。驪姫を寵愛し過ぎた献公の妃たちは、それぞれ子がいたが、後に文公となる公子以外は非業の死を遂げている。文公の即位は紀元前636年であった。従って、晋では「驪姫の乱」のあった紀元前656年から、文公が即位する紀元前636年までは国が乱れ、公子たちは国外へ逃れた。津軽へ漂着した群公子がどの妃の子たちであるかは定かではないが、『總輯東日流六郡誌』に記された内容が歴史的事実に裏付けられる。『總輯東日流六郡誌』などの元となった和田家文書の多くは東北の語り部たちに受け継がれて来た伝承であるが、語り部には文字はなかったが、記号のような独特の印があり、それが長く伝承され、貴重な歴史が伝わって来ていた。晋の時代には、すでに中国では広く稲作が行われるようになっており、その稲作が漂着した群公子によって津軽にもたらされた。東北地方最古の稲作遺構は弘前市の砂沢遺跡から見出されており、砂沢遺跡の年代測定2530±45年前とは100年程度の差があるだけである。今後も青森県近辺からさらに古い稲作遺構が発掘される可能性もあるだろう。現在の考古学は何故東日本最古の稲作遺跡が本州最北端で見出されたか、解明しきれていない。弥生文化が北部九州で花開き、近畿王朝が唯一とされる史観からはとうてい解明されることはないだろう。勝者の歴史でしかない正史ではなく、発掘から得られた事実から歴史を再構築しなければ、真の日本の歴史は見出せないだろう。
福寿草
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巨額な事故処理費用

2017-03-16 19:12:25 | 社会
曇天が続いたここ2〜3日だが、今日は久しぶりに青空が広がった。家の近所では梅が開いて来ていた。同じ3月でも震災の時よりも暖かく感じる。食べ物と暖房がないと、体感温度も違ってくるのかも知れない。今朝の甲子川では白鳥の姿がなかった。もう北へ向かって飛び立って行ったのだろうか。日射しを浴び、風がないと、本当にもう春だと感じられる。ようやく東北の長い冬も終わって来たのだ。 今月7日、どちらかと言うと、政府寄りのシンクタンクである日本経済研究センターが「2050年への構想」の中で、「エネルギー・環境選択の未来・番外編 福島第一原発事故の国民負担」と題し、「事故処理費用は50兆~70兆円になる恐れ-負担増なら東電の法的整理の検討を、-原発維持の根拠、透明性高い説明を 」と言う論文を載せた。昨年12月9日、経済産業省は東京電力福島第一原発の事故処理にかかる総費用が22兆円になると発表した。事故処理費用は事故の翌年には6兆円としていたが、その2年後には11兆円と訂正し、昨年はさらにその2倍と変更して来た。変更しただけではなく、その一部を電気料金に上乗せして、国民負担とした。日本経済研究センターは経済産業省の甘い試算を指摘した上で、独自に試算すると50兆円ないし70兆円を要すると結論付けている。この20兆円の差は「汚染水100万トン程度に分含まれるトリチウムを取り除く」費用で、「トリチウム水を希釈して海洋放出」した場合は20兆円は必要としない。経済産業省の試算は、1979年のスリーマイル原発事故を参考に試算しているが、福島第一原発事故はスリーマイル島原発事故をはるかに凌ぐ。溶融した核燃料はスリーマイルでは原子炉圧力容器の底で止まったが、福島第一では原子炉容器には止まっていない。この論文ではさらに、「経済面でいえば、本来であれば、東京電力の法的責任を明らかにし、資産の清算を行ったうえで、消費者・国民の負担を問うべきであろう」と、「法的整理をすれば、賠償主体がなくなる」と言う国の曖昧な姿勢を批判している。国民負担については「(閣議決定という)政府の一存で可能な仕組みになっている」として、安易に「国民負担を増額させることになるのではないか」とまで言及している。昨年の消費税収予想は17.2兆円である。それを考えれば、事故処理費用がいかに多額になるか分かるだろう。東京電力は私企業である。私企業がこれだけの負担を負えば倒産しているはずである。私企業である東京電力を倒産整理させないまま、国民負担を増やすことに政府系シンクタンクですら批判的である。論文では高速増殖炉についても、「商業的な見通しも見えない」状況で、「多額の資金をつぎ込む余裕はないはず」とやはり政府の核燃料サイクルにしがみつく姿勢を批判している。今だに甚大な被害をもたらす放射性物質を抱え、途方も無い経済負担を要し、廃炉作業の工程すら見えない。決算を延期しなければならない状態に追い込まれている東芝に作業用ロボットの開発を任せてもいる。世界が原発から距離を置こうとする中で、日本だけが無理やり原発を推し進め、それに関わる企業が大きな負債を抱えても政府が国民負担で保護しようとする。
ウミネコ
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家にいた犬たち

2017-03-15 19:19:28 | 文化
子供の頃、父親が犬が好きで、日本犬を何頭か飼っていた。犬の檻も父親が日曜大工で自分で作っていた。一時期は迷い込んだ猫も一緒に飼っていて、凛々しい雄猫は犬より強く、犬の方が遠慮していた。いつも犬や猫がいることに感覚的に慣れていたせいか、兄や妹もやはり家庭を持ってから、犬や猫を飼っていた。小学生の頃、父親がある日、成犬のジャーマン・シェパードを連れ帰って来た。大きい犬に恐れをなしたが、その雄姿には感動した。結局は家では面倒を見きれないと、手放された。しかし、この時の記憶がずっと残り、その後、自分でも家庭を持ってから、ジャーマン・シェパードを都合3頭飼った。1頭は北海道の訓練チャンピオンになった。警察犬としても登録したので、事件で犬を連れて、何度か出動したこともある。この犬は親の血統は決して優秀ではなかったが、シャパードに詳しい方が子犬の様子を見て、勧めて下さった犬だった。訓練では防護具を付けた人の腕に噛み付いて、噛んだままムチで叩かれても、指示を出すまでは絶対に放さなかった。犬の訓練にも人間並みの小学から大学、大学院に相当するような訓練の段階があることを知った。飼主であってもこの犬にはどこか恐れを感じることがあるほどだった。とても迫力を感じさせられた。子犬の時にはまるで熊の子供のようで、周りからもよく可愛がられていたが。残念ながらこの犬は8歳を前にして、病気で亡くなった。次に飼ったシェパードは警察犬として登録しなければならないことを考えて、途中で訓練を止めてしまった。この犬も2年前に老衰で亡くなり、現在はベルジアン・タービュレン、通常、ベルギー・シェパードと言われる犬がいる。しかし、今年に入り、いよいよ老境のために、かなり弱って来ている。今年の9月で15歳になるので、何とか誕生日を迎えさせてやりたいが、大型犬なので、なかなか厳しいのかも知れない。犬が好きであっても、やはり動物なので、手を抜くことは出来ない。自分の年齢を考えると今の犬が最後の犬になるのだろう。特に、大型犬はそれなりの運動量が必要だ。旅行の時には大船渡にあった訓練所に預かってもらっていたが、その訓練所も震災後に閉じてしまった。
12歳の頃のベルジアン・タービュレン
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腐敗と通貨の希薄化

2017-03-14 19:15:10 | 社会
昨夜から小雨がちの天気になった。ブルーの透き通るような空が見えないのは残念だ。職場の裏山ではリスの姿が見えない。シジュウカラはやって来ている。今日は裏山でミソサザイの声を聞いた。ただ姿は小さく敏捷なために確認出来なかった。天候も気温も毎日少しずつ変化しながら、春に向かっているのだろう。先日、家の近所を散歩していると、雑草の花が開き始めて来ているのを認めた。職場近くの空き家の福寿草ももう咲いて来ているのかも知れない。 1971年に米国が金本位制から抜けると、米国初め、世界中で裏付けのない紙幣がただ印刷されるようになった。ソ連が崩壊し、世界の覇権を握った米国はドルを大量に印刷し、世界にばら撒いた。大量に印刷された紙幣は金融商品にバブルをもたらし、何度かそのバブルを弾かせた。その度に金融機関は不良債権を内部に隠し持つようになる。その金融機関を助けるために、多大の税金が投じられ、先進各国は政府債務を積み重ねて来た。製造業や賃金が上がらない実体経済とは離れて、印刷され続ける紙幣は懲りることなく、再び金融商品に流れ、世界の株価は80兆ドルに迫り、世界のGDP総額に近い、その上、デリバティブと呼ばれる金融商品に至っては1200兆ドルとも言われる。世界の総負債は200兆ドルを超える。株やデリバティブが弾ければ、戦後最大の経済危機になるだろう。縛りのないものは全て混乱をもたらす。自由とは規律があって初めて意味を持つ。日本の社会の腐敗も同じく規律をなくした政治家や企業経営者によって進んで行く。規律は監視機能が働かなくなったところで喪失される。メディアや会計検査が有名無実となっている。司法の腐敗も著しい。通貨が希薄化された社会は必ず衰退することを歴史が教える。希薄化された通貨が社会制度の隅々まで浸透することで、腐敗が醸成される。ローマ帝国の時代から現代まで、例外はない。東ヨーロッパから朝鮮半島まで広大な帝国を築いたモンゴル帝国さえ、通貨の希薄化により滅んでいる。現代は何事も時間が早い。ドルで実質的に世界の覇者となった米国の「帝国」も崩壊が近いのかも知れない。
ヒドリガモの昼寝
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ネアンデルタール人の滅亡

2017-03-13 19:18:49 | 科学
現生人類であるホモ・サピエンスは25万年前に地球上に現れたが、現生人類とは別系統になるネアンデルタール人は現生人類より早く、35万年前に出現し、現生人類と共存して、2万数千年前に地球上から消えた。ネアンデルタール人は石器と火を使い、主に洞窟に住んでいた。動物の歯に穴を開けたものや象牙の指輪など、高度な加工を施した装飾品を作っていた。体に装飾を施すのに使った黒い顔料なども発見されている。以前は、彼らは現生人類よりも劣っていたと考えられていたが、発語と言語能力にかかわる現生人類と同じ遺伝子の変異型が見出され、現生人類とさほど差がなかったことが分かって来た。現生人類とも交雑があり、人類の遺伝子にも1 - 4 %のネアンデルタール人の遺伝子が混入している。彼らはヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、南は地中海沿岸からジブラルタル海峡、ギリシャ、イラク、北はロシア、西は英国、東はモンゴルの近くまで達していた。最も多い時期でも1万5000人程度だったと推定されている。現生人類は男が大型の獲物を追って狩りをし、女や子どもは小動物をつかまえ、木の実や植物を採集する分業が成立していたが、ネアンデルタール人はウマ、シカ、ヤギュウなど、大型から中型の哺乳類をとらえる狩猟生活に依存しており、植物は副食に過ぎなかった。現生人類より体格のいいネアンデルタール人には高カロリーの肉食が必要だった。生活もネアンデルタール人が3世代の比較的小さな集団であったのに対して、現生人類は大規模な集団だった。こうした違いが、過酷な気候変動の到来で、明暗を分け、ネアンデルタール人を滅亡へ追いやったと考えられている。最近のネアンデルタール人の歯石からの研究では、アスピリンの有効成分であるサリチル酸を含むポプラを鎮痛薬として、またアオカビの一種を現代の抗生物質の素として使っていたことなども判明している。70万年前にアフリカで、共通祖先から別れた後、人類とネアンデルタール人は別々の道を歩み、その後、何万年かを共存して過ごし、やがて一方だけが生き残った。生存の決め手は多様性と集団性にあった。これは人の社会でも当てはまるだろう。
昼寝する白鳥たち
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3月の沿岸部

2017-03-10 19:21:53 | 自然
3月に入ると、日に日に春が近づいていることを感じる。日が高くなり、夕方も明るさが残るようになって来た。気温も少しづつ上がって来ており、庭の水道が凍らなくなった。職場近くの甲子川には3羽の白鳥の姿が毎日見られる。この白鳥たちも間も無く北へ帰って行くのだろう。職場の裏山では相変わらずリス達が気温の上がった晴れた日には姿を見せる。シジュウカラやジョウビタキもよく見かける。醤油工場の裏手の山ではヤブツバキも咲いて来た。市街地の個人の庭先では梅が蕾を出して来ている。ここ2〜3日湿った雪が降っているが、わずかに積もっても、日中にみんな溶けている。自然は時が来れば、必ず季節を変えて行く。八幡神社の紅葉の大樹はまだ葉を出してはいないが、着実に成長しているのだ。本当に自然は素晴らしいと思う。先日、あるところで北東北の自然について書かれた雑誌を見ていると、盛岡に住む人が、市内に流れる中津川で、初めて遡上して来た鮭を見て、とても驚いたことが書かれていた。東北の内陸の中心部を流れる北上川を200Km以上遡上して、その支流である中津川を上って来た鮭だ。明日で、震災から6年になる。あの時の3月は今年よりもずっと寒かった。食料も途絶えて、とてもひもじい思いをさせられた。その時の寒さが拍車をかけたように思う。今、県内の沿岸部ではどこへ行っても復興工事が行われていて、ダンプが何台も走る。堤防の再建や陸地のかさ上げ、自動車道の完成に向けて、全国から関係者が来ている。震災は沿岸部の景色を大きく変えてしまった。寄せるだけで、帰りの波がない浪板海岸も消え、鵜住居川の野鳥の宝庫もなくなってしまった。自然も人も震災で大きく影響を受けたが、それでも失ったものをいつまでも憂えてばかりはいられない。残されたものが力強く、立ち直って行く。これも生きている自然の摂理なのかも知れない。
裏山のヤブツバキ
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地震と噴火

2017-03-06 19:20:39 | 自然
日本気象協会によると、過去100日間に福島県沖で96回、熊本地方で91回、茨城県北部で59回、宮城県沖で33回の地震が起きており、昨年12月28日のM6.3の茨城県北部での地震が最大となっている。日本列島は2500万年前にユーラシア大陸から離れ、400万年前頃にほぼ現在の日本列島が形成された。この大陸からの分離の過程で、地層にはいくつもの断層が出来て行く。それらの多くは現在では地下にあり、地表からは見られない。日本列島には2000以上の断層があると言われているが、正確なところは分からない。日本列島には4つのプレートが集まり、地下深くで対流するマグマに載って、それらのプレートが動く。東日本大震災では、関東地方以北が載る北米プレートの下に潜り込む太平洋プレートからの圧力で出来た歪によるものであった。太平洋プレートが接するフィリピン海プレートにもまだ歪みは残されており、日本列島の内陸部の断層にもやはり歪みが生じている。活断層を専門に研究して来た東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授によると、M2以上の地震の発生率が東日本の5地域で大震災後に10倍以上に急増し、地震のタイプはそれぞれの地域で特徴があると言う。福島県東部の地震などが起きた福島・茨城県境や、千葉県銚子市周辺は正断層型が増加したのに対し、秋田市や北秋田市の周辺は横ずれ断層型、福島県喜多方市周辺は逆断層型が増えている。断層には縦にずれるものと、横にずれるものがある。前者には断層面を境に互いに押し合う力が加えられる逆断層型と、断層面を境に反対方向へ互いに引っ張られる力が働く正断層型がある。東日本大震災では広範囲に渡って、震源域が動いたため、その影響も広範囲であり、1891年に岐阜県で起きた国内最大級の活断層地震の濃尾地震(M8)は、100年以上たった現在も周辺で微小な誘発地震が続いており、大震災の影響が落ち着くにはやはり100年は要すると言う。アフリカプレートとユーラシアプレートが接するイタリアではヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山が先月27日、噴火した。溶岩を噴出するマグマ噴火である。イタリア国立地球物理学研究所は昨年末に、大規模な火山性カルデラ盆地、カンピ・フレグレイの地下にある超巨大火山が、500年の休止期間を終え、“臨界状態”に近づく可能性があると発表した。カンピ・フレグレイはイタリア語で、「燃える平原」を意味する。カンピ・フレグレイのカルデラは直径は10キロを超える。カンピ・フレグレイが出来たのは、数十万年前で、20万年前の大噴火はヨーロッパ史上で最大の火山活動だと言われ、4万年前の噴火は、ネアンデルタール人の絶滅をもたらした可能性があるとも言われている。イタリア領内のアルプス山脈にあるセシア渓谷には2億8000万年前に噴火した直径13Kmのカルデラがあり、その時の噴火では太陽光が遮断され、地球規模で気温の低下を招いたとされる。日本に近いところでは1億4000万年前に噴火した香港の地下の直径18Kmにもなる超巨大カルデラが2012年に発見されている。日本国内のカルデラでなくとも、カルデラ噴火は地球規模での被害をもたらす。震災後も各地で地震や噴火が起きている。今年は何事もなければいいが。
遠野の田園
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