山口県防府市~女性税理士です ◆今日の日記◆

あなたの立場になって一生懸命考えます。

◆社保庁の源泉徴収ミス

2008-02-11 15:10:39 | 税のはてな?
先日のニュースで【社保庁の源泉徴収ミス、厚労相「時効過ぎても還付」】という記事がありました。

>社会保険庁が、年金記録の訂正により過去に受け取るべき年金を一括受給した人に不適正な源泉徴収をしていた問題で、舛添厚生労働相は7日、記者団に対し、このミスが原因で所得税や住民税などの過払いが判明した場合、課税時効(5年)を過ぎていても還付できるようにする方針を明らかにした。(2008年2月7日14時21分 読売新聞)


年金記録の訂正で受給額が増えた場合はどうなるのか?ということを、昨年の8月8日の日記でも書いていますが、この場合過去の増額分もまとめて一括支給されることになっています。

増額分の年金収入に対する課税は、本来受け取るべき年ごとに分割して算定し源泉徴収する必要があるのですが、同庁は徴収方法を誤り、一括受給分をその年の収入としてまとめて源泉徴収していたのです。このため、税金の過払いなどが多数生じているとみられれています。

ちょっと分かりづらいので例をあげて説明してみると・・

例えば、年金を年額150万円受給している人がいたとします。
平成19年に、この人の年金記録に誤りが見つかり、平成15~18年の年金が20万円ずつ増加しました。

このような場合、本来なら平成15~18年の年金を20万円づつ増加し、年170万円として過去に遡り源泉徴収額の計算をすることとなります。

ところが、社会保険庁は増加した年金の全額を、受取った年の年金として源泉徴収税額を計算していました。

上記の例にあてはめると、増加した年金を過去に遡らず、
平成19年の年金170万円+平成15~18年増加分20万円×4年=250万円
これを平成19年の年金とし源泉徴収額を計算。

これで計算すると、平成19年だけ年金額が多くなり、この年だけ源泉徴収額が高額になってしまう可能性があります。(所得が増えれば増えるほど税率が上がるため)
そう、この計算だと余分に源泉徴収される可能性が!


舛添厚労相は「国民の責任ではないのに国民が不利になることは絶対に許さない。税金を余分に払わせることはしない」と明言したとのこと。


過去にももちろん、遡及して年金を受け取っていた例はありました。
その場合、年金受給者が税金の過払い分を取り戻すには、確定申告を行わなければなりません。
それなのに、社保庁は確定申告の必要性を国民に積極的に知らせず、申告に必要な各年の源泉徴収額を再計算した「年別内訳書」の発行も請求者のみだったそうです。(平成18年の場合は、該当者の約半数の4557件しか発行されていなかった)

私も過去において相談を受けたときには、「『年別内訳書』をもらってください。それから各年分ごとの計算します」とお話していました。(各年分ごとに、修正申告になったり、または更正の請求になったりしますので)
でも、きっと気づかずに申告の訂正をしていない方もいっぱいいらっしゃるのではないでしょうか?(いや、その前に、もらえるはずの年金をもらっていない方もいっぱいいらっしゃるのだから


【国税庁の指摘によると、年金記録が訂正されて過去にさかのぼって年金を受け取る場合、所得上は本来その年金を受け取るはずだった年別に年金額を計算して源泉徴収しなければならない。
しかし、社保庁がこうした対応をとってきたのは「源泉徴収の過不足調整は税務署で行われる」と考えてきたため。ただ国税庁とは、取り決め文書は交わしていなかった。】

う~ん、社保庁はいったい何をやってるんでしょうね。
舛添厚労相の「国民の責任ではないのに国民が不利になることは絶対に許さない」の【絶対】という言葉を信じたいものです。






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