大倉草紙

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【奈良】 當麻寺

2008年11月20日 19時43分53秒 | 旅 - 奈良県
7月21日(月)
当日の行程:(車) → 【信貴山】【當麻寺】【談山神社】【山田寺跡】 → 【大官大寺跡】


          
                 仁王門

用明天皇の皇子で聖徳太子の弟の麻呂子親王が、推古20年(612)、聖徳太子の教えにより河内に萬法蔵院禅林寺を草創。
その後、天武9年(681)に、孫の當麻国見が現在地へ移し、金堂、講堂、千手堂、東塔、西塔などを造営し、寺号を當麻寺と改めたと伝わる。


          
                梵鐘(国宝)

この梵鐘は日本最古のもので、白鳳時代に造られたとされる。


          
                 中将姫像

中将姫は、右大臣・藤原豊成(藤原鎌足の曽孫)の娘。
16歳のとき、當麻寺の尼僧となる。
蓮の糸で當麻曼荼羅を織り上げたと伝わる。
當麻曼荼羅は、現在、當麻寺の本尊として祀られている。


   
                本堂(国宝)

拝観料を納めると、本堂、金堂、講堂を順に案内していただける。
解説は録音テープで流れる。

本堂では、中将姫が蓮の糸で織ったといわれる本尊・文亀曼荼羅(重要文化財)、厨子(国宝)、須弥壇(国宝)、十一面観音菩薩(重要文化財)、中将姫二十九歳像(伝・御自作)、来迎仏(伝・恵心僧都作)を拝むことができる。


   
               金堂(重要文化財)

金堂には、弥勒佛(国宝)、不動明王、持国天(重要文化財)、増長天(重要文化財)、広目天(重要文化財)、多聞天(重要文化財)が祀られている。


   
               講堂(重要文化財)

講堂には、本尊・阿弥陀如来(重要文化財)、不動明王、妙幢菩薩(重要文化財)、多聞天、阿弥陀如来(重要文化財)、地蔵菩薩(重要文化財)、千手観音が祀られている。


          
              石燈籠(重要文化財)

講堂の裏手に、石燈籠がある。
ごくごく普通の石燈籠に見えるのだが、白鳳時代に造られた日本最古の石燈籠なのだという。
松香石でできている。


  
      東塔(国宝)               西塔(国宝)

三重塔で、相輪は八輪。
日本で唯一、東西両塔が現存しているのだという。



【当麻寺中之坊】

   
              當麻寺中之坊山門

當麻寺中之坊は當麻寺最古の由緒を伝える塔頭。
當麻寺開創に際し、役行者が道場として開いたのが中之坊である。
天平期、11世実雅上人(中将姫の師)の代に、「中院御坊」として成立した。


   
             秘薬陀羅尼助精製の釜

中之坊に入るとすぐに、このような釜が置かれている。
「陀羅尼助」は、約1300年前に、役行者が作った胃腸の妙薬。
日本最古の和漢薬といわれる。
右側の釜は薬草のエキスを煮出すため、左側の釜はエキスを煮詰めるために、昭和57年(1982)まで用いられていたそうだ。


          
                芭蕉の句碑

「僧朝顔 幾死にかえる 法の松」
貞享元年(1684)、芭蕉が中之坊を訪れ、大松を見て詠んだ句。


   
             中之坊本堂(中将姫剃髪堂) 

中将姫は、この堂で剃髪して尼僧となったと伝わる。
本尊・十一面観音菩薩は、中将姫の守り本尊「導き観音」として信仰されているそうだ。


   
                加持水の井戸

役行者は、この井戸の水を加持し、その水と山野の薬草をもって陀羅尼助を作ったといわれる。


   
                中将姫誓いの石

奈良時代の當麻寺は女人禁制で、中将姫は入寺を許されなかった。
中将姫は、三日間念仏を唱えたところ、お経の功徳で石に足跡が付いたという。
それ以後、女人禁制は解かれた。


  
       茶筌塚               宇都野研の歌碑

毎年10月第一日曜日に、茶筌塚の前で護摩法要を勤修し、茶筌の供養が行われているそうだ。

「ゆきもよひに 大和はくれて 西あかり
 ふたかみ山の まつのさびしき   宇津野研」


          
                  髪塚

中将姫は、下ろした髪で六字の名号を刺繍し、感謝の気持ちを表したという。
毎月16日には、髪塚の前で髪を供養し、心身の健康を祈願する法会が営まれているそうだ。


   
              香藕園(名勝・史跡)

香藕園(こうぐうえん)は後西天皇を迎えるために、片桐石州によって造営された。
三重塔を借景とする。


   
           後西天皇御幸の間(重要文化財)


後西天皇を迎えるにあたって、茶室も造られた。

   
          茶室・双塔庵 丸窓席(重要文化財)

   
                 知足庵


   
               釈迢空の歌碑

「ねりくやう すぎてしづまる 寺のには
 はたとせまへを かくしつゝゐし   釈迢空」
釈迢空こと折口信夫は、明治38年~39年、中学を卒業する頃に中之坊に滞在していた。
この歌は、その頃を回想して、昭和5年に詠まれた歌だという。


   
              佐藤佐太郎の歌碑

「白藤の花に 群がる蜂の音
 歩みさかりて その音はなし   佐藤佐太郎」


   
             客殿・松室院の天井

客殿・松室院の天井には、九十余人もの近代日本画家の手による豪華な作品が飾られている。


          
            當麻寺中之坊の御朱印



【當麻寺奥院】

當麻寺奥院は、浄土宗総本山知恩院の「奥之院」として建立されたお寺。
最初は往生院と呼ばれていたそうだ。
4000株もあるという牡丹で有名。

   
              本堂(重要文化財)

本尊は、法然上人像(重要文化財)。


   
                阿弥陀堂


   
奥の院からは、東塔と西塔が美しく見える。
手前に見えるのが西塔、奥に見えるのが東塔である。


          
              楼門(重要文化財)

江戸時代初期に造られた楼門。
奥院正門とされているが、通常は閉まっているようだ。

奥院には宝物館があり、當麻曼陀羅、二十五菩薩来迎像、法然上人行状絵伝(重要文化財)などを観ることができる。


          
             當麻寺奥院の御朱印         


訪れたときは、参拝者が少なく、金堂、講堂、奥院の宝物館は、夫と私に貸切なのではと思うほどであった。
お寺の方にとても親切な対応をしていただいたのが心に残っている。