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使用済み核燃料、貯蔵ほぼ満杯 再処理進まず原発ピンチ

2009年07月25日 08時01分42秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
日本原燃の使用済み核燃料を貯蔵するプール=日本原燃提供

2009年7月25日7時13分朝日COM

 原子力発電所で使い終わった核燃料がたまり続けている。青森県六ケ所村の再処理工場が稼働しないためで、近くにある貯蔵施設は満杯に近づき、そこに持ち込んできた原発の中にはあと数年分しか独自に保管できない所もある。最悪の場合、原発が運転できなくなる可能性もあり、電力会社は頭を悩ませている。

 六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料の受け入れ貯蔵施設。縦27メートル、横11メートル、深さ12メートルのプールに、長さ4メートルを超える燃料棒を数十本束ねた「燃料集合体」を沈めて保管している。

 施設には同じプールが計三つあり、使用済み核燃料に含まれるウランの量にして3千トン分を貯蔵できる。98年から入れ始め、今年3月末までに2500トン分が埋まった。09年度には330トン分が運び込まれる計画で、10年度には170トン分しか受け入れ余地がない。

 施設が満杯に近づいているのは、使用済み核燃料の「出口」である再処理工場が不具合続きで本格操業できないからだ。再利用できるウランとプルトニウムを取り出す日本原燃の再処理工場は、06年3月に始めた試運転を今年8月で終え、地元との安全協定を結んで10月から本格操業に入る計画だった。しかし現在は不具合の原因を調べ、点検している段階だ。日本原燃は操業に向けた計画を練り直し、8月中に発表するが、児島伊佐美社長は5月末の記者会見で「大変厳しい」と話し、事実上、10月からの本格操業を断念している。

 国内に53基ある原発からは毎年900~1千トンの使用済み核燃料が出る。これまで年平均で約360トンが六ケ所村の貯蔵施設に運ばれ、残りは各原発の敷地内の使用済み核燃料置き場にためている。しかし東京電力の福島第一原発はこのままでは12年度下半期で貯蔵量が満杯になるなど、多くの原発で余裕がなくなりつつある。

 電力各社はこれまで、原発内の使用済み核燃料置き場に当初の予定より詰めて置けるようにするなど、様々な取り組みをしてきた。東電の切り札は青森県むつ市に建設を計画している「中間貯蔵施設」。使用済み核燃料3千トン分を、金属製の大型容器(キャスク)に小分けして保管する施設だ。10年7月に着工し、12年7月に受け入れを始める計画だ。

 計画通り進めば、福島第一原発の貯蔵能力が限界に達するまでに間に合うが、まだ国の事業許可が出ていない。07年7月の新潟県中越沖地震で、原発関連施設の耐震安全性を見直す必要が生じたためで、東電は追加の断層調査などをした。再処理工場が動かず、中間貯蔵も間に合わなければ、福島第一原発の一部が運転できなくなる。東電は「そのような事態にならないよう日本原燃は再処理工場の技術的問題の解消に取り組んでおり、東電も支援している」とするが、綱渡りの状態だ。

 国内の電力会社は以前、英仏の核燃料会社に使用済み核燃料の再処理を委託していたが、契約した量に達した98年にやめた。その際、10年までに中間貯蔵施設を設ける必要があるとしていたが、建設計画があるのは東電と中部電力だけだ。再処理工場が稼働しても処理量を超える使用済み核燃料が出るため、原発内の置き場が埋まりつつある電力各社は中間貯蔵施設の建設を急ぐことになる。(諏訪和仁)

>「37基も立っていた♪」とキヨシローが唄った日本の原発はあとさきを考えずに建設を続けた結果、53基にも達している。その「つけ(代償)」はあまりにも深刻で罪深い。


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