[掲載]週刊朝日2010年3月26日号より(谷本束)
『血液型の科学』 [著]藤田紘一郎(祥伝社新書 189)
■人類はもともと全員O型だった
日本人は血液型性格判断というやつが好きである。A型几帳面、O型大ざっぱ、B型マイペース。話のタネとしちゃ楽しいが、実のところ、そんなのはマユツバだなと思っていた。何十億人といる人間の性格がたった4種類って、それヘンでしょう。実際、たいていの科学者は「血液型性格論はエセ科学」とハナもひっかけない。
ところが本書によれば、科学的根拠がないのは科学者の言い分のほう。免疫学的にみれば、血液型によって性格がちがうことはありうる、というのだ。賛否両論の血液型性格論を検証している。
ヒトはもともと全員O型だったという。農耕、遊牧が始まると、紀元前2万5千~1万年にそれぞれの食物消化に適合する血液型として、初めてA型、B型が出現する(ついでに言えば、AB型の出現はほんの千年ほど前だ)。
血液型を決めるのは血液型物質だが、この物質のせいで血液型によって体に合う食べ物、合わない食べ物が現れる。病気に対する免疫力にもはっきり違いがあり、AB型がコレラに強いのに対し、O型は弱く、コレラ原発地のインドではO型が少なくなった。反対に梅毒が地方病だったアメリカ大陸ではA、B、AB型が淘汰されて、先住民はほとんどO型だという。
血液型と性格云々よりも、科学者すらご存じないらしい血液型そのものをめぐる科学的事実のほうが衝撃的に面白いのだが、それはともかく血液型は食習慣や生活様式と密接に結びついたもので、脅威となる病気もそれぞれ違う。ならば、血液型が性格を規定しても不思議はないのでは、と論じる。
今のところ、血液型性格判断は怪しげな占いの域を出てないが、著者は仮に科学的根拠がなくても、度が過ぎなければ血液型占いを楽しむのもいいではないか、と書く。目くじら立てなさんな、と。藤田センセのこういう鷹揚な、ゆるいところが好きなんだなあ。理屈に合わないものも含めて人間。そういう感覚と科学的思考がうまく発酵して、いい味になっている。
『血液型の科学』 [著]藤田紘一郎(祥伝社新書 189)
■人類はもともと全員O型だった
日本人は血液型性格判断というやつが好きである。A型几帳面、O型大ざっぱ、B型マイペース。話のタネとしちゃ楽しいが、実のところ、そんなのはマユツバだなと思っていた。何十億人といる人間の性格がたった4種類って、それヘンでしょう。実際、たいていの科学者は「血液型性格論はエセ科学」とハナもひっかけない。
ところが本書によれば、科学的根拠がないのは科学者の言い分のほう。免疫学的にみれば、血液型によって性格がちがうことはありうる、というのだ。賛否両論の血液型性格論を検証している。
ヒトはもともと全員O型だったという。農耕、遊牧が始まると、紀元前2万5千~1万年にそれぞれの食物消化に適合する血液型として、初めてA型、B型が出現する(ついでに言えば、AB型の出現はほんの千年ほど前だ)。
血液型を決めるのは血液型物質だが、この物質のせいで血液型によって体に合う食べ物、合わない食べ物が現れる。病気に対する免疫力にもはっきり違いがあり、AB型がコレラに強いのに対し、O型は弱く、コレラ原発地のインドではO型が少なくなった。反対に梅毒が地方病だったアメリカ大陸ではA、B、AB型が淘汰されて、先住民はほとんどO型だという。
血液型と性格云々よりも、科学者すらご存じないらしい血液型そのものをめぐる科学的事実のほうが衝撃的に面白いのだが、それはともかく血液型は食習慣や生活様式と密接に結びついたもので、脅威となる病気もそれぞれ違う。ならば、血液型が性格を規定しても不思議はないのでは、と論じる。
今のところ、血液型性格判断は怪しげな占いの域を出てないが、著者は仮に科学的根拠がなくても、度が過ぎなければ血液型占いを楽しむのもいいではないか、と書く。目くじら立てなさんな、と。藤田センセのこういう鷹揚な、ゆるいところが好きなんだなあ。理屈に合わないものも含めて人間。そういう感覚と科学的思考がうまく発酵して、いい味になっている。
との事ですが……
霊長類にもA、B、O、ABなどの血液型はあるし「食物消化で云々」は仮説にしても無理じゃないでしょうか?
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓↓ ↓ ↓ ↓ ↓
普段はこの手の本は買わない。怪しげな内容のものが多いからだ。今回は「医学博士の藤田先生の本だから大丈夫だろう」と思って買ってしまったが・・・どうして買ってしまったのかと、読み始めてすぐに思い、読み終えてさらに後悔した。
第一章 血液型による性格診断は「エセ科学」か
第二章 血液型とはそもそも何か
第三章 血液型はどのようにして生まれたか――人類は全員O型だった
第四章 血液型で決まる「体に合う食物・合わない食物」
第五章 血液型が左右した病原菌との闘い
第六章 血液型別・かかりやすい病気とその対策
この中で納得できたのは「第二章 血液型とはそもそも何か」と「第五章 血液型が左右した病原菌との闘い」のみ。その他の章は、新書というページの制約があるにしても、根拠がきちんと示されているとは言えない。特に第一章と第四章に関してはどこに医学的根拠があるのか。それともこの本は娯楽本として捉えればいいのだろうか
昔実際これで就職差別があったから
教科書にも載ってたくらい
を読んでみました。
なるほど、かなり大真面目に血液型を「活用」している企業もあったのですね。
中世の「魔女狩り」にも似ていますね。