のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

「追跡!真相ファイル」への抗議文

2012年02月14日 14時07分20秒 | Weblog
批判の結論を言うと、

数々の論旨のすり替え(1)、

事実誤認(2)、

不都合な情報隠ぺい(3)、

根拠薄弱な問題指摘(4)などにより構築された

非常に問題の多い内容であり、

誠に遺憾ながら、

公共放送としてNHKに求められる高い放送倫理に

疑義を挟まざるを得ない番組であったと受け止めております――

ということです(かっこ内の数字は、筆者)。


以下、具体的にあげられた批判点の転載をします。

なお、転載の文章については、

文章の区切り方を

読みやすさも考慮し、

筆者の文の書き方を統一させていただいたので、

明瞭に筆者の文と区別しえるよう、

転載する文章個所は、

緑色で表示させてもらいます。


――***――***――

1.ICRPの基準関連について

(1)論旨の意図的なすり替え

 報道では、

オタワのICRP事務局でChrisClement氏が

「低線量のリスクを半分にしていることが妥当なのか議論している」

と日本語音声に翻訳していますが、

録画を見直したら

同氏は該当部分を

「DDREF」(線量・線量率効果係数)

とハッキリ言っています。

線量(時間積算値)が同じでも

線量率(単位時間当たりの線量)が違うと

「放射線の生物影響」が異なる、

即ち

「高線量率・短時間」と

「低線量率・長時間」の照射で効果が異なり

線量・線量率効果係数(DDREF)が導入されています。

原爆のような1度の大量被ばくでの評価結果を

「低線量率・長時間」に適用するために

DDREF値により補正を行うのは

常識になっています。

彼が述べているのは

線量・線量率効果係数(DDREF)についての不確実性であり、

NHK報道では

それをリスクを低く見ているかのごとく

意図的に意味が全く異なったものにすり替えてしまっています。


(2)論拠不明

 また、他にも数人の元ICRP関係者にインタビューし、

政治的な圧力で

規制値を緩和したかのような

論旨にしていますが、

例えば

当初考えていた被ばく線量が1000mSvだったのが、

その具体的な内容を説明せずに

ただ線量が半分だったといわれても

事実かどうか判断できません。

論拠を明確にしてから主張すべきです。


(3)論旨に不都合な事実の隠ぺい

 更にICRPは1990年の勧告で

職業被曝を年50mSvから

5年100mSvに、

公衆被曝を年5mSvから

1mSvに規制強化していますが、

番組ではこのことは全く触れてなく、

論旨に不都合な

事実を隠ぺいしたとしか思えません。

以上のような

意図的な誤訳による論旨すり替え等の事実から、

この方たちが話したことが

NHK番組で日本語に翻訳され解説されたような意図であったかどうか

断片的な映像だけで

判断しがたく、

またこれらは全て

ICRPの国際的権威に係わることでありますから、

NHK番組の日本語ナレーションの英語版を

この方たちに見ていただき

真意を確認すべきです。

そして、間違いを確認されたら、

放送を通じて訂正していただきたく思います。



2.低線量放射線被ばくの危険性
 
 スエーデンのSamiの人々が

チェルノブイリ事故後にトナカイの肉を食べ

セシウムの内部被ばくによる癌が増えたとの話があります。

またイリノイ州の原子力発電所の近くで

子供の脳腫瘍と

白血病が多発している問題を報道しています。

がんの具体的な発生状況や

その地域の状況を明確にして、

なぜその地域の疾病が増加していると言えるのか

事実関係を明確にすること無しに、

原子力発電所が原因で

疾病が増加している

という主張をするのは

極めて無責任であり、

客観的なデータと理性を無視して

原子力に反対される多くの方と同じことです。

反対派の多くは

長年この手の手法を使ってきました。

しかしその後の疫学的調査では

原子力施設と疾病との関係が認められたものはありません。

更に、もしこのようなことが

正しければ

同様の癌、

脳腫瘍や白血病の増加が

世界に約440基ある原子力発電所の周辺地域や

チェルノブイリ事故の影響を受けた

北欧の他の国などで見られないのは何故でしょうか?

他の要因が考えられていないのでしょうか?

慎重な調査をしたうえで報道にするべきです。


 過去においても

原子力発電所

あるいは再処理工場近傍における

白血病過剰発生が

英国、フランス、ドイツ、米国、日本等で指摘されましたが、

それぞれしかるべき機関が調査を行い

原子力施設に関係ないことが解明されてきております。

白血病は

自然発生率が10万人に4~5人と少ない疾患で、

1万人程度の町村では

患者が一人発生しても発生率が跳ね上がり、

目立ちやすいのです。


 従って、

このような問題は

きちんと統計学的に有意であるか否かを

専門学的に評価、

判断されて報道されるのが公正な報道であり、

正確さを期す

という報道の基本が

出来ていないと言わざるを得ません。


 また、番組には

かつて再処理施設で働いていて

皮膚がんなどを発症した女性従業員を登場させ、

放射線の恐さを述べさせていましたが、

彼女たちの職歴や

被ばく歴などの説明は

一切ありませんでした。

低線量の放射能に汚染された地域に住み続けていると

癌になることを連想させようとする意図が窺われ、

公共放送としての資質を疑われる報道です。

このように、

調査不足、不都合な情報の隠ぺい、

根拠薄弱な不正確な問題を

NHK報道では厳密な因果関係があるかのように決めつけて

報道するのは放送倫理にもとる、誠に遺憾なことです。


3.放射線被ばくについての情報

(1)サポーターの認識不足は本人の不勉強か、NHKの指導不足か?

 番組の中で

作家の室井佑月さんをサポーターとして

一般市民の代表の様な立場で登場させていますが、

鎌田キャップや

西脇デレクターとの対談の中で、

彼女は「正しく知って正しく怖がるためには、

情報が必要、

情報が上がってこないのが問題です」

と言っています。

しかし、放射線被ばくに関する情報は

沢山のインターネットサイトや

専門家が執筆した本も沢山出ています。

例えば、

インターネットサイトでは

消費者庁の「食品と放射線に関するQ&A」、

日本保健物理学会の「暮らしの放射線Q&A」、

放射線総合医学研究所の「放射線被ばくに関するQ&A」、

放射線影響研究所の「福島原発関連」

などに専門的な情報、

一般市民にも分かり易い情報が膨大にあります。

その中で

チェルノブイリ原発事故のような

放射線被ばくによる影響も述べられています。

サポーターとしては

少なくともそれらの事を勉強するべきであり、

NHKもそう指導すべきです。

不勉強か、

もしくは初めから虚構の結論ありきの

番組制作であったと言えます。


(2)NHK番組制作者はまず正しい知識の勉強を

 細野環境大臣兼原発事故担当大臣は

自ら

「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」

を主宰して

国内外の多くの専門家の見解、提言を

公開ヒヤリングし、

また7回の会議は

全て動画で公開しています。

更に12月22日に

その報告書が大臣に提出され、

それも公開されています。

NHKにおかれても

この様な国民に大きな影響を及ぼす

重要な

番組を企画される場合は、

まずは正しい知識を勉強されることが必須です。


(3)客観的な事実と正負両面の公平な報道をすべし

 この放送番組の他にも

NHKの放射線に対する最近の報道は、

私達から見ると

非常に偏見に満ちたものが多く

国民の放射線恐怖症をいたずらに煽っている

と強く感じます。

例えば

本年1月5日PM7:30からの

「親子でナットク・イチからQ1」

という番組では

放射線を悪魔に見立てた生々しい道具立てで、

人間の体に当たると癌になると説明し、

母親と子供の恐怖を煽っていました。

我々高等生物は、

自然放射能下で進化してきたために、

生来放射線被ばくによる遺伝子の損傷における修復や

修復失敗した細胞の自殺(アポトーシス)の能力を備えていて、

直ちに癌にはなりません。

放射線に関しては

負の面と合わせて、

日常生活における自然放射線や医療などの放射線被ばく線量、

日本人の死因の30%はがんであり、

例えば、

1000人の人が100mSvの被曝を受けた場合、

癌で死亡する人が300人から305人となる程度であること、

放射線の性質を利用した癌の診断、治療をはじめ

シリコン半導体製造、

自動車のタイヤや

電線ケーブルの強化、

造船工場や

橋ゼルの非破壊検査、

医療器具の滅菌と消毒、

農業における品種改良や

害虫の駆除、

放射光や中性子等による最新科学研究など

人のために役立っている

などなどの客観的な事実や正の面も説明することが

公平公正な報道であります。


――***――***――

論難されたのは、以上の点です。

この後、

NHKへの要望として、

押しつけがましいことが幾つか

述べられています。

そちらも

転載しておきます。

――***――***――


4.要望

(1)指摘した事項につき厳正な調査をお願いしたい

 まず、今回のNHK番組について

上記にて指摘した事項を、

貴社において厳密なる調査を行うことを要望いたします。

(2)事実誤認等が判明した際には、公式に改めていただきたい

 そして、事実誤認の報道がなされたことが判明したら、

直ちに過ちを改めるのが正しい報道のあり方です。

更に、報道で意図した主張内容の殆どが

事実誤認もしくは根拠薄弱であることが明らかになったら、

それらの福島県民ならびに全国民への悪影響に鑑みて、

番組自体の撤回をするのも

国民の受信料で経営をしている

公共放送であるNHKの責務であると思います。


(3)慎重な番組制作と公正公平な報道に努めていただきたい

 さらに、このような

一般視聴者に放射線の恐怖のみを煽るような

"風評加害者"的報道は

今後止めるよう強く要望します。


5.最後に

 NHKの上記番組の放送内容は

放射線の健康影響は被ばく線量に依存する

という科学的常識を無視して、

統計的根拠も示さずに

癌や難病が増加した原因を

極めて低線量の放射線被ばくの可能性に起因する

と決めつけた非論理的、

非科学的な事実誤認の報道であると思われます。


 現在福島県の

周辺市町村の除染については

ようやく環境省主体の体制が動き出しつつあります。

そして、いよいよ今年から本格的な除染を行おうとしているところです。


 この様な時期に

今回のNHK報道は、

わが国における汚染地域の

放射線防護の基盤を根底から覆す惧れのあるものであり,

そのことは,

環境修復や避難民帰還のハードルを

著しく高めることになり,

既に伊達市や

相馬町などで除染を行っている地元の方々、

指導しているアドバイザーの方々の

苦労を無にしてしまう恐れがあります。

結果として

年間放射線量が

20mSv未満の区域に今なお住み続けておられたり、

あるいは

除染が済んで

20mSv未満の避難指示解除区域になったら

避難先から帰ろうと考えておられる

福島県の住民自身を

一層不安に陥れ、

復帰を断念させることを大変危惧します。

また、放射線への恐怖が、

医療現場での放射線診断を拒否し

手遅れになるという可能性もあります。


――***――***――


2012年1月12日付での抗議の内容についての

骨子は以上の通りです。

うんざりするほど

長いです。

この長さが

原子力村の人たちの

閉塞感を物語っているのでしょう。

要するに、

核開発のため

勢力を

巻き返そうと必死なんですな。

まさに、まさに

“必死のパッチ”です。

ここまで屁理屈を言うか…

と情けなるほどですが

丁寧に読み解いてあげましょう。

理系の人って

傲慢になりやすい、ということですかな。

同情しつつ、改めて、納得しました。

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