戸惑う

涙など見せない強気な長女が泣いているのは
落ち込んで弱気になってるからなどではない。
「現代文キーワード読解」を始めてから
僕が入れる添削に納得がいかないのか、悔しいのか
泣きながら議論を挑んでくる。
もちろん僕は挑発をするような物言いは決してしていないと思う。

「要約においては主語と述語を明確にし係り結びをしっかり確かめよう。」
「文中の言葉を大切にして、勝手に短略化したり造語を用いないようにしよう。」
「論に流れがある場合は要点を全て抜き出して流れを明確にしよう。」
「文庫本の裏のあらすじじゃないんだから、
尻切れにならないように要約の結論をしっかり入れよう。」
「冷静に自分で書いたものを読んで論理に飛躍がありすぎるときは何かが抜け落ちてるよ。」
「余計な例は要約に入れないようにしよう。」等々…

と、当たり前のことを確かめるように優しく言っていたつもりだが注文が多すぎたんだろうか。
あるいは思春期の女子に見られがちな父親へのレジスタンスなんだろうか。
もちろん僕は解説を見てアドバイスしてるのだが、僕なんかに指摘されるのが嫌なんだろうか。
昨日僕はさすがに長女に
「お父さんとやらなくたって自分のペースで自分で要約をチェックしていっていいんだよ。」
と聞いてみたが、「添削してもらった方がモチベーションが上がるから…」との答え。
では、とやっていざ議論となるとまた耳まで真っ赤にして
「私はこう思う。……………」と、挑んでくる。
もちろん僕は長女が目標を達成するためのお手伝いならなんだってするつもりだ。
しかし、正直長女の涙は僕を戸惑わせるばかりである。