Hidenori Nodera 野寺秀徳『輝く路の上で』

SHIMANO Racing野寺監督のブログ

こころ洗われる山生活中 

2015-09-02 22:01:04 | 日記

長野県での合宿も早くも後半に入ります。
天気は不安定で時折雨も降りますが、計画通りトレーニングを遂行しています。



八ヶ岳の麓を移動する雨雲の行き先を読みながら走行するのですが、これがまた難しい。
文明の利器、スマフォを駆使してもフェイントをかけてくる自然は、まだまだ人間よりウワテだという事なのでしょうか。



しかしながら、苦しんで登りきる山頂から見る景色は格別なものですね!

ものですね!とか語った私、実は自動車で上っていたことに今さら気が付きましたが、やはり頂上からの眺めは絶景でした。笑



最近のトレーニングは色々なデジタル機器を利用し行われています。
選手は過去~現状の走行データを可視化できる機器を利用することが多いのですが、
私はというと慣れない土地で選手がスムースに走行できるように、
現状~未来の為にデジタル機器を利用する事が多いように思います。

スマートフォンでは走行予定ルートを入れ確認したり、地図で補給食の調達店舗を探したり。
選手とはぐれた時には、お互いの位置情報を共有し、合流したりもできてしまいます。

腕時計でも高度を測定し地図と照らし合わせたり。

便利な世の中になったものですね。


ところで、今日の練習中登坂でシマノレーシングの集団に一人の中学生が合流した時間がありました。
ちょうど学校からの帰り道、いつもの道のりを自転車で帰っていたようです。
が、その場所は山間の集落までの登坂。
選手の使用する軽量バイクよりだいぶ重い自転車で、かなりのハイペースで走り、
選手の隊列の中に数秒入る形になったのです。

選手に対抗して無理しているようでもなく彼にとってはいつもの事のよう、
隊列から離れた後も淡々とペースを刻んでおりました。

頑張って!と声をかけると『ありがとうございます!』と、
何とも礼儀正しく言葉を返してくれるではありませんか。
清々しいかれの態度に心洗われる私と鳴島マッサー。

が、そんな余韻に浸る我々の耳にある音が。
自転車から、キュルキュルーとチェーンのオイルが切れている音が鳴り響いています。

自転車文化の発展を願う我々自転車チームスタッフにとって、無視できない音です。
『ちょっと待って!』
となかば強引に彼を静止させる我々。
『油さしたらもっと早く走れるよ。』と言うと、警戒していた彼の顔が明るくなりました。
私が彼の自転車に油をさしていると、鳴島マッサーが『空気も少ないよ』
と空気入れを取り出し、空気を入れはじめました。

『自転車の合宿をしている。君の自転車についている部品と同じ会社がスポンサーなんだよ』
と、ちょっとだけ世間話をしながらの作業、別れ際に『どこから来たんですか?』と聞かれ、
『大阪だよ。チーム応援してな、よかったら将来チームに入ってよ』と言うと、
驚いた様子で笑顔を見せ『ありがとうございました!』と言ってくれました。

こんな出来事を機に、本当にスポーツサイクルに興味を持てくれたら嬉しいですよね。
もちろん本気で選手を志し、成功したらそんな素敵な事はありません。

夢のような話を想像してしまうほど、自然の中をひた走る彼の姿は力づよく輝いて見えました。








休養日になぜかずっとマウンテンバイクに乗っていた小山選手。
彼もつい数年前まで、選手に憧れる少年だったのでしょう。

めっちゃ楽しいです~。
と、いう彼の笑顔も今日の少年と変わらず輝いておりました。

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3 コメント

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Unknown (なかむら)
2015-09-03 12:32:58
正直シマノデザインは好きじゃないですが、こんなブログを読むと、シマノを見なおしちゃいます!
返信する
ありがとうございます。 (Nodera)
2015-09-06 12:36:35
嬉しいコメントありがとうございます。

皆様に注目して頂けるよう、シマノの一員として精進してまいります。

そして、このブログを見てくださる方々と同じように、
この文化に誇りを持ち発展させていけるよう、活動していけたらと思っております。

今後ともよろしくお願いします。
返信する
まるで (萩原水音)
2015-09-12 14:25:46
伝説の選手ファウスト・コッピの少年時代のような彼ですね!
きっとこの日のことは忘れず、いつかSHIMANOチームの門を叩いてくれることでしょう!
http://nousagimario.m.blog.jp/
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