片雲の風に誘われて

自転車で行ったところ、ことなどを思いつくままに写真と文で綴る。

12/31 大晦(おおつごもり)

2017-01-01 00:14:18 | 日記

「あの日パナマホテルで」(原題「Hotel on the Corner of Bitter and Sweet)ジェイミー・フォード著

ここ数日のハードワークで午後遅くには身体が動かなくなった。
いわゆるハンガーノック状態になった。
慌ててバナナや飴を口にした。
何とか6時ごろまでに庭の片付けや倉庫の整理を終えることができたが、そのまま夕食までベッドに倒れ込んだ。
あまり食欲もなく、食事は軽く終わった。
その後、テレビの紅白にも関心が持てず、風呂を済ますとまたそのままベッドで、モーツアルトを聞きながらここ数日読みかけの標記小説を読んだ。
妻の書棚にあったものだ。
新聞の書評で興味をもって購入したそうだ。
妻は興味を持つと直ぐアマゾンで注文するが、私は先ず図書館を検索する。
先日友人から紹介された中村文則の「教団X」も蔵書検索するが、何時も貸し出し中で手に入らない。
それで妻の書棚を物色して見付け読み始めた。
中国系のシアトルに住むアメリカ人が著者だ。
日米開戦時のシアトルにおける日系人強制移住収容がテーマだ。
中国系の主人公ヘンリーが中国系の学校でなく、父親の意向で通わされた現地白人アメリカ人の小学校で出会ったただ一人のアジア系日系人のケイコとの交流の物語だ。
ヘンリーの父親はある程度シアトルで成功しているらしいが、中国大陸への日本軍の進軍に大いに怒っている。
アメリカに帰化した後でも中国人のアイデンティティーを強く持っている。
あくまでも中国人の意識がある。
しかしその息子であるヘンリーにはアメリカ人でもなくまた中国人でもない中途半端な意識がある。
現実に、中国人には白人学校に通うことで馬鹿にされ、白人には日系人を含めアジア人としてのいじめにあっている。
そん中で、学資を助けるための学校の給食調理室で共に働くケイコと出会う。
彼女および彼女の両親は日本人の意識は少なく、アメリカ人として強く生きていこうとしている。
しかし、真珠湾攻撃の後、日系人は強制収容所送りとなる。
ヘンリーはケイコが収容所送りとなった後も彼女との連絡を維持しようとするが、父親の手配で彼女との手紙のやり取りも邪魔をされてしまう。
それを知らずに、彼女の手紙が来なくなったことを彼女の心変わりと思ってしまい、彼女宛の手紙を出すときの、ポストオフィスの窓口女性と結婚してしまう。
50を過ぎた時、その妻エセルががんで亡くなり、彼女たち日系人が収容される前にその持って行けない荷物を預けたパナマホテルでその荷物が発見される。
その中に、彼女と聴いた街角のジャズ奏者シェルドンのレコードを見付ける。
その後、息子と婚約者の計らいでニューヨークに住むケイコを見付け再会を果たす物語だ。
ヘンリーの父親は国民党の熱狂的支持者で、戦費調達の中心にいる。
この小説は全米のベストセラーになったそうだが、いわゆる日中関係を超越した設定である。
戦前からのアメリカ在住の中国系の人々の意識の中で幼い日中の男女の恋物語が受け入れられる状況なのかが興味持たれる。
しかし、たぶん現在の中国大陸では売れていないと思う。






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