機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

α-シヌクレインの伝わり方はプリオンとは異なる

2016-01-10 06:06:45 | 
Parkinson's disease: New insights into a traveling protein

A laboratory study indicates that one of the main proteins involved in Parkinson's disease pathology does not behave as a 'prion'

January 5, 2016

http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160105133128.htm

パーキンソン病ではα-シヌクレインというタンパク質が患者のニューロン内に凝集し、脳の相互につながった領域を伝わって広まるpropagateようである
これがどのようにして起きるのかはほとんどわかっていないが、α-シヌクレインが『プリオン』のようにふるまう可能性がこれまで提案されている
それによると、このタンパク質の『病的な形態pathological forms』は、正常なα-シヌクレインのコンフォメーション/構造を変化させることを可能にし、
したがって凝集を引き起こしてニューロンからニューロンへの伝播propagationをできるようにするかもしれないという(この現象をシーディングseedingと呼ぶ)

※seed: (vt) 種をまく,生長の因子を供給する,種晶を入れる. (n) 種晶(過飽和溶液から結晶を析出するために加える微小結晶)

神経変性疾患ドイツセンター/German Center for Neurodegenerative Diseases (DZNE) による最近の研究で、α-シヌクレインによる凝集、拡散、病理は、必ずしもプリオンのようなシーディングを伴わないことが明らかにされた
シーディングの代わりに、それらはα-シヌクレイン発現の促進ならびにモノマー形態とオリゴマー形態両方のニューロン間の移動passageによって引き起こされる可能性があるという
このDonato Di Monte教授を中心とする研究報告はBRAIN誌で報告される


パーキンソン病の病理発生におけるα-シヌクレインの決定的に重要criticalな役割を強調するエビデンスは数多い
特に、α-シヌクレインはレヴィ小体というニューロン内の封入体inclusionの主な構成要素であり、この封入体がパーキンソン病の脳内に徐々に蓄積する
α-シヌクレインの病理はしばしば延髄medulla oblongataという脳の下部領域から始まり、延髄から上方の中脳~皮質領域へと拡がっていく
今回の研究でDZNEの研究者はこの現象をマウスで模倣した
テーラーメイドなウイルスベクターを使ってヒトのα-シヌクレイン遺伝子の複写図blueprintをマウスの延髄のニューロン特異的に導入した結果、これらの細胞は比較的多い量の外因性ヒトα-シヌクレインを作って蓄積し始めた


長距離のタンパク質伝播
Long-distance protein transmission

Di Monte教授たちはヒトα-シヌクレインを認識する特異的な抗体を用いて、このタンパク質がマウスの脳内を拡散していく様子を6週間から12週間かけて追跡した
さらに、外因性ヒトα-シヌクレインと内因性α-シヌクレインを発現するマウスを、外因性ヒトα-シヌクレインは発現するがマウスの内因性α-シヌクレインを持たない変異体マウスと比較し、その拡散spreadingする様子と病理を検討した

実験の結果、両方のグループで、ヒトα-シヌクレインの発現上昇により延髄から吻側rostralの脳領域へと拡散diffusionが進行した
このタンパク質の拡散spreadingは少なくとも一つのトランスtransなシナプスを越えたジャンプを伴い、
解剖学的な相互接続経路を経由する拡散と一致するステレオタイプなパターンstereotypical patternをたどったfollow

※trans: トランス。こちら側から向こう側へ

さらに、レシピエント側ニューロンへ拡散したタンパク質の蓄積は、ニューロンへのダメージのエビデンスを伴った(ニューロンが損傷したという証拠が見られた)


プリオンとの相違
Unlike prions

プリオン様のシーディングメカニズムからの予想では、
ドナーのニューロンによって作られた異常な形態のα-シヌクレインと
レシピエントのニューロンが発現する『汚染されていないuncorrupted』α-シヌクレインとの間の相互作用により
α-シヌクレインの拡散spreadingは促進されるはずである

「言い換えれば、」
Di Monte教授は言う
「我々の予想では、内因性のα-シヌクレインを持たない変異体マウスでは、α-シヌクレインタンパク質の伝達transmissionの効率は低下less efficientし、病理は目立たなくなるless pronouncedと思われた
また、拡散と病理は『アミロイドを生み出すamyloidogenic形態のα-シヌクレイン』の蓄積と関連するだろうとも予測していた
不溶性の線維状凝集物を作ることができるのは、そのような形態のタンパク質である」

これらの予測とは反対に、内因性α-シヌクレインを持たない変異体マウスにおいて、α-シヌクレインの拡散は相殺されるよりもむしろ促進された
さらに、α-シヌクレインタンパク質の拡散とそれにより引き起こされたニューロン病理の原因は、線維状ではないnon-fibrillar、非線維状のα-シヌクレインのトランスなニューロン伝達passageだった

研究者は次のように説明する
「我々はこれらの研究結果が疾患の病理発生にとって多くの重要な意味を持つと考えている
我々はα-シヌクレインの長距離の拡散diffusionが必ずしもプリオン様の形態の生成を必要としないと結論する
加えて、研究データからは拡散spreadingと病理がただ単にα-シヌクレインの過剰発現によって引き起こされる可能性があり、
少なくとも初めは、モノマーまたはオリゴマーなα-シヌクレイン、もしくはモノマーとオリゴマーの両方によって、仲介されることが明らかになった」


動くmovingタンパク質とともに進むmoving
Moving forward with studies on a "moving" protein

α-シヌクレインがプリオンのようにふるまうかもしれないという可能性は、他のプリオン病(クロイツフェルト-ヤコブ病)と同様、パーキンソン病の症例は接触伝染性の形態のタンパク質contagious protein speciesへの曝露から生じるのかもしれないという疑いを引き起こしてきた

Di Monte教授は次のことを強調する
「パーキンソン病が伝染病であることを示す徴候はまったく存在しない
実際、我々の新たな研究の重要な貢献は、ニューロンからニューロンへのα-シヌクレインの伝達とタンパク質蓄積のようなパーキンソン病の病理発生の重要な側面がどのようにしてプリオンのようなものではないメカニズムによって説明できるかということである」

DZNEのDi Monte教授たちはα-シヌクレインについての研究を続けるつもりであり、彼らは特に病理的/臨床的な疾患の進行を遅くするか止めるためにα-シヌクレインをどのように標的にできるかに焦点を合わせている


http://dx.doi.org/10.1093/brain/awv376
Brain propagation of transduced α-synuclein involves non-fibrillar protein species and is enhanced in α-synuclein null mice.
形質導入されたα-シヌクレインの脳内伝播は非微小繊維状タンパク質種を必要とし、それはα-シヌクレイン・ヌルのマウスで促進される

Abstract
ニューロンからニューロンへの伝達と蓄積は、ヒトのシヌクレイン病synucleinopathyにおける病理発生的な役割と関連するα-シヌクレインの特性attributeである
線維状α-シヌクレインの実質内への注入は内因性α-シヌクレインの発現を必要とするメカニズムによりアミロイド生成性タンパク質種の広範な伝播を引き起こし、
そしておそらく、そのミスフォールドされたコンフォーマーmisfolded conformerによる構造的な改悪structural corruptionが病理的なシードseedとして働く

※conformer: コンフォーマー。(異常な)プリオンタンパク質の構造

今回我々はそれとは別の、脳内α-シヌクレイン長距離拡散のもう一つのパラダイムを記述する
それはモノマーとオリゴマーのどちらかまたは両方のニューロン間の移動を伴いinvolve、
そして内因性α-シヌクレインタンパク質には依存しない


ウイルスベクターによる形質導入後、
延髄medulla oblongataのドナーニューロン内にはモノマー、オリゴマー、線維状のタンパク質が検出されたが、
橋ponsのレシピエントニューロンの軸索には線維状α-シヌクレインの免疫活性が検出されなかった
このことが示すのはニューロン間を主に伝わるのが非線維状の形態のα-シヌクレインであり、脳内を拡散して初期のニューロン損傷につながるということである



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140929174413.htm
α-シヌクレインは通常の濃度ではマルチマーmultimerとなってシナプスに集まり、シナプス小胞のクラスター化を促進し、その動きを制限している
シナプス小胞をシナプスでクラスター化することにより、α-シヌクレインは神経伝達を根本的fundamentallyに制限する
それは信号に似ていなくもない--自動車を交差点に集めて交通の流れを遅くし、全体の流れを調節している
「通常の濃度でα-シヌクレインは神経伝達を阻害せずむしろ管理しているが、
疾患ではそのレベルが異常に上昇することにより神経伝達が強く抑制されてシナプス毒性につながる」

http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.08.027
α-Synuclein Multimers Cluster Synaptic Vesicles and Attenuate Recycling.
 

最新の画像もっと見る