先週末
宮城は登米の稲刈りへ

東北道から仙台南インターチェンジを経由して東部道路に入り
そこから三陸道を北上して終点が登米(とめ:とよま)である

日本でも有数の米産地

秋晴れの夕陽
此の世のものとは思えない燃えるようなピンクの空
東北の景色は桁外れに雄大だ
そしてユサユサと揺れる広大な金色の海

唐突に
田舎町の田園風景の中にかまぼこ型のモダンなCAFEが現れる
「柴田接骨院」と書いた看板の敷地に併設するその建物がCAFE GATI

接骨師を営みながら
犬式やCro-magnon、DACHAMBOそしてMOCHA KILI MANJAROまで呼んでしまう
普段はカフェ
たまに100人くらい入って(この街でだぜ)
ガティのガチライブ

ミチ君ファミリーの暖かく、そしてミチ君の燃えたぎるアートな情熱にたぎる
最高に粋なお店なのだ
犬式がタワーレコードのNOMUSICNOLIFEキャンペーンで横尾忠則氏と撮ったポスターを
真っ先に店内に貼らせてくれと依頼してきたのもGATIであったし
店内の書棚には土門拳の写真集や岡本太郎の語録や、アート本などがどっさり詰まっている
GATI飯は旨いし
スタッフは全員気だてのいいオール女性
ついでに柴田家は三人娘で
ミチ君はパーフェクトなフェラクティ状態である
1:女

店の周りはすべて田んぼ

田植え祭りの5月の頃は夜になるとライブやDJの音と
万匹の蛙のオーケストレーションが当たり前のように鳴り響いていた
ポリリズム シンクロ 倍音 ヌケ ポリリズム 時に静寂



そんで半年人生を駆けずり回って
孵って来たら
せっせと植えた細くて可愛い苗たちが
見事な娘たちに育ち上がってる
どうぞわたしを食べてくださいなと身を差し出してくれている

ジャパニーズループ
これを何万回繰り返して来たんだろう
自然の恵みに恐れ入る


桜井響の見事かつ多芸なビートボックスショー
タイトさ増す山仁&SAGARAXX
結局2時間に及んだフリースタイルセッション 三宅洋平+白石才三(BLISSED)+イズポン(KINGDOM☆AFROCKS)

と続いた前夜祭の二日酔いを抱えて起きた翌日の稲刈り


40人ほどで鎌で刈って、稲で縛って束にして、干す

「人手」
というもののありがたみをひしひしと感じる

あじけないとは思うが
ここからさらに脱穀までを一瞬でやってのけるコンバインは
偉い
日本ではベンツ並みに有名な最高級車 コンバイン

大きなものから小さなものまで
動かす力だ 僕の右手は一万回転 ♬


そしてワラを打ってしなやかにし、
紐をつくってそれを編んで縄にし、
己の足の大きさにジャストフィットするワラジの作り方を教わる
相当ながいこと日本人の足に関わって来たこの技術
70オーバーの人しかもう出来ず
あと10年ほどで消えていく技術と云われる

これは一時に覚えられる程度の技術ではない
だが、オートクチュールの草蛙は
およそこの世に出回っている如何なる靴にもない
皮膚に吸い付くような履き心地と
足から大地とつながり合う気の交感と
そして もはや現代においてはイナセかつ粋なオーラすら発しているのである

踵(かかと)を包み込む編み方や
鼻緒の位置の調整
裏側の強度の増し方
仕上がったものを一瞬だけ火にくべて余分のワラを焼き、炭化させて丈夫にするやり方
など

知恵
とは
まさに
これだ


稲穂を脱穀し終わったワラをも
完全に使いきる究極のサイクル


必ずものにしようこの技術

ナイキジャパンに対抗してワラジジャパン
ワラジの金メダリストを輩出しよう
ワラジエア
WARA-G AIR
waraji AIR



これらの農作業と技術を指導してくれたのが
関さんという近所の農夫の方で
我々は「関先生」とか「師匠」と呼んでいる


東北弁で気さくにかつシッカリと指導してくださる
齢七十の好々爺(こうこうや)
その目は透き通った空のようだった
その手はあたたかい木のようだった
そして東北訛りに加えてハンフリーボガード張りのくわえ煙草で講義くださる時は
もう僕らには通訳が必要だった


動くからだ
はたらく手
みつめる目
かれたこえ
足のはこび
かおのしわ
溢れる知恵
生きるちから

僕がこれまで生きて来た中で見た
もっとも格好いい男が
そこに居たと思ったし

成熟した老農夫は
シャーマンであり相対性理論であると思った

仙人であり仏陀でありノーベル平和賞だと思った


いやだから
それを尊敬の念を込めて僕は
百の仕事をこなすスーパーユーティリティプレイヤー
「百姓」と呼ぶのじゃないかと思うのだが
この国でしか通じないこの言葉は
この国では「放送禁止用語」として自主規制されている








この自然と密着した暮らしの中に
すべての人の神性が開かれると思ったし
悟りがあると思った


大げさと思うだろうが
本当にそのくらい
格好いい と思った

これこそが
人類なんだと思った




無為な工業製品を減らし
広義な意味での職人たちの手になる
「工芸品」を
孫の代まで大切に使う

形あるものであれ
知恵や技のようなものであれ

それを選ぶ賢明なチョイスが
一人一人の中で
それぞれの人生の数々の小さな機会の中で
日本中で
そして全地球的に

繰り返されることを願う
僕も誓う そして努める


*今年の稲作評価「やや不良」 それでも米は余っている しかしアメリカから輸入している 日本の農政にオラ興味あるだ


GATIでリリースしているTOME米が、マジで旨いです。
私はギャラ石高制度によって、本年GATIより250キロの減農薬登米マイを仕入れ
各地の有志たちに送ってもらっています。
精米もありますが、私は玄米で送ってもらっています。
5キロ入りの箱がCDボックスに、10キロが7インチレコード箱に、30キロが12インチ箱になるように
設計されています。ロイヤルライスとしても献上されているという登米地方の米、要チェキ。

農薬使用を慣行の50%以下に抑えた環境保全米
かつ、音楽への愛が満ちている

http://www.tome-rice.com/about.html


(クリック→クリック で拡大してみられるはず:TOMEの思いがヤヴァイヴス伝わります。音と米が好きな人は是非ご一読あれ。)




http://www.cafe-gati.com/


三宅ブログ | コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )

« なおったぜ 季節はめぐる »


 
コメント
 
 
 
Unknown (nico)
2009-10-07 11:29:44
はじめまして。
毎回拝読させて頂いております。

発見、疑問、驚き、共感…
我を省み、読み返し。


私事ながら登米は母方の本家があり、農業を営んでおります。

日本人よ、「米」という一文字の意味を知れ!


もちろん自分に対する言葉でもあります。

世の中、もっと大事なことがあるじゃない?
当たり前なんかじゃない。


何をもって豊かさとするか…

三宅さんの言葉の中に、そのキーワードをいつも受信しています。
ビビビビっ!!


このブログに巡り会えてよかったです。

thanks!

 
 
 
Unknown (saLsA)
2009-10-07 11:40:42
TOME米食べてみたいです。
世の中にはいろんな事を融合して、活動している人が、
たくさんいるんですね。
ひとつの道にひたすら生きている、プロの人たちは、
いつ見てもかっこいい!!!
 
 
 
Unknown (Humming Bird)
2009-10-07 23:24:13
孫たちに甘く美味しい自然の恵みを食べさせたい!
と桃・梨・りんご・柿を育てだしたあたしのおじー。
もともとお蚕様や米を作る農家であった。
季節になれば何気なく食卓に出ているものだった。
お盆と正月におじーの家に行き、決まってやること。
朝のヤギの乳搾り。
夏はカブトムシ
秋には柿取りに行ってはトカゲを取り飼ったりした。
小さい頃から目にしていたため、
それがあたりまえで、それ以上のことは思わなかった。

おじーが亡くなった日。
親戚中でおじーの思い出話に花が咲いた。

その時に母から聞かされ始めて胸が熱くなった。

おじーがいなくなった今
母や父が手伝っている姿を見て
あたしも何だかやりたくなった。

天気などが影響する厳しい世界。
でもそんな中でもたくましく育っていく実たち。
一生懸命手をかければ、それに答えてくれる。

目で見て
手で触れて

自然に触れることがこんなに癒されるなんて。
本来あるべき姿へ…

そして体の中へしみこんで行く
自然の恵みに感謝して。。。

あたしもあたしにできることを。。。
 
 
 
お疲れ様です (くりっ子)
2009-10-08 01:00:57
夕焼け、満月ともに美しい日でしたね。
今年も無事育ってくれた事に感謝し、収穫したてのピカピカのお米を頂きました。 百姓ならではの贅沢です。
 
 
 
Unknown (なおき)
2009-10-10 10:44:43
昔昔、外国からやってきた先人方はこの稲達をみて「黄金の国ジパング」とおっしゃったのかもしれませんね
稲アレルギーの僕は鼻水垂れ流しで生活してます。 新品種「つや姫」平成22年デビューです
 
 
 
Unknown (半村)
2009-10-15 08:08:06
自然っていいですね
 
 
 
田稲藁&音 (犬田)
2009-10-19 22:08:31
おー!waraji AIR!!!
福井の友人で“藁造形作家”がいます。
いつか三宅氏と対面できる日がきますように・・・。



 
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