バンクシーがワイドショーで取り上げられるような時代がきたんだ笑
日本にもバンクシーが来たって、ステンシル主体の人たちはかわいそうな気もするんだけれど
TVでやれば本物だろうか?って近所に住んでる爺さんや子連れの主婦がぞろぞろ集まってくる
凄いよ、本当に
そんな時代がきたんだ
20年近く前、だれもこんな未来は想像できてなかったと思う
たぶん誰も
混沌とした時代だったって思ってる
バブルがはじけて何年経ってたんだろ?
僕ら就職氷河期、何勉強してたんだって時代
上からただ力という力で押さえつけられてた世代
いろんな嘘がバレるちょっと前
新聞とかテレビが全てだった時代
知らなかった時代、世代
90年代後半
ぐちゃぐちゃに散らかった雑踏とガラス片が散らばったぬかるんだ道を裸足で歩かされた世代
指標も基準も共有もない、それぞれが、それぞれを教え込まれた世代
みんなイライラしてた、わからないから
わからないということをわかりはじめたのは少し下の世代
僕らはただ何が正しいのかがわからなくてイライラしてただけ
同じクラスにパンチパーマのヤンキーと坊主頭のいわゆるBボーイがいた時代
でっかいピアスの穴、安全ピンをめっちゃチェックに刺してたパンク
裏原系、並ぶ、贔屓のブランドのビニール袋がボロボロになっても田舎じゃ大事に背負って使ってたんだぜ
ロン毛に日焼け、アメカジ、みんな茨城弁をしゃべってた笑
TVでエヴァンゲリオンがはじまって、何も持ってないって自分で思ってた連中だって、
俺達だって!俺達だって!!って時代
いろんなのがいた、
本当にいろんなのが
みんな自分たちが信じたスタイルを持っていた
雨が沢山降っていて、風が強かった
定まらない流れは惑わす様に淀んでいるようで底はきちんと強かった
ガラス片が足を切る
腰まできてて、浸かりながら同じ色の服を探してた
何かを持たなきゃいけない時代
そうじゃなければ立っていられなかった
僕らはそう感じてた
それぞれがそれぞれの音楽を聴きながら21世紀に挑んでいったんだよね、俺ら若いのは
2002 LONDON
20年近く前、アメリカやヨーロッパの名の知れたライターがギャラもらって沢山日本に来てた
日本にだって都内、横浜、広島
仙台にもカッコイイ人たちは沢山いた
同時にいろいろと独自のものが発信されていった時代
カルチャーが東京をTOKYOにしていった時代
バンクシーは日本には来なかった
BOSSは札幌で東京をディスってた
彼らは正しかったと思う
トレインスポッティングのポスターとドンキで買ったよくわからない安酒と3ミリ青ラベルのLucky Strike
みんなで鍋をつつく
カノジョにNasを教えてもらった
元カレは毎日親にもらってた昼飯代を貯めてターンテーブルを買ったんだってよくネタにしてた
彼らも正しかったとは思う
時代が変化してた
僕はペンに持ち替えてた
IKKIが創刊された
新時代
田舎のTUTAYAでめちゃくちゃに山積みになった創刊号を見て本当に驚いた
隔月販売の月刊誌がこのメンツでこんなに売れるわけないじゃんって
「コミックは未だ黎明期である」
爆発しなかったのは編集のズレ
未だ覚えてる、何回も読み返したから
面白くてさ、凄いメンツだった
うちは週刊誌だからって、天下の大衆誌なんだって何度も言われた
そういうことじゃない
うちは規制甘いのよ、ドリルでぶっ刺す描写も通るんだから
そういうことじゃない
だからうちでヤンキー漫画描いてよって、今までにない乾いたやつ
そういうことじゃない
この人はなんもわかってないんだって思った
紅の豚のCMつくった広告屋と同じ
もう少し我慢して、いろんなことがもう少しうまい方にズレていたらって
僕はどうなってたかなって、未だに思う時がある
自分で髪を切るようになった
塚本晋也とアロノフスキーをまだ観てた
キューブリックにはまってた
life is beautifulを観てこれが映画なんだと思った
片っ端からTUTAYAで借りて観てた
黒澤映画にはじめて触れて、ひたすら雑踏で人を観察してた
どう面白い話を作ろうかをひたすら考えてた
本当に壊してやろうと思ってた
井上3太が大嫌いだった
彼の従兄弟の漫画は好きでよく読んだ
ヒマがあれば図書館にいた
三島が好きでキレイな日本語に触れていたかった、でも女性が描けなくてよく山田詠美を読んでいた
弐瓶勉が盛大に評価される様な時代になればいいなって思ってた
細分と統合が同時に起こり始めた時代、なんか焦ってた
むちゃくちゃだったけれど良いなって思うものはなんでも受け入れた
大学に行かなくなってた
トランス聴いてひゅーひゅー言ってた
中古のツートンのクラウンにいつもぎゅーぎゅーに乗りこんでいた
浦沢直樹
「20世紀少年」の1ページ目
放送室
21世紀
変化していったのは僕
電車にゆられてただ家と職場を往復してた
昔の連中に会ったあとね、ひとりになると涙が出そうになる時がある
がんばってるなって笑、がんばってきたなって
竹中直人のあれは何が面白いのかわからない、なによりリアルじゃないし気持ちが悪い
人は笑いながら泣くんだよ笑
連中はちょっともの悲しい、寂しい顔した奴が多いような気がする
気のせいだろうか笑
某メーカーのヘアスプレーのノズルはラインつくるのに良いんだぜって
「何に使うの?」ってよく聞かれて、母親に「取っといて」って
ガスが充満しちゃって感知器がなっちゃってみんなで逃げたねって
明け方早起きの婆さんにキレイな絵だねって褒められたねって
そんなことあったねって
そんなくだらない話を、またしよう
まともな酒だって飲めるようになったね
今やってる仕事の話をまたしよう
家族の話をまた聞かせてくれ
去年サンリーフマーケットでお客さんから聞いた
KAZZROCKがデザインした服がしまむらで売られてるんだって
あのKAZZROCKですよ?って
何をか言わないけれど、見に行ってきたよ
僕も
本当なんだろうかって
みんながバンクシーを見るように
どっちがとか意味はない
でも実際はそこにこだわってきてた
だからあえてわからない態で書いておく
いろんなことから離れて僕はこっち側にいる
というか一度だってそっちには行っていない、僕はずっとこっち側の人間だ