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マトリックス.15

※初めての方はこちら「プロローグ」「このblogの趣旨」からお読みください。

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さて。続きを書きましょうね。


【chapter.17/監視人・エージェント】 (ここ、すっごく重要なチャプターです。)


プログラムが変わって、舞台は雑多な街。

「エージェント」を知るための訓練プログラムの中です。

信号機が青に変わると同時に、対向から黒ずくめの人々が一斉に渡り始めます。

人ごみにぶつかりながら歩くネオに、モーフィアスはこう説明します。

「マトリックスは社会システムだ。我々の敵は社会システム。その中にいるのは、ビジネスマン・教師・弁護士・大工…、我々が救おうとしている人々だ。だが今はまだマトリックスの一部で、つまり敵だ。彼らはまだ真実を知る準備が出来ていない。彼らの多くがマトリックスに隷属し、それを守るために戦おうとする。」

以前ご紹介したことのある、エックハルト・トール著「ニュー・アース」をお読みになった方なら、上記セリフの意味が明確に見えているかと思います。

この書籍の中とすり合わせると、ちょうど第四章の「エゴはさまざまな顔で、いつのまにか私たちのそばにいる」という、あの内容のことを表現しているシーンなんです。


僕たちは日々、マトリックスが見せる仮想現実の中で独自のドラマを紡いでいます。

そのドラマの脚本を書くのも、監督をするのも、主役を演じるのも、観客も全て「自分(自我)」です。

アナタが演じているのは、どんな役柄でしょうか。

ビジネスマン? 教師? 弁護士? 大工? 勇敢に悪と戦うヒーロー? それとも、悲劇のヒロイン?

「頭」は、自分が思う「自己イメージ(役柄)」に合わせたストーリーを書き上げていきます。

たとえば…

子供がいる男性であれば、「(○○な生い立ちで、○○を生業としている、○○な性格の)父親」という自己イメージ(役柄)に沿って、子供に向かいます。

その時、監督である「自分(自我)」が、行動の一つ一つに演出を加えます。

この「演出」が、普段無意識に行っている「固定化された思考パターン」です。

監督(自我)は言います。

「ここは子供と向かい合うシーンなのだから、声のトーンは普段よりやさしく、でも“親”としての上から目線は忘れないように。語尾には“でちゅよ”を付けなさい。」

その監督の指示に従って(固定化された思考パターンに基づいて)、「自分」は忠実に演技します。

「○○ちゃ~ん。ただいま~。いい子にしてまちたか~?パパの言うとおりにしないと、ちゃんとした大人になれないでちゅよ~。」

その時その子が、「なにそれ?気持ち悪い。そんな子供扱いなんてしないでよ。私はもう大人なんだから。」なんて、反抗的な態度を見せたとしたら、監督は黙ってはいません。

(-ε-)b" チッチッチッ 「あー、もぅ。だめだめ~。君がいくつになろうとも、僕の描いたドラマでは、君はあくまで“子役”なんだ。そんな演技は認めないぞ。さ、Take2だ。もう勝手なアドリブは許さないからね。僕の描いた脚本どおりに演じなさい。」

他人だけではなく、自分自身の演技に対しても同じ事をしています。

「大人の言うことを聞かない子供」という出来事・シチュエーションを前にして、「私は今父親役だから、このシチュエーションではこういう感情を出すべきだ。よし、怒ろう。」

なんて感じでね、子供が行った予想外のアドリブに対しても、迅速に脚本を書き換え、自作自演をするんです。



マトリックスに繋がれたままの人々は、自分だけに留まらず、他人まで自分の書いたドラマに巻き込み、勝手に相手の役柄、また、その役柄に合わせた演技指導までしてしまいます。

「私はカワイイお嫁さんを演じるわ。だからアナタはステキな旦那様を演じて頂戴。」

マトリックス(社会システム)の中で、“役柄”を通した人間関係を築いてしまう。

あらゆるコミュニケーション不全は、このことが原因となっています。

「自分の描いた脚本通りに周りが演技してくれない。」

それが、「思い通りにならない」というストレスに直結します。

でもね、考えてみてください。アナタが描いたドラマの脚本なんて、他の人たちは見たことも聞いたこともないんです。まして、その脚本は日々書き換えられてしまいます。

いくらアナタの書いた脚本が完璧でも、周りが思い通りに動いてくれない方が「当然」なんです。

アナタのドラマではアナタが主役ですが、他人のドラマの中でのアナタは脇役です。


その仕組みに気付いていない、マトリックスに繋がれた人は、相手の“ありのままの姿”ではなく、自分の描いたキャラクター設定を他人にも押しつけて、自分のドラマを、自分の描いたとおりに完成させようと頑張ります。

モーフィアスが言う「敵は社会システムだ」の意味は、そう言うことです。

そのシステム(ドラマの構造)に気付かないかぎり、彼らの多くはマトリックス(社会システム)に隷属し、それを守るために戦おうとしてしまいます。

そう、これまで描いてきた自分のドラマを台無しにしないために。

ですが、その“敵”は本当の“敵”ではなく、「救うべき人たち」なんです。

そして。

この映画で描かれる「エージェント(監視人)」とは、自我が持つ「監督」という一面のことなんです。

監督は「自分」だけではありません。

日々コミュニケーションを図っている他人の中にも、別な監督がいるんです。

監督はいつも言います。

「マトリックス(ドラマ)の中に帰っておいで。さぁ、演技を続けよう。」



真実は、「世の中(社会システム)は何か変だな」と気付ける感性のある人にしか見えません。

この世に生まれて、(生まれる前からあった)システムに洗脳されてしまうと、物事を深く思考することができなくなります。

それが「あたりまえ」になってしまっているので、深く思考する必要性も感じることはないでしょう。

目覚めた人々がどんなに真実を伝えようとしても、聞く耳を持たない人には伝わりません。

真実を知る準備は、病気や不幸などの“絶望”や“挫折”などを通して、その時期を迎えないと、なかなか気づけないことなのです。


人生において、様々な苦難を乗り越えてきた人には、やはりそれ相応の奥深い人格があります。

その奥深さは、何かを得ることによって生まれたワケではありません。「演技を止めたから」生まれたものなのです。

だから、奥深い味わいを醸し出すあの人は「いつでも自然体」なんです。

何も演じない「自然体」が本来の姿だから、本当の意味での「個性」があります。

何者かを演じることを止めた人に残るのは、「ありのまま」という姿。





え?僕ですか?

そりゃぁまだまだ演技をし続けていますとも。

仕事してれば「会社員」。

家に帰れば「お父さん」。

ブログを書くときゃ「雲 黒斎」。

買い物するときは「お客様」ですし、親の前では「子供」です。


でもね、自分が演技をしていることを忘れて演じているのと、演技をしている自覚があるのでは、全く世界が違うんですよ。



←ちゃんと押しまちょうね~(猫なで声で)(←反感を買うこと請け合いです。)

コメント ( 14 ) | Trackback ( )
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コメント
 
 
 
Unknown (あっけな)
2009-01-22 23:14:01
演技をやめた自然体の人って、まさにあのお方、阿部さんだ。

沖縄講演、自然体で黒斎さんを楽しんで演じて来てくださいね。

そして、東京ですね。楽しみにまってます。

 
 
 
おちまちたw (えじ)
2009-01-22 23:18:12
じゃ別の役割を演じる人格にも慣れるということかも
なんて、思ったりしてっ

。。。。
今、とても悩んでいる妹に教えてあげたいです
てか教えても興味ないから理解してくれない
頭固いんだもん。。。。
てのも私の思い込みで脚本かも


[http://www.sony.jp/products/Consumer/handycam/camwithme/main.html]
これ見て下さい
知ってるかもですが感激です
関係ないけど


 
 
 
ありがとうございます。 (ひとみ)
2009-01-22 23:33:54

うぅーーーんんん。。。。

思わず唸ってしまいました。

今日も【素晴らしい】です。

ありがとうございます。感謝です。

ちょうど・・今・・

阿部さんも この記事と関連されたことを書かれていて・・

さらに『納得』させて頂けます。

わたしは幸せ者だなあぁ・・と

お二人のブログを拝見させていただき

感謝の気持ちでいっぱいになっています。

ほんとうに ありがとうございます。

 
 
 
ビンゴ! (NorthWind)
2009-01-22 23:36:15
黒斎さん、お元気ですか?
今年初コメです!
今年も一緒に勉強させてください。
よろしくお願いいたしますm(__)m

年末年始、冬休みと、忙しい主婦を
演じておりましたが、やっと、素の「私」
を出せる時間が戻ってきました。

マトリックスシリーズ、ずっと、お見事!
って思って読んでいましたが・・・
今日のは圧巻でした!!

>>真実は、「世の中(社会システム)は何か変だな」と感じる感性(器)のある人にしか見えません。

>>真実を知る準備は、病気や不幸などの“絶望”や“挫折”などを通して、その時期を迎えないと、なかなか気づけないことなのです。

>>何者かを演じることを止めた人に残るのは、「ありのまま」という姿。

>>え?僕ですか?

そりゃぁまだまだ演技をし続けていますとも。

>>でもね、自分が演技をしていることを忘れて演じているのと、演技をしている自覚があるのでは、全く世界が違うんですよ。

いやいやいや・・・(くりぃむの有田じゃないけど)

私はずっと、自分がわかりかけているのか、勘違い
なのか、わからなかったのですが・・・
今日の記事を読んで、どうやらちょっとは、わかり
かけているらしいと気づきました!

黒斎さん、ありがと~

いよいよ今週末は沖縄へGO!ですね!
気をつけて行って来てくださいねぇ
(お天気がちょっと心配だけど、きっと大丈夫です
よね!)

昨年末のトークショー、聞かせてもらいましたが、
お話、わかりやすくて、とってもお上手でしたよ!
(前のほうにいて、何度も目が合ったのですが覚えて
いますか?

阿部さんとの初コラボ、とても楽しみですね!
お二人がしゃべくり倒すところ、みたいなあ!

報告を楽しみに待っています(*^_^*)
 
 
 
Unknown (みら)
2009-01-23 00:01:27
( ;∀;)イイタトエダナー

昔は大人の、自分と他の大人に対する接し方の違いに動揺してたなあw
急に変わった!? ? ? え?何これ? みたいなw

ビリー・ミリガンを思い出しました。

ああ、そういえば作者の意図を読もうとしたり、分析、比較を始めた時からマンガや映画がつまらくなったっけ。まさに「評論家」気どりで…
 
 
 
訂正 (NorthWind)
2009-01-23 00:12:10
すみません、トークショー、今週末じゃなくて
来週末なんですね!
黒斎さんがすでにドキドキしておられる
ようだったので、勘違いしちゃいました(^^ゞ

あまり緊張せずに楽しんできてくださいねー。
 
 
 
一時間5000円ポッキリ! (Unknown)
2009-01-23 00:42:17
「マトリックスは社会システムだ。我々の敵は社会システム。その中にいるのは、OL・教師・メイドさん・女王様…」

社会が巨大なイメクラだったなんて!
 
 
 
おっ 更新してる (未熟読者であるところのヘンゼルとグレーテル)
2009-01-23 00:55:29
そうですよね~。
役割と一体化しちゃうのと、必要があると分かって演じるのは違いますよね。
僕も前は心の中で、黒斎さんに僕のイメージで理想化した「雲 黒斎」という役柄を期待していましたねw で、期待したのと違うと「あれ?」って思ったり(笑
本当は誰でもないおじさん……いや、おじさんというのも微妙に役割が入ってるか。
人に余計な期待をしなければ楽なので、もっともっと期待しなくなりたいです。自分自身も、幻想からもっと解放されて、誰でもないところの自分になりたいです。
誰でもない人同士の間にこそ、本物の人間関係があるのかもしれない……。


一気に預流果を迎えたいんですが、どうも僕は少しづつ解っていくタイプなのかも。
 
 
 
きもちいい (らいか)
2009-01-23 10:51:19
はじめて,コメントします。

いつも楽しく学べて毎日みています。

マトリックスおととい観たんで、よけいに

おもしろくなってきました。

しかも、今日のご説明はわかりやすく、

とても納得できました。

なんかかゆいところに手が届いた感じがして

気持ちよかったです♪

 
 
 
支配からの脱却 (苺@携帯)
2009-01-23 12:25:15
あははは♪
赤ちゃん言葉うけました(笑)

支配(コントロール)が外れると想像しただけで心がものすごく自由になります。
どこまでも拡がる自分を感じます。

今日もこのマトリックスの社会で働く私は演技をしながら真実を学ぶのです♪
 
 
 
ヒト (ぽん)
2009-01-23 16:18:57
妻という座にいるときに、妻、母であろうとしすぎて、夫に夫、父親を押し付けて、自由人であった夫に反発されて空回りしてました。

夫がいなくなってから、自由人であることと、
子供の養育を放棄せずにいることは
両立できることだと気づきました。

親であり子である役割は当たり前すぎて誰もそれも仮面だと気づきにくいですね。

会社人とか主婦業は
わたしがしたいことはこんなことじゃない
って逃げる口実になりやすいけど。

食べる、排泄するってことに伴うことは
役割じゃなくて、反応と考えると
働くこと、家事をやることは自然なことです。

深く思考する時間もそれと同じくらい大切ですね。

生殖反応はほとんどの動物は発情期以外にはセックスしませんが、人間はします。

このことについて書かれた本があります。

ヒトはなぜ助平になったか
という本です。
正しい題名も作者も忘れましたが。

ご一読を。

 
 
 
繰り返す~♪このマトリックス~♪ (ぽろ)
2009-01-23 20:49:12
世界はマトリックスだったんだ!
私もみんなも役を演じていたんだ!
なんだ!そうゆうことだったんだ!
納得&嬉しくなる。

>真実は、「世の中(社会システム)は何か変だな」と気付ける感性のある人にしか見えません。

この言葉で途端にブレーキが!

いやいや!そうやって私は特別意識をもってしまわないだろうか。それって危険だよなぁ。自分が社会になじめない言い訳して、環境のせいにしたらだめだ!まずは私が変わろう!
再びマトリックスへ

はぁ…(;-_-) =3
なんだってこんなキツイんだろう。


黒斎さんや阿部さんのブログを読み返す。


そうだ!役割を演じていたんだ!
自然体モード♪に。

ちょっと変わった人とのレッテル

うーん困った。
自然体モードだと、人によっては扱いづらいと感じるようだ。
どうしよう。

結局人受けのいいモード、マトリックスモードに戻る。

なんか違和感があるなぁ。

その繰り返しです^^;
黒斎さんのおっしゃる通り・・・

ヾ(≧▽≦)ノ あ~。「何者か」を演じずに、「ありのまま」で生きるって、なんて楽なんだろう♪

ヾ(;▽;)ノ あ~。「何者か」を演じずに、「ありのまま」で生きるって、なんて大変なんだろう♪

を繰り返しております。ぽろでした。


 
 
 
Unknown (Naomi Angel)
2009-01-25 23:39:51
えじさんの紹介してくれた、ムービー見てみました・・

わぁ・・・これ、ご両親が見たら泣けるなあ・・
いいムービーですね・・

さて、本題ですが、本当、人間同士の争いやもめごとや、はたまた殺人って、「こうしてくれない!! (自分の)思う通りにならない!!」という気持ちが強すぎるからなんですよね・・

脚本は自分だけのもの・・・他人はその脚本どおりではないということ、
そういう視点ってとても新しい例えというか、表現というか、とても新鮮で、わかりやすかったです。

本当に表現力がお上手・・・

以前も、マザーエアラインや(ってネーミングでよかったでしたっけ?笑)、アノヨレンタリースの話も、感動しましたもの・・・

黒斎さん、さすがです。
 
 
 
Unknown (まあーくん)
2009-01-26 18:58:55
はじめまして!このブログを見つけて最初からず~っと読んでいました。自己観察の重要性大切さをなんとなく理解できたように感じます。楽しくもあり、時には厳しくもありで今の僕にあっているように思います。いかに日常生活で無意識に生きているのか、その瞬間(今)を生きていることに意識するのかということを。言い換えれば偽物の自分をよく見られたいのか、それとも真の自分を生きるのかということなのかなとすごく感じました。生きる中で現在・過去・未来、これはないのだなと僕の感覚で感じます。必要なのは今の連続。今が繋がって現在・過去・未来に見えるだけなのだと感じました。キズキとは頭で考えるのではなくして自らの感覚で感じるものだと。僕の感覚で表現してみました。僕の参考書としてとらえさせてもらいます。雲黒斎さん。これからも楽しく読ませていただきます。
 
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