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『阿雲の呼吸フェア』のお知らせ

※初めての方はこちら「プロローグ」「このblogの趣旨」からお読みください。
※「極楽飯店」の第一話はこちらから。

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先日の札幌トークライブでは、開催が日曜の夜にも関わらず、足をお運びいただき、ありがとうございました!

皆さんの笑顔に迎えられ、お陰様でとても楽しいライブとなりました。

札幌でのトークライブは、これから定期的にやってみたいと思っています。

今後も、どうぞよろしく。


さて、今日はお知らせを2つほど。

先日阿部さんと一緒に受けたインタビューが、先頃発売された
「スターピープル vol.38」の巻頭特集に掲載されております。



この号の特集が「『今』にくつろぐ」ということで取材を受けまして、まさに「いまここ」についてのお話を阿部さんと一緒にお話させていただいております。

でもって。

この特集号の発売にあわせて、大型書店さんを中心に、なんと『阿雲の呼吸フェア』と題しましたイベントをしていただけることになりました。

人文コーナーや精神世界コーナーにスペースをいただきまして、僕と阿部さんの書籍やDVDをまとめるのは勿論のこと、二人がオススメする書籍や映像作品等を集めたイベントとなっております。

各店舗のスペースによって、オススメ書籍の数などに対応の違いはあるかとは思いますが、ご興味・関心をお寄せ頂きましたら、ぜひお立ち寄りくださいませ。



↑こんな感じでイベントコーナーをいただきました。


取り急ぎ、現在実施中の店舗は以下の通りです。

【実施中店舗】

・リブロ 池袋本店
・ジュンク堂 池袋本店
・旭屋書店 池袋店
・あおい書店 六本木店

【9月中旬より実施予定】

・紀伊國屋書店 新宿南店
・リブロ 吉祥寺店
・MARUZEN&ジュンク堂 札幌店

(その他、現在営業中だそうです)


まずは上記の書店さんを中心に実施され、その動きがよければ全国の系列各店にアナウンスが広がっていくみたいです。

※当イベントに関心のある書店さんがいらっしゃいましたら、アウルズ・エージェンシーまでご一報ください!



それと、来月18日に予定しております東京ライブへの沢山のお申し込み、ありがとうございました!

お陰様で早々と完売となり、キャンセル待ち状態となっております。

東京につきましても札幌同様、定期開催を考えておりますので、次の機会まで何とぞご容赦ください。


ちなみに、24日(土)の名古屋コラボライブにはまだお席がございますので、引き続きよろしくお願い致します。


黒斎と夢駆のトーク&ワーク in Nagoya

【日時】2011年9月24日(土)
◎第1部(トークライブ) /10:00開場 10:30開演(13:00終演予定)
◎第2部(ワークショップ)/13:30開場 14:00開演(16:30終演予定)

【会場】「ウインクあいち」12階・中会議室1203
    愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38

【料金】お一人様:4,000円(1部・2部両方に参加の場合8,000円)


お申し込みは下記からどうぞ。

第1部参加申し込み専用フォーム

第2部参加申し込み専用フォーム



いつも、沢山の応援ありがとうございます!



←皆さんからの日々の応援が、本当に大きな大きな力となって新しい動きが生まれています。ありがとう!
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極楽飯店.65

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「さて、」と閻魔が身を乗り出し、話を続けようとしたその時。左半身が半透明になったままの坂本が「ちょっといいか?」と閻魔に声を掛けた。

「こうして姿を消したりすることも面白いし、浮遊や変身てのも確かに興味深いんだが……。これじゃあホントにオバケか幽霊だ。まるで人を脅かすための練習をしてるみたいじゃないか。こんなことを習得して一体なんの意味があると言うんだね?」

坂本がそう言い終わると、「言われてみればホントにそうですね」と白井が笑った。

返答を求める皆の視線が閻魔に集まると、閻魔は「チッ」と一つ舌打ちをして、背中を丸めて後ろを向いた。

「もう少しでおまえらを完全な浮遊霊にすることができたのに……」

「えっ!?……いま、なんて!?」

濁らせるように口元でボソボソと呟いた閻魔の言葉に、藪内が素早く反応して目を見開いた。

「冗談、冗談だってば。そんな怖い顔でみないでよ」閻魔が振り向きながら藪内を「まあまあ」となだめて笑う。

「勿論、しようと思えばできないこともないけどさ。この練習は人を脅かすためのものなんかじゃないよ。人間とコミュニケーションするための練習なんだ」

「人間とのコミュニケーション?」

人間とのやりとりに、なぜそんな練習が必要なんだと坂本がさらに訊いた。

「君たちが肉体を離れるずっと前から僕は君たちを見守ってきたけど、その間君たちは僕の姿を見たことはないでしょ? 多分、この声も聞き覚えないと思うんだ」

メンバーは互いに顔を見合わせ、確かに見覚えも聞き覚えもないと一様に頷いた。

「この次元の存在形態は人間界とまるで違うから、僕が声を掛けてもなかなか気づいてもらえなんだ。霊と肉体の周波数に違いがあるって言えばわかってもらえるかな。とにかく、直接コミュニケーションをとるということは、なかなか難しいものなんだ。だから、詰まりが消えている僅かなタイミングを見計らってメッセージを送る工夫をする必要がある」

「工夫?」今度は田嶋が訊いた。

「人間には人それぞれ個性があるよね、僕たちはその個性にあわせて、コンタクトの取り方を模索しているんだ。人間の個性や気質は、どんなカルマを保持しているかで違いが現れる。それは、言い方を変えれば、ソースとの分離を生む壁の違いと言ってもいい。僕たちはその壁の薄いところや僅かな隙間をぬってコンタクトを図っているんだ。僕たちが上手く接触することができれば、人間はそれを様々なインスピレーションとして感じ取ることができる。ある人はビジュアルとして、またある人は音楽や言葉として受信する」

閻魔はそう言うと、クルリと身を翻して宙に舞い、その身体から緑色の閃光を放った。

俺たちの頭上高くに飛んだ閻魔はその閃光を四方八方へ飛ばしながら、間もなくストンと着地を決めた。

が、そこに立っていたのは見慣れた緑色の怪物ではなく、セーラー服を纏ったグラマーな少女だった。

どこかで見たことがある様な気がする、と坂本が眉間に指をあてている横で、田嶋が目と口を限界まで広げていた。

「ああ!田嶋くんのスケッチブックに書かれていた女の子だ!」

いち早く気づいた白井が手を叩いて笑った。

「うん、そういうことだよ。トモちゃんが以前から描き続けてきたオリジナルキャラクターはほら、僕の姿さ」

聞き慣れた閻魔の声が、セーラー服の少女の口から発せられた。

「カルマの壁に隙間があれば、そこを通って何かを送れる。トモちゃんの場合は『ビジュアル層』にその隙間があったんだ。だから僕は、色々なビジュアルを通して君にメッセージ(インスピレーション)を送ることが多かったんだよ」

そして少女(閻魔)は説明を続け、変身は映像的なメッセージを送るため、姿を透明にするのはカルマの壁が厚い場合に、そこをすり抜けられる状態に変化する必要があるからなのだと話してくれた。



←ボタンを押さずに素通りする読者を前に、黒斎は「チッ」と一つ舌打ちをして、背中を丸めて後ろを向いた。
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極楽飯店.64

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俺がすっかり透明になると、ゆっくりと坂本が近づいてきた。

「峰岸。おまえさん、今どこにいる。ここら辺か?」

暗闇の中で何かを探すかのように手を前に突き出し、右へ左へと揺れながらゆっくり歩みを進めてきた。

どうやら、俺に触れる事ができるかを確認したいみたいだ。

「ここだよ」

俺が声をかけると、坂本は身体をビクリと弾ませて視線を変えた。どうやら声は届くらしい。

若干怯え気味でいる坂本を見ていたら、俺の悪戯心に火がついた。

坂本の後ろに回って背中を突っついてやろう、そう思って忍び足で坂本の背後に回った。

が、次の瞬間、驚いたのは俺の方だった。

坂本に向けて突き出した俺の手は、彼の背中に触れることなく、そのまま素通りしてしまったのだ。

「お!」

驚きで俺が思わず声を上げると坂本は振り返り、そのまま俺の身体を通りすぎた。

閻魔がケラケラ笑っていた。閻魔には、俺の姿が見えているということだろうか。

「タクちゃん、そこで自分の身体をハッキリ思い出してごらん。消えた身体に、色やカタチが戻っていくことをイメージするんだ」

閻魔に言われたとおり、自分の身体を見下ろす様に目線を下に向けながら、自分の身体に色とカタチがもどっていく事を想像する。

すると、身体の中心から煙が立ち上るようにモヤモヤと色が広がっていき、俺はスライムを被る前の姿を取り戻していた。

「おおーーー!」

俺の姿が見えるようになると、メンバーから歓声が上がった。

坂本が足下から頭までを舐めるように観察しながら、ペチペチと俺の腕を触った。

「すっかり元通りだな」

皆が不思議そうに俺を眺めている中、次いで藪内が頭を指差しながら、慌てるように声を発した。

「峰岸さん、耳も、耳も元通りになってる!」

足下の水たまりを覗いてみたら藪内が言うとおりだった。久しぶりに耳のある自分の顔を見た。

が、それほど高揚するモノではなかった。

身体があろうが無かろうが、自分はカタチに依存せず、こうして存在しているのだという不思議な体験をした後ということもあるだろうか。耳があってもなくても、どっちでもいいやという気持ちだった。

とはいえそれは、「どうでもいいや」という陰鬱とした感情ではなく、諦観とでも言う様な超然としたものだった。

もしかしたら、あのスライムが身体への執着さえも洗い流してしまったのかもしれないな。と、そんな事を思っている中、閻魔が再度声をかけてきた。

「タクちゃん、今度はその身体を消すことを意図してごらん」

閻魔の指示に従えばどうなるか、今度はやる前から想像できた。

身体を消すことを意図した途端、想像通り俺の身体は透明度を増していき、ついにはすっかり姿を消した。

それと同時に、源(ソース)の元に溶け込んだ時に似た晴れ晴れとした開放感が身体いっぱいに広がる。……いや、今は身体は無いんだったな。とにかく、気持ちがいいことこの上ない。

閻魔は俺に、繰り返し身体を現したり消したりすることを練習しろといい、他のメンバーには俺同様スライムを身体に浴びるよう指示した。

俺が消えたり現れたりをしている中、白井、藪内、田嶋、坂本の順に「おばけ化」が進んでいく。

「あぁ~」とか「ふぅ~」とか、メンバーがスライムをかぶるたびに甘ったるい声が聞こえてきた。

これまた不思議なことに、スライムをかぶった者どおしだと、姿を消しても相手の事がよく見えた。

だが、「見える」といっても、肉眼でカタチを捉えるのとはだいぶ違った。

ハッキリとしたカタチはないのだが、「気配」がそのまま「像」として捉えられる。


半透明になってゆらめく俺たちが、しばし「おばけ演習」を楽しんでいると、閻魔はニヤリと口角を上げた。

「うん。みんな上手になってきたね。じゃあ、次のステップ。浮遊と変身にチャレンジしよう」



←押してもらってももらえなくても、どっちでもいいやという気持ちだった。(ウソです)(沢山押してもらえたら、とにかく、気持ちがいいことこの上ない。)
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ちょっとだけよ

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こんにちは。

見えないところでは意外と仕事しているらしいと噂される黒斎でございます。


さて、この週末は横浜にお伺いしておりました。

お盆ど真ん中にも関わらず、会場に足を運んでくれた皆様、ありがとうございました。

当日の控え室で夢駆さんとこっそり練習していた新ネタが思いの外好評で、嬉しさとともにホッとしております。(ああいう拍手を頂けたのは久しぶりでした。)

お話したいことは一つなので、どうしても同じ話の繰り返しになりがちなトークライブなのですが、これからもちょっとづつ、ブログや書籍ではできない、ライブならではの新しい表現を見つけてお話したいと思っております。

今後とも、どうぞよろしくお願い致します。


と、いったところで、次のソロライブのお知らせです。

9月18日(日)、東京は神田にてソロライブを行います。


あの世に聞いた、この世の仕組み in TOKYO

【日時】2011年9月18日(日) 13:30開場 14:00開演(16:30終演予定)

【会場】「エッサム」本社3F・グリーンホール
     東京都千代田区神田須田町1-26-3

【料金】お一人様:3,000円


東京では久々となったソロライブ。

内容は、多分、これまでの集大成的なものになると思います。

僕のライブに何度か足を運んでくれた皆様にとっては「その話はもう何度も聞いたよ」ということもあり得ますので、あらかじめご了承ください。


今回の運営は、すっかりお馴染みとなった苺企画さんにお願いしております。

お申し込みは【こちら】から。


また、9月24日(土)名古屋で開催いたします夢駆さんとのコラボライブも受付を開始いたします。


黒斎と夢駆のトーク&ワーク in Nagoya

【日時】2011年9月24日(土)
◎第1部(トークライブ) /10:00開場 10:30開演(13:00終演予定)
◎第2部(ワークショップ)/13:30開場 14:00開演(16:30終演予定)

【会場】「ウインクあいち」12階・中会議室1203
    愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38

【料金】お一人様:4,000円(1部・2部両方に参加の場合8,000円)


こちらの運営も苺企画さんにお願いしております。

お申し込みは下記からどうぞ。

第1部参加申し込み専用フォーム

第2部参加申し込み専用フォーム



それと、今日はお知らせがもう一つ。

この度「もっと あの世に聞いた、この世の仕組み」の連載をすることになった電子総合文芸誌 『allez!』の、創刊準備号が無料配信されております。



加トちゃんバリの「ちょっとだけよ♡」ではありますが、創刊準備号vol.2では、僕の連載のさわりがご覧いただけます。

ご興味・関心をお寄せ頂きましたなら、上記リンク先より是非ダウンロードしてみてください。

(ちなみに、創刊第一号は8月25日配信開始です。よろしくお願い致します!)


ということで、僕は次の〆切に怯えながら、執筆作業に戻りたいと思います。


ノシ


(あ、ブログ更新もがんばりますっ、はい)



←おさわり大歓迎。ちょっとだけよ♡
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極楽飯店.63

※初めての方はこちら「プロローグ」「このblogの趣旨」からお読みください。

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「え? え? え? ちょ……、え?」

あの、人間界に行くって言ってましたよね、と藪内が閻魔に確認した。

今の状況に困惑しているのは藪内だけではない。俺を含む他のメンバーも同じだ。

「じゃ、そろそろ行こうか、人間界に」そう言った閻魔が、その直後に風呂桶とタオルをどこからともなく取り出して、俺たちに渡したのが困惑の原因だった。

……なぜ風呂桶。なぜタオル。これで一体なにをしろと?

メンバーは渡された風呂桶を手に、一様に首をかしげた。


パンッ、パンッ。

閻魔が手を叩くと、目の前にある壁が二つに割れ、ゆっくりと左右に開きだした。

ガゴン……。

鈍い音とともに壁の動きが止まると、その先に明かりが灯る。上へと続く、長いエスカレーターが見えた。


「さぁ、みんな、ここを出るよ。ほら、乗って乗って」

閻魔が急かすように言う。

「これ、乗ったらどこに出るんスか? そのまま人間界に?」

藪内がそう尋ねると、閻魔は首を横に振った。

「いや、そう慌てないで。その前にね、ちょっと寄らなきゃいけない所があるんだ。君たちがこのまま人間界に向かっても、多分無事にたどり着くことはできない。街を出た瞬間、カルマに引きずられて転生がはじまってしまう可能性が大きいんだ。だから一度ダルマ・スプリングスへいく必要がある」

「え、何処にいく必要があるって?」坂本が聞き直した。

「通称『カルマ流し温泉』、ダルマ・スプリングスさ。君たちに残っている未練の数々を洗い流してくれる、温泉みたいなところだよ」

「それで、風呂桶とタオル?」田嶋が手元の桶を見ながら呟いた。

「そういうこと。まずはほら、とりあえずここを出よう。後で詳しく話してあげるから」

閻魔の促すままエスカレーターに乗り、俺たちは上へと向かった。

エスカレーターが上までつくと、温泉旅館の脱衣場みたいな所に出た。

壁にいくつもの棚があり、その中には衣類を入れておく籠が並べられていた。

「どの籠を使っても構わないから」

閻魔に言われるがまま、俺たちはつなぎを脱いで籠に放りこむ。

風呂桶片手に股間をタオルで隠した男が五人並んだ。会社の慰安旅行みたいだと白井が笑った。

「みんな用意できたね。じゃ、こっちこっち。あ、足下すべるから気をつけてね」

閻魔の手招きで先へと進む。ガラスの自動ドアを出ると、むんとした空気が漂う場所に出た。温泉と言うにはほど遠い雰囲気だが、確かに露天風呂っぽく見えなくもない。視界を妨げるほどの湯気が漂う岩場の中に、蓄光顔料のように鈍く光る青白いスライムの様なものがトロトロと湧き出していた。

時折水面がボコンっと泡立ち、ガスが漏れている。周囲には、僅かに緑茶のような匂いが感じられた。

「な、なんスかこれ……」

藪内がおっかなびっくり覗き込んだ。

「さっきも言ったでしょ、君たちのカルマを洗い流してくれるエネルギー体だよ。桶にとって、まずは足下にかけてごらん」

閻魔はいつもの軽い調子でそう言ったが、やってみるには少々勇気が必要だった。

よし、と自分に気合いを入れてタオルを腰に巻き付ける。桶をスライムの湧出口に入れ、どろりとした液体を取ってみた。グチョンという音を立てて糸を引くそれは、思った以上に重い。

ビチョリ。皆の注目を受ける中、恐る恐る足下にかけてみた。生温かい液体が、膝下を包み込むようにゆっくりと下降する。

「ふわぁぁ……」

気持ちよさに思わず変な声が漏れ、首筋がぞくりと痙攣した。

「うわぁ!!! み、峰岸さん、大丈夫っスか!」

藪内の声と同時に、メンバーが後ずさりする。

何を大げさな、と思ったが、その後自分の足下に目を向けたら、後ずさりの意味が理解できた。

スライムをかけた部分が、綺麗になくなっている。

「ゆ、幽霊みたいですね……」

田嶋が言った通り、膝から下が消えていて、浮いているように見える。

が、足がなくなったワケではなさそうだ。確かに見えはしないのだが、感覚はしっかりと残っている。

その場で二・三度足踏みをしてみると、時折うっすらと足の輪郭が浮かび上がった。

「プレデター」みたいな感じといえば伝わるだろうか。「なくなった」というより「透明になった」という方が近い。

閻魔の表情を確認したら、よしよしと頷いていた。ついで、もっとかぶれとジェスチャーしている。


再度スライムを桶にとり、今度は肩口からかぶってみた。

先ほど同様、スライムのかかった部分が透明になってゆく。

そして、あらゆるものが溶けて流れていくような感覚が、とにかく気持ち良い。

三度目は、なんのためらいもなくアタマからスライムを被っていた。


俺の様子を観察していたメンバーの視線はやがて空を舞い、「とうとう完全に消えた」と目を丸くした。




←応援が「なくなった」というより「更新がないのだから当然」という方が近い。
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