俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

自由競争

2012-10-22 11:17:46 | Weblog
 市場経済では競争原理が働く。複数の企業が自由競争をすることによって消費者は良い品を安く入手することができる。これは企業対企業の場合でも同じであり、複数の企業と交渉することによって最良の取引条件を引き出すことができる。だから独占は悪く自由競争が良いとされている。
 しかし自由競争は万能ではない。供給が需要を上回れば安値になるが、逆に需要が供給を上回れば高値安定となる。かつての石油ショック、あるいは近年の金や穀物や原油などの高騰は単に投機によるものではなく需要増も一因だ。
 これらを前提にした上で今後の日本の電力について考えてみたい。マスコミは自由競争になれば電気料金は下がると言うがかなり疑わしい。電力が不足しているからだ。総電力の3割を占めていた原子力が稼動困難な状況なので電力は不足する。需要が供給を上回れば値上がりするのが市場経済だ。ここ数年は電力不足が見込まれるだけに自由競争よりも統制価格のほうが望ましい。
 日本経済はデフレ状態が続いている。これは供給が需要を上回っているからに過ぎない。昨年の秋から今年の春にかけてレタスが異常に高騰したことを多くの人が覚えているだろう。たとえデフレ経済下でも不足した物は値上がりする。自由経済の下では生産量が減れば値上がりする。電力不足の状況での自由化は電気料金の高騰を招いて国民を不幸にする。

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