499話 シャボンディパーク

ルフィ達は、コーティングの職人のおっさん探しに出かけた。
ジャッキーさんの「海軍は大物ルーキーがこの諸島に上陸している事は知ってるけど、今『海軍本部』はそれ所じゃない程に”別件”に懸かり切りで忙しいハズ。これもルーキー達の合わせ持つ”運”かしら。相当な問題が起きない限りは海軍が大戦力をこちらに向けることはないから・・・”騒ぎを起さないように”気をつけてね」の言葉に見送られて出発した。


ルフィは「わかった！！ありがとな、行ってくる！！」とにこにこ笑顔で出発した。
目的地は32．33.34ＧＲにある遊園地”シャポンディパーク”！！！



ケイミーは、一度でいいからここに来るのが夢だったとはしゃぎ、観覧車に乗ると涙を滲ませて喜んだ。
ハチもパッパグも初めは絶対に入園してはダメだと言い張っていたが、ルフィの強さがあれば大丈夫かと、楽しさに負けてケイミーのシャボンディパーク入りを許してしまった。
本当は、ハチもパッパグもここで遊んでみたかった。
人魚も魚人も、子どもの頃は皆必ずここに憧れるが、大人になるにつれて、その夢を諦めていく。ハチは本当は自分もここに憧れていた気持ちを思い出した。







そんなケイミー達を狙う者達がいた。
人攫いチーム『ハウンドベッツ』のボス「ピーターマン」だった。
彼らは、「人間屋ヒューマンショップ」で超高額取り引きされる人魚が陸に上がっている事を知り、連れ去る機会を伺っていたのだった。遊園地は人ごみの中で人攫いに狙われる事が多い為、人魚が遊園地に入ることは絶対してはならない危険な行為なのであった。




そんな事を知らないルフィ達は、ケイミーから目を離した隙に、人攫いにケイミーを連れて行かれてしまう。
後悔しても遅い。
人魚や魚人は海賊同様に、その売買を黙認されており、売買された者は一生奴隷として飼い主に仕えて死んでいくことになる。
諸島には、そんな「人間屋ヒューマンショップ」がいくつもあり、ケイミーがどこに連れて行かれたのか検討もつかないルフィ達は、船で待機していたサンジに助けを求めた。

サンジは、ルフィ達の居場所を聞き出すと、待機を命じた。
「トビウオライダーズを呼ぶ！！！」




一方、24番ＧＲ内を散歩していたゾロは、『天竜人』の「チャロス聖」の一行とはちあわせた。
この世界の接待権力者であり、海軍本部をも自由に動かす彼らに対しては、荒らくれ者の海賊ルーキー達も手出しはせず、
膝をついて行き過ぎるのを待つのが常識であった。
この世界では、『天竜人』への礼儀に比べれば、人の命など取るに足りないものであった。



しかし、ゾロは『天竜人』の存在を知らない。
皆が天竜人の為に道を開け、頭を低くしている中、ゾロは堂々と道の真ん中を歩き、天竜人の通行を妨げた。



天竜人「チャロス聖」は、この経験したことのない甚大で許されざる無礼に対し、即座に銃の引き金をひいたが、ゾロは至近距離でその銃弾をよけ、殺気と友に刀を抜いた。



その場に居合わせた海賊達は、ゾクリとした。
天竜人に刀を向けたなら、海軍本部の大将クラスが飛んできて、今諸島にいる海賊全てに危険が及ぶからだ。

間一髪、ゾロを天竜人の前から連れ去ったのは、大食いボニーに似た少女だった。
少女は「えーん、お兄ちゃん天竜人に逆らって死んじゃったーー！！」と大げさに泣いてみせながら、小声でゾロに「じっとしろ」とささやきつつゾロを抑え込んだ。



天竜人が立ち去った後、元のサイズに戻ったボニーはゾロに激怒した。
「てめぇ!!一体どういうつもりだよ！！！海賊なら海賊同士の暗黙の了解って部分があんだろ！？迷惑かけんな！！！」
だが、ゾロはボニーが何を言っているのか、わかっていなかった。




居合わせた海賊ルーキー達は、ゾロの一瞬の殺気を高く評価し、あの男を従えさせる゛麦わらの船長”の度量に大いに期待した。



当のゾロは、天竜人に撃たれて重傷の人の抱えて病院に行く言って立ち去った。
海賊ルーキー達は、"人助けをする海賊"に呆れた。