海賊による「エニエス・ロビー」襲撃事件から2日後、すなわちアクア・ラグナから2日後の「ウォーターセブン」は多忙を極めていた。
今年のアクア・ラグナは今までにない猛威をふるい、町の被害はかつてない程の大きかったら。だが、ガレーラカンパニーの1番ドッグのパウリー率いる優秀な船大工達が街の修復を手伝う・・というより完全に請け負ってくれていた。
さらに「エニエス・ロビー」から開放された2人の巨人「オイモ」と「カーシー」が、「エルバフ」に帰る前にここウォターセブンの復旧の手伝いをしていってくれると言うので、100人力で済まない勢いで作業が進んでいく。
巨人の二人は、自分達を解放してくれた「狙撃の王」に、エルバフに一緒に来るか?と誘ってみたが、狙撃の王の返事は曖昧だった。
全員が奇跡的に無事助かったフランキー一家も、ルフィ達に潰されたフランキーハウスの再建に取り掛かっていた。
こちらは、本業解体屋なので、建設にはなかなか苦労している様子だったが、皆、楽しげだった。
再建されたガレーラカンパニーの仮本社では、アイスバーグがフランキーと話しながらも、忙しそうに図面を引いていた。
トムさんとアイスバーグが命掛けで守ってきた「プルトンの設計図」が燃えたことには「その方がいい・・・」とだけ答えた。
アイスバーグは今、ウォーターセブンの島全体を海に浮かべる設計をしていた。
その壮大な計画に目を丸くしたフランキーだったが、アイスバーグは「不可能を可能に変える偉大な男の背中を、おれ達はずっと見てきたはずだぞ。男ならドンとやれ、だ」とまるでトムさんのような事を言っていた。
アイスバーグはちゃんとトムさんの跡を継いでいた。
その、ガレーラカンパニーの本社仮説の奥、特別海賊ルームに、麦わらの一味はアイスバーグの命の恩人として手厚く保護されていた。
事件から2日後、いまだにルフィは眠りっぱなしだったが、【寝ながらメシを食う】という新たな技を身に着けた分、回復は今までより早そうだった。
しかし、船をなくした以上、前に進むには新しい船を用意せねばならないが、金も宛てもなく、暫くこの町で足止めされそうだった。
そんな麦わらの一味を尋ねてきたのは、フランキーだった。
フランキーは入って来たそうそうに、一方的に喋り出した。
「ある戦争を繰り返す島に、たとえ人間が砲弾降り注ぐ戦争をしようが、島の人が死に絶えて廃墟になろうが、何が起きても倒れず、いつしか人々はまたその樹に寄り添って国を造る・・・そんな巨大な”樹”が世界に数本だけある。
その最強の樹の名は、”宝樹アダム”。
その樹の一部が、まれに裏ルートで売りに出されることがある。
おれはそれが欲しかったが、2億もするので手が出せずにいたところへ、お前達が大金を抱えてやって来た・・・。
おれは昔、もう二度と船は造らねェと決めた事があるが・・・だが、目標とする人に追いつきたくて、気がつけゃ船の図面を引いていた・・・。
おれの夢は!!!!その「宝樹」でもう一度だけ!!!どんな海でも乗り越えて行く”夢の船”を造り上げる事なんだ!!!
だから、完成したらお前ら、おれの造ったその船に乗ってってくれねェか!!!?」と言って頭を下げた。
「おれの気に入った奴らに乗ってもらえるなら、こんな幸せなことはねェ。元金はお前らにもらった様なもんだしな。
この海で唯一世界一周を果たしたゴールド・ロジャーの「オーロ・ジャクソン号」もその樹を使って造られた。すげぇ船にしてみせる」
その話を聞いていたココロさんが「しょうがらいね、トムさんもお前も、結局同じ職人なんらね・・・んががが゛」と笑った。
フランキーは静かに「今なら、胸張って死んでったトムさんの気持ちがわかる」と応えた。
だが、喜ぶ麦わらの一味に、新たな脅威が近寄っていた。
ウォーターセブンに海軍本部の「ガープ中将」の軍艦が停泊し、麦わらのルフィを探していると言う。
ガープ中将といえば、ゴールドロジャー時代に、あの「海賊王」を何度も追い込んだという伝説の海兵である。
海辺で一人、戦いの中で砕いてしまった刀の処遇を考えていたゾロは、この情報を掴んで大慌てで
仲間に知らせようと走ったが、迷子になってしまった。
ガープは、人々の制止も聞かずまっすぐに海賊ハウスに向かうと、壁を突き破ってルフィの前に立った。
やばい!ルフィはまだ戦いの後遺症(寝まくり)から抜けていない!!!
麦わらの一味は、ガープを前にルフィを守る姿勢を見せるも、あっけなく突破された。
ガープは、眠るルフィに拳骨を叩きこんだ。
「起きんかァーーーー!!!!!ルフィ!!!」
ルフィが殴られた激痛で目を覚まし、仲間達は驚く。ゴム人間に拳は効かないはず!!
ガープは「愛ある拳は防ぐ術なし!!随分暴れとるようじゃのぉ、ルフィ!!」とニイッと笑った。
だが、その笑顔にひきつったのはルフィだった。
「ゲェッ!!!じ・・・じいちゃん!!!!」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます