さすらうキャベツの見聞記

Dear my friends, I'm fine. How are you today?

「伝える力」

2011-11-05 08:26:12 | ひとこと*古今東西
(一部抜粋)

 いきなりですが、質問です。
 あなたは、日銀が何をしているところかご存じですか?

 中学校や高校で一生懸命勉強をして、それ相応の知識を持っている人は得意満面にこう答えるかもしれません。

「日本銀行とは日本の中央銀行で、銀行券の発行ができ、市中銀行及び政府に対する貸し出しや国庫金の収支業務を行う銀行です。また、金利の操作や公債の受け渡し・回収を通して通貨の増減を図っています。いわざ発券銀行であり、銀行の銀行であり、政府の銀行でもあります」

 と。

 なかなか立派な解答だと思います。
 経済学の教科書にもこのように書いてありますから、模範解答として、満点をもらえそうです。


            ****************


 では、日銀とはどんなところか、小学生に説明してみてください。

「日銀は発券銀行でね……」と言ったとたん、彼らは、

「ハッケンギンコウって何ですか?」

と聞いてくるでしょう。
「何をハッケンするの?」と聞かれて、小学生が「ハッケン」を「発見」だと誤解していることに気付くかもしれません。


 もう少し噛み砕いて「お札を発行する銀行なんだよ」と説明しても、

「エーッ? お札を発行するって、私たちにお金をくれるの?」

なんて、聞かれてしまいます。


 相手は手強い。

 なぜ手強いかというと、素朴な疑問を持って、それをそのまま口に出すからです。

「日銀は市中にお金を供給しているんだよ」とでも言おうものなら、

「シチュウって何?」

「キョウキュウするってどういうこと?」

と聞かれるでしょう。

 実はそうした素朴な疑問こそ、往々にして本質を衝(つ)いているものです。



         *****************

 子どもたちから矢継ぎ早にそうした質問を受けていると、

「あぁ、自分は日銀について、本当にわかっているんだろうか。いや、何もわかっていないんじゃないか」
ということに気づかされます。


 これは、私自身が「週刊こどもニュース」というテレビ番組で経験したことでもあります。

 「伝える」ために大事なこと。

 それはまず自分自身がしっかり理解することです。自分がわかっていないと、相手に伝わるはずがないからです。


(池上彰著;伝える力,PHPビジネス新書,2007年,p.16-18より抜粋。

 当blogにおける改行および文の強調は、キャベツに依る。また、この内容における「日銀」およびその内容を各自、ある別の言葉にもしてみると、面白いかもしれません。)
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