飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム(関東):茨城県、石岡市 万葉の森 草枕・・・

2013年06月10日 | 万葉アルバム(関東)


草枕 旅の憂へを 慰もる こともありやと 筑波嶺に 登りて見れば
尾花散る 師付(しつく)の田居に 雁がねも 寒く来鳴きぬ
新治の 鳥羽の淡(あふ)海(み)も 秋風に 白波立ちぬ
筑波嶺の よけくを見れば 長き日(け)に 思ひ積み来し 憂へは止みぬ
   =巻9-1757 高橋虫麻呂=

筑波嶺の 裾廻(すそみ)の田居に 秋田刈る
妹がり遣らむ 黄葉(もみち)手(た)折(を)らな
   =巻9-1758 高橋虫麻呂=


(現代訳)巻9-1757
 旅の悲しみを慰めることもあろうかと、筑波山に登って見ると、芒(ススキ)が散る師付の田に、雁も寒々と飛んで来て鳴いている新治の鳥羽の湖も、秋風に白波が立っている。筑波山の美しい景色を見ていると、長い間思い悩んできた憂えも止んだことである。
     巻9-1758
筑波山の麓の廻りの田で秋田を刈る、あの乙女にやろうと思う黄葉を手折ろう。

師付=筑波山東麓の地。常陸国府のあった石岡市の西郊。
新治=筑波山西北の郡名。今の新治郡とは異なる。
鳥羽の淡海=今の真壁郡の南部、小貝川と鬼怒川の間の、下妻市付近にあった沼沢。

 この万葉歌碑は石岡市小幡湯袋の万葉の森、ライオンズ広場にある。
平成元年に八郷ライオンズクラブが建てたもの。
ここの場所は市内からクルマで行くと、右手入口がちょっと見えづらく行き過ぎてしまった。
行き過ぎて戻ると左手に案内表示を見つけることができた。
万葉の森といっても広大な森のイメージはなく、広場を中心に木々が植えられ、万葉の歌札が掛けられている。


万葉歌碑碑文