飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム(奈良):奈良、率川神社

2009年09月13日 | 万葉アルバム(奈良)

羽根かずら 今する妹(いも)を うら若み
いざ率川(いざかわ)の 音の清(さや)けさ
   =巻7-1112 作者未詳=


鳥の羽根や菖蒲(あやめ)で作った「羽根かずら」の髪飾りをした乙女が、率川の畔(ほとり)に佇(たたず)み、「いざ」と誘いたくなる様な雰囲気で、それにしても率川の水音の何と爽(さわ)やかなことよ。という意味。

女性への甘く切ない気持ちを、さらさらと流れる川に乗せて詠んだ万葉歌だ。
「羽根かずら」は、年ごろになった少女がつける髪飾り。
猿沢池の南側を流れる「率川」、今では率川は途中から暗渠になって奈良町の市街地を土管の中を流れ、姿を見る事が出来ない。

近鉄奈良駅のすぐ近くにある率川(いさがわ)神社は、推古天皇の勅命により593年に創建した古い歴史と由緒をもつ神社。この神社は3つの社が並んでおり、左から父神、姫神、母神と子供を見守るように並んでいることから子守明神とよばれ、安産、育児、息災延命の神として有名である。
また毎年6月17日の三枝祭(さいぐさまつり)は、別名「ゆりまつり」と呼ばれ有名な古式の神事で、三輪山より自生する三枝の花、(笹百合)を酒樽に飾りお供えされ巫女達により神楽が奉納される。

このお祭りには、次のような伝説がある。大物主大神の娘である五十鈴姫が三輪の里で百合を摘んでいた所に神武天皇が通りかかり、あまりに清らかで美しい姫をみそめ、皇后に迎え入れられたという。なんともロマンチックな話である。