我が里に 大雪降れり 大原の
古りにし里に 降らまくは後
=巻2-103 天武天皇=
我が岡の 龗(おかみ)に言ひて 降らしめし
雪の砕けし そこに散りけむ
=巻2-104 藤原夫人=
大原の里にある大原神社は、藤原鎌足誕生の地といわれている。
鎌足の娘で天武天皇の夫人となった藤原夫人が住んでいたところでもある。
その天武天皇と藤原夫人とがやりとりをした歌が、この歌である。
浄御原宮(飛鳥小学校付近)と大原とは、わずか1Km未満である。
天皇は、大原にいた夫人に「古ぼけた大原の里に雪が降るのは後のことだろうよ」
とからかえば、夫人は、「うちの神様にいいつけて降らせた雪のかけらがそこに散っただけでしょう」とやり返した。
壬申の乱に勝利して、体制を築いた天武天皇に、こうしたおどけた一面があったと思うと、歴史の見方も変わるというものである。