日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北斗星惜別乗車 続編 - 最後の夜汽車

2015-06-08 22:28:11 | 北海道
夜風を受けつつすすきのから歩いて札幌駅に戻り、発車10分前という破綻のない時間に「はまなす」が発着するホームに上がりました。列車は「スーパー宗谷」からの乗換客を広い8分遅れで発車。「ハイケンスのセレナーデ」に始まる車内放送の後、室内灯が減光されたところです。
一月で正真正銘最後と思っていた「北斗星」に再び乗る機会が訪れ、それが転じて「はまなす」にまで乗ることになるとは、当然ながら予想していませんでした。しかし結果としてはこれでよかったのでしょう。廃止が公式発表されれば、この列車も「北斗星」と似たり寄ったりの状況となり、乗車を楽しむどころではなくなるのが明白です。しかも、この列車が姿を消せば、寝台車はもちろんのこと、夜行列車も急行列車も事実上の終焉を迎えるわけです。これで最後となるかもしれない夜汽車の旅を、余すことなく味わい尽くしたいものだと思います。

★札幌2200/はまなす(202レ)/539青森
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北斗星惜別乗車 続編 - ふらの

2015-06-08 20:15:48 | 居酒屋
名酒場との思いがけない出会いにより、ついつい長居をしてしまいました。時間的にも次なる店が本日の打ち止めとなります。トリを飾るのは毎度おなじみ「ふらの」です。
北海道新幹線の開業が来年に迫り、北海道を列車で旅する機会が必然的に増えてきました。札幌へ来るのもこれが今年三度目であり、この店には過去二回とも立ち寄った以上、今回は久しく無沙汰している他の店にすることも一瞬考えはしたのです。それにもかかわらず馬鹿の一つ覚えに走ったのは、なじみの店で終わりたいという心情によるところが一つ。これまで訪ねたのがことごとく冬だったこともあり、雪のない時期はどうかと興味を持ったのが一つです。特に、秋はともかく、初夏に来る機会がそう滅多にあるとは思えないため、今回はまたとない機会と考えました。
今回まず驚いたのは、L字のカウンターが一席残らず埋まる大盛況だったことです。しかし幸いにも、先客が間もなく出るとの案内があり、しばらく待ってからどうにか着席。すると今度は、カウンターの角を囲んでいた数名の先客と、テーブルにいた先客が立て続けに去り、わずか十分ほどで店内は貸切状態に一変しました。いくら水商売とはいえ、これほどまでの両極端は珍しいのではないでしょうか。ともかく、一人静かに飲みたい自分には渡りに船の展開です。
自身初体験となる初夏の「ふらの」でしたが、品書きに関する限り、意外なほどに変わらないというのが第一印象です。そもそも酒は常備された銘柄ばかりで、季節に応じて入れ替わることがほとんどありません。肴の品数は必ずしも多くはなく、なおかつ酒と同様不動の品が相当数を占めます。自分の趣向からして雲丹と牡蠣には興味もなく、しいていうならやや季節外れの桜鱒が目に付く程度でしょうか。しかしその桜鱒を所望すると、あいにく切れており、時鮭ならあるとの返答が。時鮭といえば初夏の北海道の風物詩です。その漬焼を肴に一献傾け、開け放った玄関から吹き込む風を感じつつ、これが初夏かと得心した次第です。

ふらの
札幌市中央区南五条西4
011-521-6611
平日 1800PM-100AM
日祝日 1800PM-2200PM

サッポロクラシック
大法螺・北の勝
お通し(ほうれん草胡麻和え)
いかのわたなべ
時鮭漬焼
今日の汁物
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北斗星惜別乗車 続編 - 黄昏の大通

2015-06-08 19:41:07 | 北海道
地下鉄に乗り中心街に移動してきました。酔い覚ましに大通公園を歩きます。昨日に比べ日中はやや蒸したものの、この時間になるとさすがに涼しくなってきました。しかし昨夜と違って肌寒さはなく、夜風が心地よく感じられます。八時近くになってもまだ明るい空が、初夏の北海道ならではです。
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北斗星惜別乗車 続編 - 平次

2015-06-08 17:56:34 | 居酒屋
一風呂浴びてさっぱりし、あとは地下鉄ですすきのへ向かおうかというところ、北24条の駅前にある古びた酒場が目に止まり、閃くものを感じて飛び込みました。訪ねるのは「平次」です。

駅前を東西方向に貫く通りに面して古い雑居ビルが建ち、通りから奥へ向かって細長い通路が延び、それが突き当たったところに店はあります。狭い間口に収まった横長の行灯と染め抜き暖簾、その脇の破れ提灯という取り合わせがよい味を出しており、よくも悪くも素っ気ない札幌の市街地にあって、そこだけが異空間のような佇まいです。ただならぬ存在感というほどではないものの、地元の勤め人が帰り道に一杯やるにはおあつらえ向けと見え、たとえていうなら新橋、神田あたりの古い店のようとでも申しましょうか。「古い酒場をまず探す」という教祖の教えに照らしても、ここなら期待できるのではという直感がありました。
もちろん、そのような直感を信じて外したことは多々あります。何度も通えることを重視する近年の指向からしても、北24条という立地は何とも半端です。しかし繰り返すように、もとより札幌で呑むことには過大な期待をしておらず、あまつさえ先ほどカリーをいただいてしまい、万全の状態で飲み食いができるわけではありません。そのような状況だけに、呑むといっても軽く一杯やれればよく、外すのを覚悟で飛び込むことには比較的抵抗がありませんでした。かくして、当たれば儲け物だと割り切り暖簾をくぐったというのがここまでの顛末です。そしてこの選択は吉と出ました。

東西方向の通りから奥方向、すなわち南北方向だった間口の通路に対し、店内は東西方向に長く、玄関は東側の端にあるため、暖簾をくぐると左側に店内が広がるような造りになります。長手の方向にはカウンターが一本、それと垂直に小さなテーブルが二つ置かれ、十人少々入れば満席というささやかさは、居酒屋というより小料理屋の趣です。カウンターの頭上には小さな暖簾が掛けられ、玄関の脇には今なお現役の黒電話が置かれ、天井から下がったぼんぼりが店内をほどよい明るさに照らします。全てが古びてはいるものの、どこもかしこもきれいに拭き清められており、角椅子にはそれに合わせた座布団が掛かるなど、大切に使われてきたことが一目瞭然です。
品書きは正面にある小さな黒板二枚と短冊に綴られます。特別なものは何もなく、それでいながらどれもが北海道らしく、なおかつ安いものなら三百円から、高いものでも五、六百円という良心価格です。生ビールの泡はきめ細かく、酒は一定量を予熱しておき、注文を受けてから燗をつけなおすため、いつまでも適温を保っています。虚飾のない地元客御用達の酒場とでもいうべき雰囲気と仕事ぶりは、自分の直感を上回っていました。

このような雰囲気からして、お客は当然地元の常連、それも一人客ばかりで、三々五々暖簾をくぐっては常連同士で挨拶を交わすなどしています。ただし、店主を含め一見客には寛容で、いつしか居合わせた面々で歓談が始まるという、ある種旅人宿のごとき展開と相成りました。
店主は物腰柔らかく、聞けば店を続けて42年にもなるそうです。地下鉄の開業とほぼ同時に、当時の終点だった北24条に店を出したとのことで、当時は西部劇のような荒んだ町だったというのが店主の述懐です。まだ若かった店主が、店らしい店もなかった開業直後の駅前に看板を掲げ、町とともに年季を重ねてきたということなのでしょう。いわばこの町の生き字引というわけです。
店主ともども今なお矍鑠としているこの店ですが、雑居ビルは見るからにくたびれており空室も目立ちます。一人カウンターに立つ店主に、後継者がいそうな様子もありません。そうだとすると、この店がいつまで続くのかと、余計なことを考えてしまう自分がいます。しかし、店主とこの店が健在であり続ける限り、また戻ってきたいと思う居心地のよさがここにはありました。列車に乗り遅れるという失態により、図らずも半日延びた今回の滞在でしたが、結果としてはこれでよかったのではないでしょうか。最後は店主と御常連に一礼しつつ立ち去ります。

平次
札幌市北区北二十四条西4-4-1
011-757-6460

黒ラベル×2・北の誉
お通し(きゅうり漬)
生身欠きにしん
ほたて浜焼
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北斗星惜別乗車 続編 - 間違い探し

2015-06-08 17:20:37 | 北海道
過去何度となく札幌に来ていながら、今の今まで気付かなかったことがあります。歩道にガードレールが全くないということです。
北海道だけに、街路が広くてまっすぐなのは当然承知していました。しかし、広々しているように見えたのは、幅が広くてまっすぐなだけではなく、ガードレールがないからでもあったのでしょう。積雪と除雪のことを考えれば、ガードレールがないのは当然だというのに、何故今までそれに気付かなかったのでしょうか。間違い探しの答えを知ったときのような気分です。
こうなるとまず疑問が湧いてくるのは、札幌市街のどこへ行っても、本当にガードレールがないのかということです。もう一つの疑問は、ある程度積雪する地方では、同様にガードレールを立てないのが一般的なのかということです。とりあえず、大通とすすきのがどうなっているのか、注意しながら観察してみます。
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北斗星惜別乗車 続編 - 錦湯

2015-06-08 16:32:13 | 温泉
構想に従い、カリーでかいた汗を銭湯で流します。立ち寄るのは「錦湯」です。南北線の駅に近く、風呂から上がればすすきのに直行できるという立地は、まさしく渡りに船でした。

錦湯
札幌市北区北21条西4丁目2-28
011-726-7909
1400PM-2400PM
入浴料440円
元日及び翌日休業
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北斗星惜別乗車 続編 - ヴォイジュ

2015-06-08 15:46:34 | B級グルメ
四時前という何とも半端な時間にスープカリーをいただくことにしました。立ち寄るのは「ヴォイジュ」です。
この時間にカリーなどいただいてしまっては、夜の部にも確実に響いてきます。しかし、以前長々と語った通り、自分自身札幌で呑むことについてはさほどの執着がありません。本当にいただきたいのは酒でもラーメンでもなくスープカリーなのです。本来ならば、呑んだ後にスープカリーで締めくくるのが理想的ではありますが、あいにく今日は車中泊となり、なおかつ翌日職場へ直行するため、最後に大汗をかくのは避けたいという事情があります。かような状況において、北大から徒歩圏内に銭湯とスープカリーの店が近接していると分かり、ならば先にスープカリーをいただいて、その汗を銭湯で流せばよいと思い至った次第です。
草創期には物珍しかったスープカリーも、今や札幌市街にごまんとあり、どこに入ればいいのかよそ者には見当もつかなくなってきました。しかしこちらは、以前から愛用してきた「ピカンティ」の姉妹店だけに間違いがありません。スープが基本と日替わりの二本立てなのはあちらと同様ながら、基本のスープは当店独自のもので、初見ということもあり手堅くこちらを選択。スープと香辛料をその都度調合するのか、長い待ち時間を経て注文した品が運ばれてきました。匙だけでほぐれるチキンレッグはもちろんのこと、揚、焼、茹と調理法を使い分けた具沢山の根菜もおいしく、満足感の高い一杯です。

ヴォイジュ
札幌市北区北22西5-2-32 第11松井ビル1F
011-758-2500
1130AM-2245PM(LO)
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北斗星惜別乗車 続編 - 北大の新緑

2015-06-08 14:10:30 | 北海道
そのようなわけで、まずは帰りの列車を押さえました。最後に酒場で呑むのは当然として、問題はそれまでの時間をどう使うかです。乗り遅れた時点ですぐさま動けば、小樽に行って戻ってくることも可能な状況だったとはいえ、過酷な秒読みに追われ続けたこともあり、そのような余力がありませんでした。ともかく少しでも落ち着きたいと考え、やってきたのは北大です。
過去に訪ねたときはいずれも冬で、初夏に来たのは初めてのような気がします。雪に埋もれた光景もさることながら、木々の緑に彩られた光景もまたよいものです。ベンチに腰掛け、鮮やかな新緑が薫風にそよぐ様子を眺めていれば、いつまででも滞在できそうな気がしてきました。夕方までの時間は意外に早く過ぎるかもしれません。
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北斗星惜別乗車 続編 - 延長突入

2015-06-08 13:38:48 | 北海道
唐突ですがここで業務連絡です。今日いっぱいまで道内滞在を延長します。
早い話、悠長に構えていたのが災いし、最終の新幹線に接続する札幌発の列車に乗り遅れたということです。発車の五分前にレンタカーの営業所へ駆け込み、無理をいって駅まで送ってもらい、大荷物を担いでホームに駆け上がったのも空しく、そのとき既に列車の扉は閉まっており、一呼吸を置いてから発車して行ったという顛末です。あと10秒、20秒早ければという、まさに紙一重の状況でしたorz
もちろん、紙一重になったのはあくまで結果論であり、それ以前に回避する方策はいくつかあったのです。まずいけなかったのが、セイコーマートに寄って朝食などをいただいてしまったことで、これにより20分前後を消費してしまいました。次の失策は、高速道路を毛嫌いするあまり、時間が切迫しているにもかかわらず一般道を走ってきたことです。札幌市街の土地勘が十分でなく、遠回りとなる経路を走ってしまったのも仇となりました。これらの失策を一つでも回避できれば、どうにか滑り込んでいた可能性は高いと思われます。
もっとも、このような事態に陥っても、それはそれで割り切れるのが人間というものです。昼の列車を逃した場合、その晩の「はまなす」と翌朝の新幹線を乗り継げば、始業に滑り込めることは分かっており、それが悠長に構えてしまった遠因でもあります。そもそも、救済策の難点といえば、翌朝大荷物を抱えて職場へ直行するのが厄介なことだけであり、寝台車にもう一度乗れるという点では、むしろ今日中に帰京するよりこちらの方が上です。夜汽車の中で誕生日を迎えるのも、おそらく二度とできない経験でしょう。丸一日と思っていた道内滞在がさらに半日延び、最後と思っていた寝台車にも再び乗れることを、今はむしろ喜ばしく思っています。乗り遅れた直後は放心状態でしたが、それはそれとして…
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北斗星惜別乗車 続編 - 萱野駅ライダーハウス

2015-06-08 09:57:28 | 北海道
記念撮影を済ませ、あとは一声かけて出るかというところへ、見計らったかのように管理人が御自ら登場。ここで思わぬ展開が待っていました。
曰く、荷物の搬入を手伝ってもらいたいとのことで、二つ返事で承諾すると、案内されたのは駅舎のそばにある煉瓦造りの農業倉庫です。近々ここで催し物があり、そのための機材が今日到着するとのことでした。作業自体はものの十分ほどで済み、結果として自分自身は役立たずに終わったものの、その後は同宿したライダーの御仁を交えてしばし談笑。聞けばこの倉庫は管理人の御仁が農協から譲り受けたものだそうで、中にはかつて乗っていたという大型バイクの写真が飾られています。ライダーハウスを発案したのも、そのような経歴があってのことなのだと得心しました。還暦を機に経営していた会社を譲り、今は悠々自適であること、唐松の駅舎の管理人氏と知り合いであることなどからしても、俗物とは一味違う粋人なのでしょう。
加古川から来た先客は、やはり近頃引退し、目下北海道を一周中とはいうものの、CT110の完璧な積載からして只者ではありません。案の定、かつてはBMWの二輪を乗り継いでいたそうで、こうなるとオーナーの端くれとして俄然共感が湧いてくるというものです。そして何より、ご両人とも還暦を過ぎてなお意気軒昂なのは見上げたものだと思います。自分もかくありなんと実感した出来事でした。
こうして油を売るうちに、気付けば時間が押してきました。どうやら温泉は見送らざるを得ません。とはいえ、このような旅人同士の一期一会こそ、北海道の旅の真骨頂というべきものです。最後の最後にそのような経験ができたという点において、やはり萱野に泊まってよかったというのが偽らざる心境であります。
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北斗星惜別乗車 続編 - 三日目

2015-06-08 08:30:35 | 北海道
おはようございます。明け方に一旦目覚めてから二度寝し、再び目覚めたときには八時近くになっていました。寝袋を持ち込んでの雑魚寝とだったはいえ、目覚めは実に爽快です。それだけ快眠したということでもあるのでしょう。
路面が濡れており、昨晩寝入った後に雨が降ったと分かります。今のところ空は厚い雲に覆われ、それが明るくなったり暗くなったりという状況です。これから次第に晴れるというのが最新の予報ではありますが、遅くとも午前中には札幌に戻らなければならないため、粛々と移動するにはこの程度の天候がむしろちょうどよいともいえます。
出発前の予告通り、本日は列車で一日かけて帰京します。最終の新幹線に接続する「スーパー北斗」が出るのは12時過ぎで、その一本前は10時過ぎです。一本前に乗ろうとすれば、これから直ちに札幌へ引き返さなければならず、なおかつ函館で三時間という中途半端な時間が残ります。よって、今回は最後まで道央圏に滞在するのが順当でしょう。とはいえ、端から最終列車を狙っていると、最後は時間との戦いに陥ることが経験上分かっています。手近な温泉で朝風呂を浴び次第、札幌駅をなるべく早く射程圏に捉えるのが賢明ではないでしょうか。
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