日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

梅雨空の四国を行く - 姫路到着

2015-06-14 23:35:50 | 近畿
兵庫との県境を越えてから一風呂浴び、上がるのとほぼ同時に姫路へ着きました。只今シャワー室の隣のラウンジから投稿しています。
予想以上に快適という印象は、乗車から二時間近くが経っても変わりません。日曜の晩ということもあるのか、B個室にも相当数の空きが出ており、多少は待つかと思っていたシャワー室にも先客はなく、ラウンジは貸切状態です。これが「北斗星」なら、まず寝台券を押さえる段階で熾烈な争奪戦があり、乗車前から長蛇の列に加わらなければシャワー券も買えません。よほどの深夜帯でない限り、ロビーカーには相当数の先客がいます。そのような状況を最近二度にわたって経験しているだけに、こんな穴場があったのかと意表を突かれたような気分です。さらには、通りがかった車掌から、乗車記念のカードが手渡されるという心憎い演出も。新幹線のグリーン車とさほど変わらぬ出費で、この優雅さが味わえるのですから、今後岡山、四国方面から帰京するときはもちろんのこと、場合によっては福山、尾道あたりでもこの列車の利用価値はあるかもしれません。
列車はこの先西明石から京阪神の複々線区間に入り、日付が変わったところで三ノ宮、そこから20分弱で大阪に着き、あとは静岡まで客扱いなしで疾走します。複々線区間での快走ぶりを見届けたいこともあり、とりあえず大阪までは粘ることになりそうです。
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梅雨空の四国を行く - サンライズ瀬戸

2015-06-14 22:16:24 | 四国
高知の酒場めぐりを主題としつつ、倉敷で呑むという宿願をも果たした今回の活動でしたが、もう一つの目玉が残っています。最後に乗車する「サンライズ瀬戸」です。
鉄道華やかなりし頃を今に伝えるブルートレインと違い、その後登場した個室中心の寝台電車は、どうしても旅情の点では一歩譲ります。だからこそ「北斗星」があれほどまでに騒がれているわけです。しかし、その「北斗星」なき後、この列車は事実上唯一の寝台特急となります。夜行列車の退潮傾向を考えると、この列車とていつまで存続するかは何ともいえません。それだけに、乗ろうと思えば普通に乗れる今のうちに、一度は乗車しておきたいという考えがありました。
かくして実現した今回の乗車ですが、ありがたいことにB寝台の個室、それも二階建ての区画ではなく、車端にある平屋の区画がとれました。天井が高いのはもちろんのこと、運転室の直後で出入口はなく、検札が済めば誰も来ないという特等席です。以前乗車した活動仲間によれば、天井が高い代わりに台車の直上で揺れがひどく、とても安眠できないとのことではあり、実際にも客車に比べ騒音は心なしか大きいようです。しかし個室は予想以上に広々しており、寝台の上に足を伸ばして明かりを消せば、大きな窓の外を家々の明かりが流れて行き、こうなると夜汽車の旅情も俄然高まってきます。乗車したばかりの段階ではありますが、これなら期待していた以上に楽しめそうだというのが第一印象です。明日から日常に戻ることを考えると、そう夜更かしするわけにはいかないものの、日付が変わる頃までは、夜汽車の旅を心置きなく楽しむことにします。

★坂出2145/サンライズ瀬戸(5032M)/708東京
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梅雨空の四国を行く - しまんと8号

2015-06-14 19:43:46 | 四国
高知での全行程がこれにて終了。坂出で「サンライズ瀬戸」に接続する「しまんと」に乗り込みました。夕方まで降り続いた雨がようやく止み、西の空にはわずかながらも残照があります。八時近くになってもまだ明るいのが、初夏の西日本ならではです。
二日にわたって六軒の酒場をはしごし、高知の酒文化を存分に味わえたことについては満足しています。しかし、これはと思う店に行き尽くしたわけではなく、あと一晩あっても足りないところでした。以前鹿児島に五連泊したにもかかわらず、最後まで酒場に事欠かなかったという経験をしましたが、同じ芸当ができそうな街といえば、いの一番に思いつくのが高知です。その夢が実現する日は果たして訪れるのでしょうか。

★高知1934/しまんと8(58D→2008D)/2127坂出
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梅雨空の四国を行く - 酒亭どんこ

2015-06-14 17:41:22 | 居酒屋
高知ほど呑み屋が豊富な街ともなると、行きたい順に行くというより、時と場合に応じて使い分けるという芸当を駆使しなければなりません。たとえば昨日の「くもん屋」は、腹を空かせて行くべき店であり、次に訪ねた「一釣」は、遅い時間帯の切り札でした。「ぼくさん」は一日の最後を飾る店、「葉牡丹」は昼から呑める貴重な店です。これまで訪ねた店には、それぞれの状況下で訪ねるべき必然性が存在しており、場当たり的に飛び込んだのは一軒目の「珍々亭」だけでした。もちろん、目下の状況に適した店も自ずと決まってきます。満を持して訪ねるのは「酒亭どんこ」です。

居酒屋天国の高知といえども、日曜ともなればさすがに店の選択肢が絞られてきます。年中無休の「葉牡丹」という強い味方も控えているとはいえ、あちらは昼に訪ねました。ならば夜はどこかと思案するとき、筆頭に上がってくるのがこの店です。
いきなり難点を述べると、この店はあまりに広く知られすぎています。教祖が推奨しているのはもちろんのこと、口コミサイトでも県下屈指の高得点を誇り、居酒屋好きのみならず出張客、観光客の利用も相当数あるようなのです。実際のところ、過去二度にわたって訪ねたときは、玄関をくぐるなり予約の有無について尋ねられ、初回は予約満席であえなく退散しました。二回目も、開店直後で辛うじて着席という結果です。その経験上、今回は手堅く予約をするか、開店直後に乗り込むかのどちらかだろうと承知はしていました。結局、一人客がわざわざ予約をするのが小恥ずかしく、あえて予約をせずに五時を回ったところで乗り込むと、やはり開口一番予約はあるかとの言葉が。飛び込みだと申し出ると、入れるには入れるが五時半からだとの返答がありました。その後五時半を回ってから再訪すると、早くもテーブルと小上がりに一組ずつ、カウンターにも一名先客がいます。この後六時、七時からの予約客もいるであろうことを考えると、今日もほぼ予約満席に近かったのではないでしょうか。ともかく無事入店できたのは幸いです。

一両日で訪ねてきた酒場の多くが大衆的な雰囲気だったのに対し、こちらはいかにも教祖が好みそうな、ややお高いけれども上質な仕事をこなす洗練された店です。カウンターには、白髪細身で紐付きの丸眼鏡をかけた、酒場の主人というよりあたかも芸術家然とした店主が黙々と仕事をこなしており、よく似た顔立ちの若主人と思しき人物と、気配り上手な接客のお姉さんが脇を固めます。ビルの谷間にぽつんとある日本家屋の店舗は、床、梁、柱ともに艶を放ってよい味を出しており、店主が立つカウンターの部分は一層天井が低くなって、より臨場感が迫ってくるようです。
小上がりとテーブルの先客は明らかに県外からの一見客で、後からカウンターに来た二人組もおそらく同類でしょう。右も左も予約客という雰囲気は玉に瑕ながら、右隣の先客は県外から相当通いつめていると見え、若主人と時折言葉を交わすなどしています。こうなるまで通ってこそ一人前といったところでしょうか。
前回はどろめが突き出しに出て感心させられましたが、あいにく今日は日曜のため入荷なし。しかし、代わって出てきたのは牛肉としめじを炊いたもので、温かいものを出すところからして丁寧な仕事ぶりが感じられます。この突き出しに続いて注文したのは鰹のたたきです。馬鹿の一つ覚えと言うなかれ。強めに塩を振り、表面だけを強火で炙ったたたきは、昨日「くもん屋」で味わったのとは一味違うものです。しかも、一人ならこれで十分と思えるほどの立派な柵が二本奢られ、その上に新玉葱と細かく刻んだ青葱が山盛りにされて、さらに茗荷とフルーツトマトがつくという出で立ちには圧倒されました。このたたきとすり身揚げをいただいたところですっかり満腹。今回も期待に違わぬ充実ぶりでした。

ちなみに、店内には昭和30年代、40年代の懐メロがさりげない音量で流れます。懐メロとはいっても、当時の最先端を行っていたであろう小洒落た曲が多く、泥臭い演歌が流れる「葉牡丹」とは対照的なこの店の洒脱さが表れているようです。しかし、いくら洒脱といっても、ここで「ドリカム」など流されては雰囲気が台無しでしょう。酒場には何といっても昭和歌謡が似合います。

酒亭どんこ
高知市はりまや町2-1-21
088-875-2424
1730PM-2300PM

瀧嵐・赤野
突き出し
鰹たたき
すり身天
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梅雨空の四国を行く - ごめん

2015-06-14 15:03:34 | 四国
「葉牡丹」を辞去すると、「ごめん」の行先表示板を掲げた後免町行の電車が頃よくやってきました。運用につくのは、今年で車齢56年、下関からやってきた801号車です。終点まで乗って引き返せば、戻った頃には呑み屋が開き、時間配分としてもちょうどよいでしょう。
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梅雨空の四国を行く - 葉牡丹

2015-06-14 13:44:49 | 居酒屋
開店と同時に乗り込むつもりが、電車に乗るなどするうちに時間が経ってしまいました。満を持して「葉牡丹」の暖簾をくぐります。
二時前にもかかわらず、カウンターは八割以上埋まった相変わらずの大盛況。もちろん、その多くは背中に哀愁漂う中年の一人客です。歯切れのよいおばちゃん四人がカウンターに立ち、通称「はるちゃん」は串の調理と接客を、三人は各自の持ち場で接客をこなし、内側の厨房では調理専任のおばちゃんが無駄なく動くという、見慣れた光景が今日も展開します。誰に聞かせるでもなく流れてくる演歌が、この場面にはまことにおあつらえ向きです。たとえばこれが「ドリカム」では、大衆酒場の情緒も台無しでしょう。
それにしても、肴はともかく酒がなかなか進まず、お銚子一本空けたところで切り上げる結果となりました。もちろん、上記の通り昼から呑める大衆酒場の雰囲気は最高であり、ぴかぴかに光った鰹も、名物の串フライも申し分ありません。それにもかかわらず思いの外酒が進まないのは、昨晩呑みすぎたのがたたって、自覚する以上に疲弊しているからなのでしょう。それほどまでに高知の酒場を満喫できたことに感謝しています。

葉牡丹
高知市堺町2-21
088-872-1330
1100AM-2300PM(大晦日及び元日休業)

司牡丹
鰹刺身
串フライ盛合せ
ごり唐揚
土佐巻ハーフ
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梅雨空の四国を行く - とさでん

2015-06-14 12:22:07 | 四国
昼酒に先立ち、まずは一日乗車券を買って電車に乗ります。高知駅から南北方向に延びる短い路線と、はりまや橋で交差する東西方向の長い路線からなる高知の電車ですが、実は入庫の関係上、双方の路線を行き来する電車が少数ながらあります。それに乗車し、はりまや橋の渡り線を乗り潰そうという算段です。
一見するとあらゆる方向に行けそうにも見えるはりまや橋の渡り線ですが、実は上下線とも渡り線があるのは高知駅方面と伊野方面の間に過ぎず、他の三方向は片側にしか渡り線がありません。その結果、上下線間の渡り線も利用し、方向転換しつつ転線するという、怪しげな光景が展開します。
ちなみに、今回訪ねて気付いたのは、これまで使われてきた「とでん」の通称が「とさでん」に変わり、しかもそれが社名にもなっていることです。今更ながら知ったのは、昨年倒産してしまい、高知県交通と統合の上新会社になったという事実でした。琴電に続き、またしても四国の鉄道事業者が破綻したわけです。地方私鉄受難の時代は、いよいよ深刻な段階に入ったのかもしれません。
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梅雨空の四国を行く - 高知ビジネスホテル別館

2015-06-14 10:17:27 | 四国
出発します。昨晩世話になったのは「高知ビジネスホテル別館」です。実は、今週末の高知の宿が異様に混んでおり、駅と呑み屋街から徒歩圏内の宿は皆無に近い状況でした。そのような中、駅はともかく呑み屋街から徒歩圏内で、なおかつ一泊2500円という破格の宿が空いていたため、一も二もなく即決した次第です。
この混雑の中、常識破りの格安にもかかわらず残っている宿ということは、かなりの訳ありなのではないかと最初は疑いました。しかし結果としては、それなりの割り切りこそ必要ながらも、料金を考えれば十分以上だったというのが率直な感想です。
まず割り切りが必要なのは立地でしょう。名酒場「葉牡丹」の脇からまっすぐ南に下り、鏡川の堤に突き当たった場所に宿はあります。一見閑静な住宅街にも思える場所は、実はいかがわしい店が点在する区域で、路地裏のところどころに灯るネオンが怪しげです。しかし宿の外観自体は、遠目にも年季が入ってはいながらも、くたびれているわけではなく、事前に知らなければ一泊二千円台の宿とは思えません。
館内の造りからしても、おそらく自分とおおむね同年代の建物ではあるのでしょう。四階建てにもかかわらずエレベーターがなかったり、窓のすぐ外が隣の建物の壁だったり、室内の煙草臭が気になったりといった、ご愛嬌といえる程度の難点はあるものの、館内はどこもかしこも小きれいに手入れされ、六畳の和室は一人旅には十分な広さです。家庭風呂同然のささやかさながら、夜通し入れる浴室も備わり、これならそこらのビジネスホテルよりもむしろ快適ではないでしょうか。これで2500円なら何も言うことはありません。酒代を湯水のごとく消費し、宿代をいつも以上に切り詰めなければならなかった今回、思わぬ掘り出し物が残っていたことに感謝します。
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梅雨空の四国を行く - 二日目

2015-06-14 09:15:02 | 四国
おはようございます。昨夜は千鳥足で宿に戻り、部屋に入るやいなや着衣のまま倒れ込んで、気付けば翌朝という顛末でした。八時前に一旦目覚め、二度寝して再び目覚めたのが九時という結果からしても、どれだけ深酒したかがお分かりいただけるのではないでしょうか。高知では得てしてこのような展開になりがちです。
外には小雨が降っており、少なくとも昼過ぎまでは降り続くようです。この梅雨空では酒場以外にどこへ行く当てもありません。まずは11時の開店を待って「葉牡丹」に入り、その後は土電に乗るなどしてやり過ごし、五時になり次第夜の部に移ります。帰りの列車が七時半のため、欲張ってはしごするより、一軒で心ゆくまで呑んだ方がよいかもしれません。
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