で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1105回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『20センチュリー・ウーマン』
『サムサッカー』、『人生はビギナーズ』のマイク・ミルズ監督(脚本も)が自身の母親をテーマに描いた半自伝的ドラマ。
多感な思春期の少年が、自由奔放なシングルマザーと2人の個性的な女性たちに囲まれて過ごしたひと夏の成長の物語を、ユーモアを織り交ぜ瑞々しいタッチで綴る。
物語。
1979年、アメリカ合衆国カリフォルニア州南部のサンタバーバラ。
55歳のシングルマザーのドロシアの息子ジェイミーは15歳。
一目惚れして購入したおんぼろ洋館には他に、子宮頸がんを患いニューヨークから地元に戻ってきたパンクな写真家アビー、元ヒッピーの便利屋ウィリアムが間借りしていた。
ジェイミーの2つ上の幼なじみジュリーも夜な夜な彼の部屋にやってきては一緒のベッドで眠っていくのだが、決して体には触らせてくれない。
ドロシアは反抗期を迎えた息子のことがまるで理解できず、お手上げ状態。そこで彼女は、アビーとジュリーに息子の教育係になってほしいと相談する。
出演。
アネット・ベニングが、母のドロシア。
ルーカス・ジェイド・ズマンが、ジェイミー。
エル・ファニングが、ジュリー。
グレタ・ガーウィグが、アビー。
ビリー・クラダップが、ウィリアム。
ほかに、アリア・ショウカット、ダレル・ブリット=ギブソン、テア・ギル、ローラ・ウィギンス、ナサリー・ラヴ、ワリード・ズエイター、アリソン・エリオット、カーク・ボヴィル、など。
スタッフ。
製作は、ミーガン・エリソン、アン・ケアリー、ユーリー・ヘンリー。
製作総指揮は、チェルシー・バーナード。
撮影は、ショーン・ポーター。
プロダクションデザインは、クリス・ジョーンズ。
衣装デザインは、ジェニファー・ジョンソン。
編集は、レスリー・ジョーンズ。
このフランス映画的な多角的編集がいいんですよ。
音楽は、ロジャー・ニール。
音楽監修は、ハワード・パー。
このノリの良さは映画に翼を生やします。
70年代、母子家庭のジェイミー少年と3人の女と1人の男を通して、生きることの悶々を描く、マイク・ミルズの半自伝的ドラマ。
ノリのいい音楽に乗せた独特の編集と淡く切ないポップさは健在。前作は父で今作は母が題材。ウディ・アレン香。
三世代の芸達者のアネット・ベニング、グレタ・ガーウィグ、エル・ファニングを揃えて耳福眼福の具沢山。
はぐれてもにじむ行儀の良さに心音シンクロ、胸がチクチク。しまっておいた懐かしい痛みが今は心地よい、一人歩きの20世紀。
語っても語っても語りつくせぬあの人の思い出に見てるこっちも思い出させられる蘇作。
おまけ。
原題は、『20TH CENTURY WOMEN』。
邦題と違って、複数形です。3名だからですね。
『二十世紀の女たち』てとこで。
名曲『トゥエンティ・センチュリー・ボーイ』 の周りの女性たちという意図でしょうか。
邦題もせめて『20世紀の彼女たち』とかにはしちゃえば、なんとなく20世紀感が出たと思う。
2016年の映画です。
上映時間は、119分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、PG12。
受賞歴。
2016年のインターナショナル・オンライン・シネマ・アワード (INOCA) の最優秀オリジナル脚本賞をマイク・ミルズが受賞。(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケネス・ロナーガンと同時受賞)
2017年の音楽スーパーバイザー・ギルド・アワードにて、最優秀音楽スーパーバイザー(製作費1000万ドル以下部門)に、ハワード・パーが選出。
ナショナル・ボード・オブ・レビューの2016年のインディペンデント映画ベスト10に選出。
前作が自分の父の死別からインスパイアされていたように、今作は母をモチーフにしている。
『サムサッカー』は原作があったが、どこかで自分を投影していたのではないか。
『サムサッカー』は1999年の母との死別がきっかけで始まったそう。
だから、少年時代の自分、父、母と来たと見ていいだろう。
つまり、この3作、マイク・ミルズの親子三部作と呼びたい。
さぁ、次は何を描く? 兄弟? 友達? 祖父母?
それとも、がっつり自分?
インタビューでは、飼い犬の話にしようかなと答えてましたね。
次が楽しみでしょうがないよ。
ややネタバレ。
3か月のリハーサルがあり、その最初期はみんなで音楽に合わせて踊るというものだったそうですよ。
このリハーサルで、 いくつか生まれたシーンも。
ネタバレ。
パンクによる内面の表現とアートロックの対立が一つのテーマだそう。