菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

“の”の効能

2009年12月03日 00時01分41秒 | 言葉の根
台湾のお土産をだいたい配り終わる。

でも、いくつか残っている。
残ったお土産を見ていたら、後ろに日本語で説明が入っているのがある。
土産物屋で買ったからだが、なんとなく異国の土産としては余計なお世話な気もする。
ある意味、親切なのもよく分かるのだが。
小さな親切、大きなお世話とは、よく言ったものだ。

そこで、思い出したのが、台湾で使う文字は、ほぼ漢字が基本なのだが、日本語もけっこう見かけた。

日本製品をそのまま使っていたり、日本人向けの説明とかで。
それ以外に、なぜか、ひらがなの“の”だけ使っているのをよく見かけた。


台湾人に聞いてみると、“の”が入っていると、見た目ですぐに日本語だと分かる、とのこと。
どうやら、外来語として、そのまま残った中で、最も漢字にない雰囲気を持つのが丸っこいひらがなの“の”のようだ。

知人に話したら、
「去年か今年の前期かテレビで『今、台湾で“の”が熱い!!』みたいな事言ってましたよ。
台湾人曰わく「可愛い」とか「クール」らしいです」
とのこと。
漢字やカタカナは、それなりに受け入れられているが、ひらがなと言うのはなんだか嬉しい。


[の]
たしかに、改めてじっくり見てみると、非常にシンプルで完成された形だ。
まるっこくて、可愛いげもある。

言葉としても、日本語では、間を繋ぐ役割もするし、所有も表す。
「そうなの」みたいに強調や「どうしたの?」という風に疑問文にも使われる。
英語だと否定のNOの響きだけど。
日本語だとどちらかというと、柔らかい印象だ。


そういえば、“の”の字を書くなんて言い方もあるなぁ。
女性がナンカそわそわして、指で丸を書く仕草をそう言う。
かの小津安二郎が、恋人との電話で、もじもじする様子を演出する時にも、指で“の”の字を何回書いて、とか注文したという話を読んだなぁ。
“の”の字には女性の柔らかさがあるのかのかもしれない。

やっぱ、時計回りに書くよね。
もじもじする時は左回りもありそうだけど。
でも、左回りだと“e”になるのかしら。
“e”の字を書くだと、なんか様にならないわ。









のののののののののののののののののののののののののののののの
ののののののののののののののののののののののののののののめの
のぬのののののののののののののののののののののののののののの
のののののののののののののののののののののののののののののの
のののののののののののののののののののののののののののののの
のおのののののののののののののののののののののののののおのの

たくさん書いていても、あまりゲシュタルト崩壊も起こさないし。



の の
 
こうすると、ペコちゃんの目みたいだ。
[へのへのもへじ]でも目だしね。


「の」、声にしてみる。
「の」
母音の“お”とか“あ”は、どことなく優しい響きよね。

そういや、怒るときに、「めっ」だけ言うけど、あれって、「駄目」の“め”だけ残ったんだよね。
母音の“え”とか“い”はきつい漢字がする。
(ただ、「ねぇ」とか、ナ行についた場合は、そうでも無いかも。“の”もナ行だ)

怒るときの「めっ」をあえて、「のっ」にしてみるのはどうだろう。
「NO」って意味でね。

「のっ」
「のぉー」
「のぅ」
「の」

お、なんか愛しくなってきたぞ、“の”。







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