で、ロードショーでは、どうでしょう? 第937回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ペレ 伝説の誕生』
弱冠17歳にしてブラジルの10番を背負い、母国をワールドカップ初優勝に導き、その後も2度の優勝に貢献するなど史上最も偉大なサッカー選手と称えられる“サッカーの王様”ペレの波乱万丈の半生を映画化したドラマ。
監督は、ドキュメンタリー『ファヴェーラの丘』のジェフ・ジンバリスト&マイケル・ジンバリスト。
物語。
バウルという貧しい村に育ったヂッコ少年は、洗濯物を丸めてボール代わりにサッカーを楽しむ日々。
父も元は実力のあるサッカー選手だったが、膝を壊し、今では病院の掃除夫。それゆえ、息子がサッカーをやるのを嫌う母も金持ちの家の掃除婦をやっており、ヂッコもそれを手伝っている。
その家の息子ジョスはサッカーチームのエースで、貧しいヂッコをからかうのだった。
1950年。自国開催で優勝を義務付けられていたブラジル代表は決勝戦で敗れ、国民は悲しみのどん底に。
このマラカナンの悲劇を目の当たりにしたヂッコは、自分がブラジルを優勝させると父に約束する。
スラムという過酷な環境の中、ボールもスパイクも持たないヂッコだったが、少年サッカーのトーナメントに有名チームのスカウトが来るということを聞きつけ、仲間とチームを結成し、トーナメントに参加する。
トーナメントの優勝候補はジョスのチームだった。
出演。
ケヴィン・ヂ・パウラが、青年のヂッコ(ペレ)
レオナルド・リマ・カヴァーリョが、少年のヂッコ(ペレ)。
彼ら二人の肉体技を見るのが眼福。
セウ・ジョルジが、ペレの父。
新しいミヤギさんの誕生。
ヴィンセント・ドノフリオが、ブラジル代表チーム監督のフェオーラ。
ディエゴ・ボネータが、青年のジョス。
コルム・ミーニイ。が、スウェーデン代表チーム監督。
ほかに、ロドリゴ・サントロ。
スタッフ。
製作総指揮は、ペレ。
ご本人です。
撮影は、マシュー・リバティーク。
名手の仕事ぶりがサッカープレイを躍動的にとらえています。
ちょうど、テレビ中継が重要な『マネーモンスター』も同時公開中ですね。
音楽は、A・R・ラーマン。
ある意味で、『スラムドッグ$ミリオネア』と同じ、スラムから英雄つながり。
伝説のサッカー選手ペレの伝記映画。
なんと驚き、あるジャンル映画的構成になっている。敗北した父、生活の中の練習、貧困vs富裕、父からの教えの古典の技、大事な試合の前に封じられた必殺技・・・。そう、これ、カンフー映画になってるのです。
視線やカメラワークなど映像的な組み立てやアクションでつないだ脚本はシンプルなので、サンバのリズムで肉体的美技を堪能できる。なにより、キャストの顔がいい。エンターテインメントなつくりで、いちいち雄たけびを上げたくなる。
カンフーサッカー、いやさ、ブラジリアン蹴術な優作。
おまけ。
原題は、『PELE: BIRTH OF A LEGEND』。
『ペレ:伝説の誕生』ですね。直訳!
上映時間は、107分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、G。
ネタバレ。
つまり、ジンガが必殺拳ということです。
元はカポエイラですしね。
膝の故障の原因のラフプレーにも繋がっているのでしょう。
カメラワークは、見ての通り、回るカメラワークのこと。
心の変化を回転で表している。
ジンガでかわす動き、ボールそのもの動きとも重ねているのでしょう。
背中で物語を語るのは、マシューリバティーク の得意技です。
盟友ダーレン・アロノスキーと作り上げてきたものですかね。
(ただし、『レスラー』はマリス・アルベルチ)
流麗な移動撮影も流石の技が冴えてます。
自然光の使い方も見どころ。
たぶん、多くのシーンでボールはCGなんでしょうね。