菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

鬼を追う鬼。 『殺人鬼の存在証明』

2024年05月13日 20時00分56秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2354回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

 

『殺人鬼の存在証明』

 

 

旧ソビエト連邦史上最悪の連続殺人鬼を10年かけて担当刑事が追うサイコスリラー・サスペンス。

実在の連続殺人犯(チカチーロ)たちをモデルにしている。

 

殺人鬼の存在証明 - 株式会社クロックワークス - THE KLOCKWORX

 

原題は、『Казнь』、『KAZN』。
『処刑』、『仕置』、 『曲事』。

英語題は、『THE EXECUTION』。
『処刑』。

 

 

製作年:2021
製作国:ロシア
上映時間:138分
映倫:G

配給:クロックワークス  
 

 

 

物語。

1991年ソビエト、何者かに襲われて怪我を負った女性が森の近くで保護された。
女性の証言によると、彼女に怪我を負わせた犯人の手口は3年前に捕まったはずの連続殺人犯のものと酷似しており、3年前の犯人は誤認逮捕だったことが判明する。
この連続殺人犯は1980年代から10年以上にわたって残忍な犯行を繰り返し、すでに36人を殺害していた。
捜査責任者イッサは新たな容疑者アンドレイ・ワリタを追い詰め、尋問をする中で彼こそが真犯人だと確信していく。
やがて、ワリタの口から驚くべき真実が明かされる。

 

監督・共同脚本は、ラド・クバタニア。
本作が長編デビューとなる。


主演は、『葡萄畑に帰ろう』のニカ・タバゼ。

 

 

スタッフ。

監督:ラド・クヴァタニア
製作:パーヴェウ・ブーリャ、ムラド・オスマン、イリヤ・スチュワート
脚本:ラド・クヴァタニア、オルガ・ゴロジェツカヤ
撮影:デニス・フィルストフ
編集:ヴラディスラフ・ヤクニン
音楽:キリル・リフテル

 

 

出演。

ニコ・タヴァゼ (イッサ・ダビドバ/捜査指揮官)

イワン・ムリン (アンドレイ・ワリタ/容疑者)
アンドレイ・カリャービン (イワン・サベリッチ/刑事)
ヴィクトリア・トルストガノヴァ (ナデスダ・ダビドバ/妻)
ユーリヤ・スニギル (ヴェラ/美術館職員)
ダニール・スピヴァコフスキ (マイロン)
アグラヤ・タラーソヴァ (キラ)
ディミトリー・ギズブレクト (チェスプレイヤー)

エフゲニー・トゥカチュク (セヴァスチャノフ)
イゴール・サヴォチキン (アーサー・カムラーフ)
オルガ・ラプシナ (インナ・ソイナ)
エヴァゲニー・ムラヴィッチ
ハスキー

 

 

『殺人鬼の存在証明』を観賞。
80年代、旧ソ連史上最悪の連続殺人鬼を10年かけて担当刑事が追うサイコスリラー・サスペンス。
主人公の刑事が事件の担当指揮官となり、捜査に10年立ち向かっていくのと、90年代ついに有力な容疑者を逮捕した91年の二つの流れで語っていく。
1978年から90年にかけて50人以上を殺害したとされるアンドレイ・チカチーロほか、数人の連続殺人犯をモデルに、刑事や精神科医、犯罪学者にインタビューをしながら犯人の人物像を組み立てた、という、シナリオはかなり凝っており、なかなか力強い構成。
重苦しい雰囲気を纏いながら、しっかり娯楽サスペンスとしてフックある展開を繰り広げていく。
最近だと、『12日の殺人』のようなリアルさがありますが、未解決にはなりません。
ジャンル慣れしていると、きちんと伏線もヒントもあるので、ある種の推測はつくが、ある定番の語り口で、後半、読めないまさかの展開になっていきます。映画オリジナルなんですけど、サスペンス小説のオススメ作のようなテイストになっている。
長い話の割に意外と、登場人物を絞る作劇になっているので、重要なのは9名程度ですし、ほとんどは立場で示されるので、ロシア名前でも十分ついて行けます。主人公はイッサだし、相棒はイワンだしね。
数名出てくる容疑者や犯罪者たちが実にいい、その存在感が世界に引き込んでいく。
さりげないところに、やばいシーンがちょこちょこあって、飽きさせない。チェスプレイヤーという名の殺人鬼とのシーンは背筋が凍ります。
そして、映画的なしかけが見る者を物語の渦に巻き込んでいく。
撮影と美術が暗黒度が赤くていい。グロさやアクションのリアルさがさらに真っ赤にする。
若い作家らしく、やりたいことが詰め込まれている分、少々説明が頼りないところもあるが、それがまた10年という時間の長い事件のリアルな空気を醸し出してもいる。
そして、ソ連らしく、その10年間があまり変化がないこと、それがこの映画の裏のテーマになる。進まぬ捜査、上からの圧力、ソ連自体が持っている固まった体質、それにより追い詰められていく刑事たちの心情がリンクしていく。
原題の『処刑』について、中盤で触れられ、それがいかになされるのかを期待させる。
闇を覗き込む目を見つめる一本。


 

The execution. Un thriller que da miedo por la psique de sus personajes

Казнь, 2022 — смотреть фильм онлайн в хорошем качестве — Кинопоиск

The Execution (2021) - IMDb

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

相手にそっくりになるあの男はモデルがあるのかしら?
映画だと『カメレオンマン』もあるが。

実際の血液と検査で血液型が違う体質は実際にいます。

 

アメリカ映画への研究か、『羊たちの沈黙』などオマージュがいくつもある。

 

映画内で語られる処刑は、対象を死体と一緒に放置する。そうると、真っ黒になり、補トンと度一つになる、というもの。
この刑事と犯人が一つになるのが、今作の意図と重なる。

 

 

 

 

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