akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

小津の命日、誕生日

2005-12-12 | 活弁
今日は名匠小津安二郎の誕生日であり、命日である。
小津監督は芸術院賞、文部大臣賞等、数々の賞に輝き、いつの時代にもすたれず感激できる作品をたくさん世に出して、60歳の誕生日に亡くなった。

「年をとって初めて小津作品の良さがわかった」という声をよく聞くが、彼の作品は、観る年令で随分印象が違う。
彼の作品自体も、初期の頃と中期、晩年、彼の年令とともに大きく変化している。
視点も、価値観も、映像のテンポも。
その作品世界は、彼と共に、成長し、円熟し、ある意味老いていく。
自分と同じ世代の登場人物を中心にその日常と心情を描いているから、おそらく、監督がその作品を撮った年令と、年令が近くなるほど、鑑賞者は共感できるようになるのだと思う。
当時、彼の代表作として有名な晩年の作品群に最も共感し、支持し、高い評価を与えたのは、特に監督と同年代以上の映画人達だったのではないだろうか。

後期の小津作品ももちろんいいし、私の感じ方ももっと変わっていくだろうと思うが、まだ今の私は、晩年の作品より、彼の若い頃の、才気煥発でテンポのいい無声時代の名作の方が好きである(小津は無声映画で昭和7~9年にかけ、3年連続キネマ旬報第1位を得ていて、当時の大衆ウケは今一つだったというものの、現在も見ごたえのある感動作を幾つも残している)。
昨日の箕面の朗読会に、たまたま「昔、小津監督の無声映画作品を松田春翠さんの活弁付きで見ました。とても面白かったあの時の印象が残っています」という男性参加者がいらした。
私も、作品の中に監督のこころが蘇り、観た人に残るような語りができたらと思う。

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